717 / 1,640
第8章 南部動乱編
満足
<イリアル視点>
「イリアル、あれは何なのだ?」
先陣から距離を取り、少し落ち着きを取り戻したトゥオヴィが尋ねてくる。
「よく分かりませんが……。魔道具の類でしょうかね」
「魔道具?」
魔眼をもってしても魔道具の性能までは見抜けない。
ましてや、この距離だ。
状況の確認で手一杯なんだぜ。
まっ、それでも、こうして戦況の推移を見守れるってのは悪くねえだろ。
魔眼がなきゃ、細かいことなんざぁ全く分かんねえんだからよ。
「武器として使える魔道具、魔法を内包した魔道具、確かにそういう類は存在する。しかし、どれもこれも貴重な品でそう簡単に手に入るものではない。それを、あれほど?」
さっきの斉射で矢の数は50を数えた。
1射で複数の矢を撃てる魔道具だとしても、それなりの数をそろえる必要がある。
十分恐ろしい数だ。
「逃亡続きのワディン騎士が手に入れることなどできるのか?」
「……」
「あり得ない」
ああ、そうだよな。
ちょっと信じられないよな。
「しかも、異常なまでの威力」
それも、その通り。
宝具に匹敵するような威力だった。
「あのような魔道具、噂にも耳にしたことがない」
「……」
「イリアルはどうだ? 聞いたことがあるか?」
「いえ」
こっちも初耳で初見だよ。
「イリアルも……」
ある程度情報を持っていた俺でも、こんな魔道具の存在は知らなかったんだ。
トゥオヴィが知らないのも当然。
おそらく、メルビンも知らねえだろう。ボスも……。
「とんでもないな」
「ええ。空中で爆裂する矢なんてね」
「防げるだろうか?」
「正面からの攻撃なら、防御も可能かもしれません」
強固な盾か魔法壁があれば、少なくとも一撃は防げるだろう。
が、数撃防ぎきれるかというと自信は持てない。
その上、さっきの爆裂は単純なものじゃなかった。
爆風が四方八方に拡がり、とんでもない威力を見せていた。
あの爆裂が多数起こるとなると……。
全方向の防御が必要になる、か。
「複数回撃たれても?」
「それは……簡単ではありませんね」
「……」
「ただ、あれだけ強力な魔道具です。矢数、弾数には限りがあるはずです」
そうでないと、困る。
あんなもん大量に使われたら堪ったもんじゃない。
ちょっとした兵力差なんて、すぐひっくり返っちまう。
「先刻は結構な数を撃たれたぞ」
「2斉射で100撃程度ですよ」
「まだ終わりではないのでは?」
「どうでしょ? 奴らも今は沈黙してますしね。残数があるとしても、そう多くはないと思いますけど」
常識的に考えて、発射用の魔道具も矢も大量に持っているはずがないんだ。
「だと良いが」
「ええ」
「……」
まっ、この場で推測してもしょうがない。
それより。
「もう少し様子を見たら、本隊に戻って千人長に報告した方がいいですね」
「魔道具には残数がないと言いながら、追撃は失敗すると見てるのだな」
この流れは、そうなると思うぜ。
「ふふ、まあいい」
「……」
「今回は貴重な魔道具の情報を得られたのだからな」
王軍は兵数で敵を大きく上回っている。
この追撃が失敗に終わっても、情報を掴めれば十分。
次、あるいは、その次の追撃で活かせばいいだけ。
ってことか。
「良しとしよう」
「イリアル、あれは何なのだ?」
先陣から距離を取り、少し落ち着きを取り戻したトゥオヴィが尋ねてくる。
「よく分かりませんが……。魔道具の類でしょうかね」
「魔道具?」
魔眼をもってしても魔道具の性能までは見抜けない。
ましてや、この距離だ。
状況の確認で手一杯なんだぜ。
まっ、それでも、こうして戦況の推移を見守れるってのは悪くねえだろ。
魔眼がなきゃ、細かいことなんざぁ全く分かんねえんだからよ。
「武器として使える魔道具、魔法を内包した魔道具、確かにそういう類は存在する。しかし、どれもこれも貴重な品でそう簡単に手に入るものではない。それを、あれほど?」
さっきの斉射で矢の数は50を数えた。
1射で複数の矢を撃てる魔道具だとしても、それなりの数をそろえる必要がある。
十分恐ろしい数だ。
「逃亡続きのワディン騎士が手に入れることなどできるのか?」
「……」
「あり得ない」
ああ、そうだよな。
ちょっと信じられないよな。
「しかも、異常なまでの威力」
それも、その通り。
宝具に匹敵するような威力だった。
「あのような魔道具、噂にも耳にしたことがない」
「……」
「イリアルはどうだ? 聞いたことがあるか?」
「いえ」
こっちも初耳で初見だよ。
「イリアルも……」
ある程度情報を持っていた俺でも、こんな魔道具の存在は知らなかったんだ。
トゥオヴィが知らないのも当然。
おそらく、メルビンも知らねえだろう。ボスも……。
「とんでもないな」
「ええ。空中で爆裂する矢なんてね」
「防げるだろうか?」
「正面からの攻撃なら、防御も可能かもしれません」
強固な盾か魔法壁があれば、少なくとも一撃は防げるだろう。
