664 / 1,640
第8章 南部動乱編
まだ終わらない
<イリアル視点>
「思ったより早く決着が付きましたねぇ」
「……子爵次第で、もっと被害を抑えることもできたはずだがな」
「そりゃそうですけど、簡単に決断できることでもありませんしね」
「……」
「こんなもんでしょ」
今回の攻城戦。
開戦前から寝返りの可能性は十分に考えられていた。
家門繁栄を第一とするトゥレイズ子爵に働きかけることは、そう難しいことでもなかっただろうからな。
とはいえ、戦は水物。
戦況次第で子爵の心がどう動くのか?
まったく分かったもんじゃない。
ってことで、こっちは開戦以降慎重な攻めに終始してきたわけだ。
「想定の倍の損害は軽くないぞ」
まっ、6万という圧倒的多数で攻めながら、それなりの損害を受けちまった攻城戦に愚痴を言いたくなる気持ちも理解できる。
とはいえ、悪い戦果じゃねえだろ。
「難攻不落と称されるトゥレイズ城塞をこの短期間で落としたんです。好しと考えるべきですよ」
「……」
満足できねえってか。
潔癖で完璧主義のトゥオヴィらしいぜ。
けどよ。
おまえは攻城戦の指揮官どころか、大隊の長ですらねえんだぞ。
「……そうだな」
おっ?
「イリアルの言う通りだ」
今日は素直じゃねえか。
「どうも、いかんな。つい焦ってしまう」
「エリシティア様ですね」
「……うむ」
今は白都にいる王女エリシティア。
こっちは遠く離れた辺境の城塞にいるってのに、相変わらずトゥオヴィの心は王女様でいっぱいか。
ほんと、呆れた忠誠心だよ。
「ですがまあ……これで南部侵攻も終了でしょ」
終戦となれば、黒都に戻ることができる。
場合によっちゃあ、白都までエリシティアに会いに行けるんじゃねえのか。
「うむ。大規模な軍事行動はこれで終わりだろう。ただ……」
「神娘ですね?」
「逃走を許してしまったからな。彼の者を捕らえるまでは南部侵攻が終了したことにはならぬ」
「そうはいっても、神娘を護るのは少数のワディン騎士でしょ。なら、難しい追跡じゃない。捕縛は他の者に任せて、トゥオヴィ様は黒都に戻れるのでは?」
数字上は容易なこと。
けど、実際は……。
「ローンドルヌを突破した猛者たちだぞ。侮れる相手ではない」
良く分かってるな。
って、当たり前か。
トゥオヴィはあの戦いを指揮してたからな。
「神娘を容易に捕縛できるとは思えん」
「追跡部隊によりますよ」
「……」
で、その追手はどんなもんだ?
「……200名の部隊を複数差し向けているらしい」
「200ですかぁ」
並の兵士200じゃあ、無理だろ。
「トゥオヴィ様は進言しなかったので?」
「したに決まっておろう」
「ってことは?」
「少数のワディン騎士への対応など、200で十分とのことだ」
「……」
上は、奴らの力を過小評価してると。
まっ、常識的に考えりゃ、妥当な兵数だけどよ。
「……難しい、か」
その通り。
ほんと、上の奴らは分かってねえなぁ。
ローンドルヌ大橋での戦闘報告は上げてんのによ。
「あのワディン騎士たち、それにダブルヘッドまでいるのだからな」
間違いねえ。
そいつらだけでも十分な戦力だ。
けどよぉ、トゥオヴィ。
ひとつ抜けてるぞ。
あのバケモンだ。
神娘の傍には、常にあいつがいるんだぜ。
って、おまえは知らないんだったな。
とにかく。
バケモンが神娘を護っていることは確実。
それだけで、追跡捕縛がどんだけ困難になることか。
「思ったより早く決着が付きましたねぇ」
「……子爵次第で、もっと被害を抑えることもできたはずだがな」
「そりゃそうですけど、簡単に決断できることでもありませんしね」
「……」
「こんなもんでしょ」
今回の攻城戦。
開戦前から寝返りの可能性は十分に考えられていた。
家門繁栄を第一とするトゥレイズ子爵に働きかけることは、そう難しいことでもなかっただろうからな。
とはいえ、戦は水物。
戦況次第で子爵の心がどう動くのか?
