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第8章 南部動乱編
異形 1
「異形が出たんですね?」
「っ!?」
「近いんですか?」
「有馬君、どうして?」
「……何となく、勘です」
「……」
「おい、アレって異形か?」
「はぁ~。……そうよ」
「どこに出たんだ?」
「……この近くの住宅街らしいわ」
「ちっ、すぐに向かうぞ!」
「あなたねぇ」
立ち上がる武上を、古野白さんが呆れたように見つめている。
が、それでも焦燥の色は隠せない。
「厄介な異形なんですね?」
「直接見てみないと分からないわ。ただ簡単でない可能性も……あるとは思う」
「そうですか」
彼女がこんな顔色を見せるなんて、滅多にあることじゃない。
「コーキさん?」
セレス様も同じ気持ちか。
そうだよな。
見過ごせないよな。
「では、向かいましょう」
「武上君、今回は暴走しないでよ」
「おう、了解だぜ!」
「……無理して倒す必要はないの。鷹郷さんたちが到着するまで足止めできれば十分。分かってるわよね」
「だから、分かってるって」
「……」
俺の数歩前で、異形に対峙する古野白さん。
背中からは緊張感が漂ってくる。
その隣にいる武上は好戦的な目つき。
言葉とは裏腹に、今にも暴走しそうな勢いだ。
対する異形は古野白さんの10メートル前方。
今は動きを止め、古野白さんと武上を凝視している。
「ギギィ」
巨大なカマキリを思わせる肢体。
よく見ると異なる点は多いものの、遠目にはカマキリにしか見えないな。
「ギギギ」
体長は人と変わらぬ2メートル弱。
大したことはない。
が、その緑色の節くれだった脚と膨らんだ腹を持つ胴体が人外だと強調しているようだ。
「ギギィ」
さらに、この耳障りな高音が否応なく不快感を与えてくる。
明らかに、常識の埒外に存在する生物だろう。
とはいえ。
体から発する気配に脅威は感じない。
おそらくは、ダブルヘッドの足元にも及ばないはず。
鑑定上も……。
特に問題はないな。
「……」
それでも、古野白さんは警戒を緩めるそぶりを見せない。
緊張感を保っている。
「あの異形のレベルはどの程度なんです?」
「中の下くらいだと思うわ」
具体的な強さは分からないものの、中の下なら大したことはないのでは?
だったら、古野白さんの警戒は?
「ただし、先があるかもしれない」
「先……?」
現状の強さとは別に何があるんだ?
「先に怪物が潜んでる可能性があるの」
カマキリの異形とは別に、大物が隠れてるってことか?
「以前、酷い目に遭ったのよ」
それで警戒を緩めることができないんだな。
「だから、異形を相手にする時は慎重に対処しないといけないの」
なるほど。
その考えはよく理解できる。
ただ、今は……。
大物が潜んでいる気配など微塵も感知できない。
「怪物なんて滅多に出ないけどな」
「武上君!」
「ああ、油断はしねえって。けどよ、あのカマキリの後ろに邪狼狗みたいな化け物が隠れてる可能性は低いぞ」
じゃろうぐ?
古野白さんが以前戦った大物異形の名前か?
「それでもよ。可能性はゼロじゃないの!」
「まあなぁ」
「……まず私が炎を放つから、武上君は指示するまで動かないで」
「りょーかい」
「……」
「っ!?」
「近いんですか?」
「有馬君、どうして?」
「……何となく、勘です」
「……」
「おい、アレって異形か?」
「はぁ~。……そうよ」
「どこに出たんだ?」
「……この近くの住宅街らしいわ」
「ちっ、すぐに向かうぞ!」
「あなたねぇ」
立ち上がる武上を、古野白さんが呆れたように見つめている。
が、それでも焦燥の色は隠せない。
「厄介な異形なんですね?」
「直接見てみないと分からないわ。ただ簡単でない可能性も……あるとは思う」
「そうですか」
彼女がこんな顔色を見せるなんて、滅多にあることじゃない。
「コーキさん?」
セレス様も同じ気持ちか。
そうだよな。
見過ごせないよな。
「では、向かいましょう」
「武上君、今回は暴走しないでよ」
「おう、了解だぜ!」
「……無理して倒す必要はないの。鷹郷さんたちが到着するまで足止めできれば十分。分かってるわよね」
「だから、分かってるって」
「……」
俺の数歩前で、異形に対峙する古野白さん。
背中からは緊張感が漂ってくる。
その隣にいる武上は好戦的な目つき。
言葉とは裏腹に、今にも暴走しそうな勢いだ。
対する異形は古野白さんの10メートル前方。
今は動きを止め、古野白さんと武上を凝視している。
「ギギィ」
巨大なカマキリを思わせる肢体。
よく見ると異なる点は多いものの、遠目にはカマキリにしか見えないな。
「ギギギ」
体長は人と変わらぬ2メートル弱。
大したことはない。
が、その緑色の節くれだった脚と膨らんだ腹を持つ胴体が人外だと強調しているようだ。
「ギギィ」
さらに、この耳障りな高音が否応なく不快感を与えてくる。
明らかに、常識の埒外に存在する生物だろう。
とはいえ。
体から発する気配に脅威は感じない。
おそらくは、ダブルヘッドの足元にも及ばないはず。
鑑定上も……。
特に問題はないな。
「……」
それでも、古野白さんは警戒を緩めるそぶりを見せない。
緊張感を保っている。
「あの異形のレベルはどの程度なんです?」
「中の下くらいだと思うわ」
具体的な強さは分からないものの、中の下なら大したことはないのでは?
だったら、古野白さんの警戒は?
「ただし、先があるかもしれない」
「先……?」
現状の強さとは別に何があるんだ?
「先に怪物が潜んでる可能性があるの」
カマキリの異形とは別に、大物が隠れてるってことか?
「以前、酷い目に遭ったのよ」
それで警戒を緩めることができないんだな。
「だから、異形を相手にする時は慎重に対処しないといけないの」
なるほど。
その考えはよく理解できる。
ただ、今は……。
大物が潜んでいる気配など微塵も感知できない。
「怪物なんて滅多に出ないけどな」
「武上君!」
「ああ、油断はしねえって。けどよ、あのカマキリの後ろに邪狼狗みたいな化け物が隠れてる可能性は低いぞ」
じゃろうぐ?
古野白さんが以前戦った大物異形の名前か?
「それでもよ。可能性はゼロじゃないの!」
「まあなぁ」
「……まず私が炎を放つから、武上君は指示するまで動かないで」
「りょーかい」
「……」
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