が、数撃防ぎきれるかというと自信は持てない。
その上、さっきの爆裂は単純なものじゃなかった。
爆風が四方八方に拡がり、とんでもない威力を見せていた。
あの爆裂が多数起こるとなると……。
全方向の防御が必要になる、か。
「複数回撃たれても?」
「それは……簡単ではありませんね」
「……」
「ただ、あれだけ強力な魔道具です。矢数、弾数には限りがあるはずです」
そうでないと、困る。
あんなもん大量に使われたら堪ったもんじゃない。
ちょっとした兵力差なんて、すぐひっくり返っちまう。
「先刻は結構な数を撃たれたぞ」
「2斉射で100撃程度ですよ」
「まだ終わりではないのでは?」
「どうでしょ? 奴らも今は沈黙してますしね。残数があるとしても、そう多くはないと思いますけど」
常識的に考えて、発射用の魔道具も矢も大量に持っているはずがないんだ。
「だと良いが」
「ええ」
「……」
まっ、この場で推測してもしょうがない。
それより。
「もう少し様子を見たら、本隊に戻って千人長に報告した方がいいですね」
「魔道具には残数がないと言いながら、追撃は失敗すると見てるのだな」
この流れは、そうなると思うぜ。
「ふふ、まあいい」
「……」
「今回は貴重な魔道具の情報を得られたのだからな」
王軍は兵数で敵を大きく上回っている。
この追撃が失敗に終わっても、情報を掴めれば十分。
次、あるいは、その次の追撃で活かせばいいだけ。
ってことか。
「良しとしよう」
あなたにおすすめの小説
ひだまりのFランク冒険者
みなと劉
ファンタジー
ここは異世界。
そこの冒険者ギルドでは毎日仕事がてんこ盛り。
そんな中
冒険者ギルドには万年Fランクの冒険者が一人いる。
その名は、リルド。
彼は、特に何もない感じに毎日
「薬草採取」「石集め」Fランク向け「討伐」場合によっては「ポーション生成」をする。
この話はこの万年Fランク冒険者リルドの物語である。
ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
WIN5で六億円馬券当てちゃった俺がいろいろ巻き込まれた結果現代社会で無双する!
TB
ファンタジー
小栗東〈おぐりあずま〉 二十九歳 趣味競馬 派遣社員。
その日、負け組な感じの人生を歩んできた俺に神が舞い降りた。
競馬のWIN5を的中させその配当は的中者一名だけの六億円だったのだ。
俺は仕事を辞め、豪華客船での世界一周旅行に旅立った。
その航海中に太平洋上で嵐に巻き込まれ豪華客船は沈没してしまう。
意識を失った俺がつぎに気付いたのは穏やかな海上。
相変わらずの豪華客船の中だった。
しかし、そこは地球では無かった。
魔法の存在する世界、そしてギャンブルが支配をする世界だった。
船の乗客二千名、クルー二百名とともにこの異世界の大陸国家カージノで様々な出来事はあったが、無事に地球に戻る事が出来た。
ただし……人口一億人を超えるカージノ大陸と地球には生存しない魔獣たちも一緒に太平洋のど真ん中へ……
果たして、地球と東の運命はどうなるの?
14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク
普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。
だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。
洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。
------
この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが
[完]異世界銭湯
三園 七詩
ファンタジー
下町で昔ながらの薪で沸かす銭湯を経営する一家が住んでいた。
しかし近くにスーパー銭湯が出来てから客足が激減…このままでは店を畳むしかない、そう思っていた。
暗い気持ちで目覚め、いつもの習慣のように準備をしようと外に出ると…そこは見慣れた下町ではなく見たことも無い場所に銭湯は建っていた…
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
病弱設定されているようです
との
恋愛
『あのようにご立派な家門にお産まれになられたのに⋯⋯お可哀想なご令嬢だそうですのよ』
なんて噂が流れているけれど、誰も会ったことがないミリー・ミッドランド侯爵令嬢。
ネグレクトなんて言葉はない時代に生まれ落ちて、前世の記憶を取り戻したら⋯⋯。
前世の記憶と共に無双します!
再開しました。完結まで続投です。
ーーーーーー
恋愛小説大賞27位、ありがとうございました(感謝)
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定。
完結確定、R15は念の為・・