まったく分かったもんじゃない。
ってことで、こっちは開戦以降慎重な攻めに終始してきたわけだ。
「想定の倍の損害は軽くないぞ」
まっ、6万という圧倒的多数で攻めながら、それなりの損害を受けちまった攻城戦に愚痴を言いたくなる気持ちも理解できる。
とはいえ、悪い戦果じゃねえだろ。
「難攻不落と称されるトゥレイズ城塞をこの短期間で落としたんです。好しと考えるべきですよ」
「……」
満足できねえってか。
潔癖で完璧主義のトゥオヴィらしいぜ。
けどよ。
おまえは攻城戦の指揮官どころか、大隊の長ですらねえんだぞ。
「……そうだな」
おっ?
「イリアルの言う通りだ」
今日は素直じゃねえか。
「どうも、いかんな。つい焦ってしまう」
「エリシティア様ですね」
「……うむ」
今は白都にいる王女エリシティア。
こっちは遠く離れた辺境の城塞にいるってのに、相変わらずトゥオヴィの心は王女様でいっぱいか。
ほんと、呆れた忠誠心だよ。
「ですがまあ……これで南部侵攻も終了でしょ」
終戦となれば、黒都に戻ることができる。
場合によっちゃあ、白都までエリシティアに会いに行けるんじゃねえのか。
「うむ。大規模な軍事行動はこれで終わりだろう。ただ……」
「神娘ですね?」
「逃走を許してしまったからな。彼の者を捕らえるまでは南部侵攻が終了したことにはならぬ」
「そうはいっても、神娘を護るのは少数のワディン騎士でしょ。なら、難しい追跡じゃない。捕縛は他の者に任せて、トゥオヴィ様は黒都に戻れるのでは?」
数字上は容易なこと。
けど、実際は……。
「ローンドルヌを突破した猛者たちだぞ。侮れる相手ではない」
良く分かってるな。
って、当たり前か。
トゥオヴィはあの戦いを指揮してたからな。
「神娘を容易に捕縛できるとは思えん」
「追跡部隊によりますよ」
「……」
で、その追手はどんなもんだ?
「……200名の部隊を複数差し向けているらしい」
「200ですかぁ」
並の兵士200じゃあ、無理だろ。
「トゥオヴィ様は進言しなかったので?」
「したに決まっておろう」
「ってことは?」
「少数のワディン騎士への対応など、200で十分とのことだ」
「……」
上は、奴らの力を過小評価してると。
まっ、常識的に考えりゃ、妥当な兵数だけどよ。
「……難しい、か」
その通り。
ほんと、上の奴らは分かってねえなぁ。
ローンドルヌ大橋での戦闘報告は上げてんのによ。
「あのワディン騎士たち、それにダブルヘッドまでいるのだからな」
間違いねえ。
そいつらだけでも十分な戦力だ。
けどよぉ、トゥオヴィ。
ひとつ抜けてるぞ。
あのバケモンだ。
神娘の傍には、常にあいつがいるんだぜ。
って、おまえは知らないんだったな。
とにかく。
バケモンが神娘を護っていることは確実。
それだけで、追跡捕縛がどんだけ困難になることか。
あなたにおすすめの小説
ひだまりのFランク冒険者
みなと劉
ファンタジー
ここは異世界。
そこの冒険者ギルドでは毎日仕事がてんこ盛り。
そんな中
冒険者ギルドには万年Fランクの冒険者が一人いる。
その名は、リルド。
彼は、特に何もない感じに毎日
「薬草採取」「石集め」Fランク向け「討伐」場合によっては「ポーション生成」をする。
この話はこの万年Fランク冒険者リルドの物語である。
ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
WIN5で六億円馬券当てちゃった俺がいろいろ巻き込まれた結果現代社会で無双する!
TB
ファンタジー
小栗東〈おぐりあずま〉 二十九歳 趣味競馬 派遣社員。
その日、負け組な感じの人生を歩んできた俺に神が舞い降りた。
競馬のWIN5を的中させその配当は的中者一名だけの六億円だったのだ。
俺は仕事を辞め、豪華客船での世界一周旅行に旅立った。
その航海中に太平洋上で嵐に巻き込まれ豪華客船は沈没してしまう。
意識を失った俺がつぎに気付いたのは穏やかな海上。
相変わらずの豪華客船の中だった。
しかし、そこは地球では無かった。
魔法の存在する世界、そしてギャンブルが支配をする世界だった。
船の乗客二千名、クルー二百名とともにこの異世界の大陸国家カージノで様々な出来事はあったが、無事に地球に戻る事が出来た。
ただし……人口一億人を超えるカージノ大陸と地球には生存しない魔獣たちも一緒に太平洋のど真ん中へ……
果たして、地球と東の運命はどうなるの?
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク
普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。
だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。
洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。
------
この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)