30年待たされた異世界転移

明之 想

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第8章 南部動乱編

幼馴染

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「コーキさん、本当に平気なんですね?」

「はい、問題ありません」

 この程度の疲労、何でもない。
 そもそも、問題は肉体的疲労じゃないからな。

「よかった……」

 セレス様の安堵の声。
 純粋に俺の体調を気遣う気持ちが伝わってくる。

「……」

 本当にありがたいことだよ。


「おい、おまえら。ちょっとおかしくないか?」

「……何がだ?」

「有馬と彼女は幼馴染なんだよな?」

「ああ」

「幼馴染で、その喋り方はねえだろ」

「……」

「……」

「そうね。少しおかしいわね」

 しまった。
 つい、普段通り喋ってしまった。
 完全に失態だ。

「幸奈さん、あなたいつも有馬君のことコーキさんて呼んでるの?」

「えっ?」

 セレス様も動揺している。

「それは……」

 まずいぞ。
 下手をすると、露見に繋がってしまう。
 ここは俺がごまかさないと。

「いつもは違いますよ。今は古野白さんと武上の前だから、そう呼んだだけです。だよな、幸奈?」

「はい……え、ええ、そうね」

「あやしいなぁ。お前らホントに幼馴染なのかよ?」

「何もあやしくない。幸奈のことは子供の頃からよく知ってる。正真正銘、幼馴染に違いない」

「へえ~~」

「……」

 完全に疑ってるな。

「幸奈さん、有馬はこう言ってるけど、どうなんだ?」

「間違いありません。コー……」

「ん?」

「……こ、うきとは幼馴染です」

「幸奈さん、顔が赤いわよ」

「っ!?」

 やめてくれ。
 そこは見逃してくれ、古野白さん。

「やっぱ、おかしいぜ」

 駄目だ。
 このまま話していると、さらにボロが出る。

「一般的な幼馴染とは少し違うが、俺たちはこういう幼馴染関係なんだ」

「はあ??」

「とにかく、そういうことだから。な、武上!」

「……」

「で、今は幼馴染云々より先に話すことがあるだろ」

「ん?」

「俺が不在中の報告だよ」

「……そうね。ふたりの関係に口を出すより、まずは報告と壬生家の話をしましょ」

「……だな」





「……と、話はこれくらいかしら」

 壬生兄による襲撃とその撃退。
 古野白さんから聞いた話は衝撃的な内容だった。

 安全だと思っていた日本でも、こんな襲撃が起きるなんて。

「コーキさん……」

 今回は2人のおかげで切り抜けることができた。
 結果としては最高のものとなったのだろう。
 それでも、一歩間違えばどうなっていたことか?

「……」

 俺はセレス様のもとを離れてもいいのだろうか?
 再度襲撃があったら?

 セレス様のもとに留まることができれば護ることもできるのに!

 くっ……。


「コーキさん、大丈夫ですよ。今回は予知もできましたし、それに祝福も使えますから」

 古野白さんと武上に聞かれないよう耳元で囁くセレス様。
 不安は見えない。それどころか、自信さえ感じられる。
 とはいえ……。

「私は平気です」

「セレス様」

「ほんとですよ」

「……」

 声音に偽りの色はなく。
 俺を気遣っているだけとも思えない。
 少なくとも現状は何とかなると考えているのだろう。

「ですから、コーキさんは幸奈さんの傍にいてください」

「……」

「シアやアルもお願いします」

 それは、もちろん。

「あの……お父様も護っていただければ」

「!?」

 辺境伯は……。

「コーキさん?」


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