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第8章 南部動乱編
迎撃 1
「コーキ!」
「コーキ殿!」
「……分かりました。あれを使いましょう。ただし、矢数は控えてください」
「承知しました! スぺリス、準備はできておるな」
「はっ、問題ありません」
「ふむ。ならば……皆の者、エンノアの力を見せてやろうではないか!」
「「「「「「「おう!!」」」」」」」
「「「「「「「おお!!」」」」」」」
怒声にも似た喊声をあげるエンノアの民。
傍らのワディン騎士たちも気合が入っている。
「こいつぁ、楽しみになってきたぜ。なあ、コーキ」
まあ。
一度試してみるのも悪いことじゃない、か。
********************
<イリアル視点>
「やつら、逃げずに戦うつもりか?」
「そうでしょうね。ワディン騎士たちが立ち止まっていますから」
「ふむ。覚悟を決めたのか、あるいは、また何か策でも弄して?」
数々の奇襲を仕掛けてきたやつらのこと。
トゥオヴィが不審に思うのも当然。
ただ。
「援軍が来ただけかもしれませんよ」
「確かに、それなりの数になっておるな」
入手した情報が正確であるなら、ワディン騎士の総数は約50。
今回の遊撃部隊が20程度だったから、残り30名の騎士が参戦可能ってことだ。
対するレザンジュ側は600。
準備は万端。
士気も高い。
問題などまったくない態勢だな。
まっ、あくまで計算上は、だけどよ。
「援軍だけで済めば良いが……」
はは。
これでも不安ってか。
トゥオヴィらしい慎重さだぜ。
けど、その不安、当たってるかもしんねえぞ。
「イリアルはどう見る?」
「そうですねぇ……」
計算も、常識もこっちの勝利を保証しているものの、向こうにはあいつがいる。
「秘策の有無にかかわらず、敵にはかなりの手練れがいますからね。この数でも油断はできないのでは?」
「……だな」
「とはいえ、ここで退く手はないでしょ。特に上はそう考えるはずですよ」
「うむ……。散々苦杯を嘗めてきたのだ。止まれと言うのも無理な相談か」
「ええ、多少の犠牲を払おうと、やる気は失せないでしょうね」
何度も苦汁を味わってきたんだ。
この追撃戦でその借りを返そうと躍起になる気持ちも理解できるわな。
実際、今回はここまで上手くはまっている。
包囲網は突破されちまったが、それも想定内ってやつだ。
まっ、上にとっちゃあ、想定外だろうがよ。
それでも、ここまで追いつめてきたのは王軍の力に違いない。
さっきの待ち伏せといい、この追撃といい、なかなかしっかり戦ってると思うぜ。
もちろん、俺がちっと力を貸したからだけどな。
「で、我らはここで待機すれば良いのか?」
「ええ。手柄は譲ってやりましょう」
「イリアル……。やはり、何かあると踏んでいるのだな」
「さあ、どうでしょ? 先のことは分かりませんからねぇ」
「……」
正直、敵の策云々よりも、あのバケモンと正面から戦いたくないってのが本音だ。
一歩間違えりゃ、こっちの命が危ないからよ。
俺たち小隊はここで後詰めして、王軍本隊に任せるのが賢い選択ってもんだぜ。
ただ、こうして遠距離から眺めているばかりなんで、バケモンの中身をまだ魔眼で見抜けてねえ。
そこだけがなぁ……。
「狭隘な地形だから手こずってはいるが……。今のところ敵に目立った策はないようだな」
「ですね」
「このまま押しきれるんじゃないか?」
その可能性も……。
いや、いや。
なわけねえって。
というか、それは困るぞ。
ここで王軍があいつらを征圧なんてしちまったら大問題だ。
完全に計算が狂っちまう。
バケモンが出るにしろ、何か仕掛けるにしろ。
さっさとしてくれよ。
……ん?
ワディンの後ろのやつら……?
奇妙な構えをとってる?
