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第8章 南部動乱編
黒都カーンゴルム 1
<ヴァルター視点>
左右に立ち並ぶ建物のほとんどが黒に近い色合いばかり。
黒く頑丈な造りのそれには鮮やかさや華美さといったものは微塵も感じられない。
勇武の気風があるキュベリッツとは異なり、魔法が盛んなレザンジュ王国。
その国是から受ける印象としては華やかな国というイメージがあるのに、この暗さ黒さは……。
とはいえ、キュベリッツの首都キュベルリアも勇武とはかけ離れた印象を受ける街ではある。
まったく奇妙なことだな。
「……」
黒都と白都を入れ替えれば、イメージ通りの首都になるはず。
いっそ交換したらどうだ、などという話を夜の街で何度聞いたことか。
両都市ともに、良くも悪くも庶民の話題に値する街ということなんだろう。
そんな黒都カーンゴルムはどこまでも暗く黒いものの、揺るぎない剛健さを誇る街でもある。訪問者に畏怖を与えながらも虜にする不思議な魅力か……。
オレにとっては面白味のない街だけどな。
いや、それどころか。
開国以来、魔道と陰謀によって染め上げられてきた王国の歴史、その象徴ともいえる都だからこそ感じられる鬱屈とした雰囲気には辟易してしまう。
特に今日のような雨の日は、強くそれを感じるようだ。
まあ、偏見がそうさせてるだけかもしれないが。
雨の大通りを、迷いのない足取りで歩き続ける。
向かう先は王都に来て以来、幾度となく通った場所。
その目的地が僅かに目に入ってきた。
黒都に相応しい黒く堅牢な建物。
カーンゴルムの冒険者ギルド。
しっかりとした造りの金属製の扉が大きく開かれた正面入り口は、ただただ来訪者を歓迎しているだけのように映る。
とはいえ、扉の周囲には人影などほとんど存在しない。
「……」
やはり、この時間のギルドは空いている。
国風は違うのに、冒険者ギルドはどこも同じ。
そこに少なからぬ安心感を覚えるのは冒険者の性なんだろう。
誰に止められることもなく門を潜りギルド右手にある昇り階段を上に。
目的地は3階、一般の冒険者が足を運ぶことのない特別受付だ。
まだ昼過ぎだというのに、魔法の明かりを煌々と灯した照明が並ぶ3階の回廊。
階下とは明らかに雰囲気が異なっている。
そんな照明に照らされながら、ゆっくりと受付に向かう。
すると。
座していた受付嬢が、こちらを確認し僅かに目で挨拶をしてきた。
「……」
これは……悪くない、かもしれない。
「ヴァルター様、お待ちしておりました」
対応するのは既に見知った受付嬢。
「こちらになります」
「ああ」
「ご確認ください」
手渡されたのは一通の封書。
宛名もない素っ気ない封書だ。
ただし、とびきり上等な紙で作られている。
「……」
間違いない。
ここ数日待ち続けた返事が届いたのだ。
「ご確認はそちらで」
「うむ」
指定された隣の個室に入り、急いで中を確認する。
その内容は……。
「……」
希望通り。
いや、それ以上だぞ。
面会が叶うだけでなく、3日後という日時まで指定されているのだから。
よし。
これで、ウィル様に良い報告ができる。
喜ぶ顔も見れそうだ。
あぁ。
やっと一息つけるな。
「……」
しかし、ここまでは本当に長かった。
王との面会なのだから簡単ではないと分かってはいたが。
あちらもウィル様との面会を望んでいたはずなのに、こんなに時間がかかるとは……。
左右に立ち並ぶ建物のほとんどが黒に近い色合いばかり。
黒く頑丈な造りのそれには鮮やかさや華美さといったものは微塵も感じられない。
勇武の気風があるキュベリッツとは異なり、魔法が盛んなレザンジュ王国。
その国是から受ける印象としては華やかな国というイメージがあるのに、この暗さ黒さは……。
とはいえ、キュベリッツの首都キュベルリアも勇武とはかけ離れた印象を受ける街ではある。
まったく奇妙なことだな。
「……」
黒都と白都を入れ替えれば、イメージ通りの首都になるはず。
いっそ交換したらどうだ、などという話を夜の街で何度聞いたことか。
両都市ともに、良くも悪くも庶民の話題に値する街ということなんだろう。
そんな黒都カーンゴルムはどこまでも暗く黒いものの、揺るぎない剛健さを誇る街でもある。訪問者に畏怖を与えながらも虜にする不思議な魅力か……。
オレにとっては面白味のない街だけどな。
いや、それどころか。
開国以来、魔道と陰謀によって染め上げられてきた王国の歴史、その象徴ともいえる都だからこそ感じられる鬱屈とした雰囲気には辟易してしまう。
特に今日のような雨の日は、強くそれを感じるようだ。
まあ、偏見がそうさせてるだけかもしれないが。
雨の大通りを、迷いのない足取りで歩き続ける。
向かう先は王都に来て以来、幾度となく通った場所。
その目的地が僅かに目に入ってきた。
黒都に相応しい黒く堅牢な建物。
カーンゴルムの冒険者ギルド。
しっかりとした造りの金属製の扉が大きく開かれた正面入り口は、ただただ来訪者を歓迎しているだけのように映る。
とはいえ、扉の周囲には人影などほとんど存在しない。
「……」
やはり、この時間のギルドは空いている。
国風は違うのに、冒険者ギルドはどこも同じ。
そこに少なからぬ安心感を覚えるのは冒険者の性なんだろう。
誰に止められることもなく門を潜りギルド右手にある昇り階段を上に。
目的地は3階、一般の冒険者が足を運ぶことのない特別受付だ。
まだ昼過ぎだというのに、魔法の明かりを煌々と灯した照明が並ぶ3階の回廊。
階下とは明らかに雰囲気が異なっている。
そんな照明に照らされながら、ゆっくりと受付に向かう。
すると。
座していた受付嬢が、こちらを確認し僅かに目で挨拶をしてきた。
「……」
これは……悪くない、かもしれない。
「ヴァルター様、お待ちしておりました」
対応するのは既に見知った受付嬢。
「こちらになります」
「ああ」
「ご確認ください」
手渡されたのは一通の封書。
宛名もない素っ気ない封書だ。
ただし、とびきり上等な紙で作られている。
「……」
間違いない。
ここ数日待ち続けた返事が届いたのだ。
「ご確認はそちらで」
「うむ」
指定された隣の個室に入り、急いで中を確認する。
その内容は……。
「……」
希望通り。
いや、それ以上だぞ。
面会が叶うだけでなく、3日後という日時まで指定されているのだから。
よし。
これで、ウィル様に良い報告ができる。
喜ぶ顔も見れそうだ。
あぁ。
やっと一息つけるな。
「……」
しかし、ここまでは本当に長かった。
王との面会なのだから簡単ではないと分かってはいたが。
あちらもウィル様との面会を望んでいたはずなのに、こんなに時間がかかるとは……。
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