こっから仕掛けてくんのか?
「コーキ殿!」
「……分かりました。あれを使いましょう。ただし、矢数は控えてください」
「承知しました! スぺリス、準備はできておるな」
「はっ、問題ありません」
「ふむ。ならば……皆の者、エンノアの力を見せてやろうではないか!」
「「「「「「「おう!!」」」」」」」
「「「「「「「おお!!」」」」」」」
怒声にも似た喊声をあげるエンノアの民。
傍らのワディン騎士たちも気合が入っている。
「こいつぁ、楽しみになってきたぜ。なあ、コーキ」
まあ。
一度試してみるのも悪いことじゃない、か。
********************
<イリアル視点>
「やつら、逃げずに戦うつもりか?」
「そうでしょうね。ワディン騎士たちが立ち止まっていますから」
「ふむ。覚悟を決めたのか、あるいは、また何か策でも弄して?」
数々の奇襲を仕掛けてきたやつらのこと。
トゥオヴィが不審に思うのも当然。
ただ。
「援軍が来ただけかもしれませんよ」
「確かに、それなりの数になっておるな」
入手した情報が正確であるなら、ワディン騎士の総数は約50。
今回の遊撃部隊が20程度だったから、残り30名の騎士が参戦可能ってことだ。
対するレザンジュ側は600。
準備は万端。
士気も高い。
問題などまったくない態勢だな。
まっ、あくまで計算上は、だけどよ。
「援軍だけで済めば良いが……」
はは。
これでも不安ってか。
トゥオヴィらしい慎重さだぜ。
けど、その不安、当たってるかもしんねえぞ。
「イリアルはどう見る?」
「そうですねぇ……」
計算も、常識もこっちの勝利を保証しているものの、向こうにはあいつがいる。
「秘策の有無にかかわらず、敵にはかなりの手練れがいますからね。この数でも油断はできないのでは?」
「……だな」
「とはいえ、ここで退く手はないでしょ。特に上はそう考えるはずですよ」
「うむ……。散々苦杯を嘗めてきたのだ。止まれと言うのも無理な相談か」
「ええ、多少の犠牲を払おうと、やる気は失せないでしょうね」
何度も苦汁を味わってきたんだ。
この追撃戦でその借りを返そうと躍起になる気持ちも理解できるわな。
実際、今回はここまで上手くはまっている。
包囲網は突破されちまったが、それも想定内ってやつだ。
まっ、上にとっちゃあ、想定外だろうがよ。
それでも、ここまで追いつめてきたのは王軍の力に違いない。
さっきの待ち伏せといい、この追撃といい、なかなかしっかり戦ってると思うぜ。
もちろん、俺がちっと力を貸したからだけどな。
「で、我らはここで待機すれば良いのか?」
「ええ。手柄は譲ってやりましょう」
「イリアル……。やはり、何かあると踏んでいるのだな」
「さあ、どうでしょ? 先のことは分かりませんからねぇ」
「……」
正直、敵の策云々よりも、あのバケモンと正面から戦いたくないってのが本音だ。
一歩間違えりゃ、こっちの命が危ないからよ。
俺たち小隊はここで後詰めして、王軍本隊に任せるのが賢い選択ってもんだぜ。
ただ、こうして遠距離から眺めているばかりなんで、バケモンの中身をまだ魔眼で見抜けてねえ。
そこだけがなぁ……。
「狭隘な地形だから手こずってはいるが……。今のところ敵に目立った策はないようだな」
「ですね」
「このまま押しきれるんじゃないか?」
その可能性も……。
いや、いや。
なわけねえって。
というか、それは困るぞ。
ここで王軍があいつらを征圧なんてしちまったら大問題だ。
完全に計算が狂っちまう。
バケモンが出るにしろ、何か仕掛けるにしろ。
さっさとしてくれよ。
……ん?
ワディンの後ろのやつら……?
奇妙な構えをとってる?
こっから仕掛けてくんのか?
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