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第8章 南部動乱編
テポレン山の戦い 2
ただし、避けられない問題があるのも事実だ。
あの果てしない落下に耐えることができるのか?
地下深い魔落まで無事にたどり着ける者がいるのか?
仮に無事に到着できたとしても、魔落で生き延びることができるのか?
数人なら俺が補助することも可能だろう。
が、ワディン騎士やエンノアを全員助けるのは不可能。
やはり、現実的じゃない。
今の段階で選べる手段じゃない。
となると。
魔落への避難は、最悪の状況に陥った時のみ。
助けることができるのも、幸奈とシア、アル、ヴァーン、それにディアナ、ユーフィリア……。
「それで、コーキは何を選ぶ? もう心は決まってんだろ」
「……」
「コーキさん?」
「コーキ殿?」
ヴァーンに加え顔を向けてくるのは、アルとディアナ。
「今すぐに地下が王軍に知れるということはないはずだ。もう少し猶予はある」
「だな。で、猶予が切れたら?」
「……敵が地下に気づかない限りは潜んでいた方がいい。が、気づくようなら」
その時は覚悟を決めて。
「戦うしかない」
「……地上でか?」
「ああ」
地下でも地上でも難しい戦いになることに疑いはない。
それでも地上で魔道具を駆使すれば、一縷の望みはある。
「コーキの準備はそのためのもの、なんだな?」
いまだ自信は持てないが、力強く頷いてやる。
「だったら、俺はおめえを信じてやるだけだぜ」
「おれもだ! コーキさんの指示に従う!」
「私も全力を尽くそう」
「ヴァーン、アル、ディアナ……」
その信頼に応えることができるよう頑張るしかない、か。
とはいえ。
「方針を決めるのは俺じゃないけどな」
「なわけねえ。コーキが言ったら通るに決まってんぜ」
「そうそう。皆もコーキさんの言葉は聞くって」
「うむ。これまでの功績を考えても、コーキ殿の意向を無視できる者はいないはずだ」
「……俺は指揮官じゃないし、そもそも戦争の経験だってないんだぞ」
「この状況だぜ。そんなこたぁ問題じゃねえ。コーキだって分ってんだろ?」
「……」
「軍議で発言を控えてたのも自分の言葉の重さを理解してたから。だよな?」
ああ、その通りだ。
「もう潮時だからよ。次の軍議でビシッと言ってやれ」
*******************
<イリアル視点>
「全軍進めぇ!!」
テポレン山の麓に鋭く響き渡る声。
「「「「「「「「「「おお!!」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「おう!!」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「おー!!」」」」」」」」」」
1万の大軍を指揮する将官の一声で、喊声をあげる兵たち。
待ち続けていたこの時に、興奮を抑えきれないようだ。
まっ、ここまでが長かったからな。
その気持ちも分かるぜ。
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ。
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ。
テポレンの地に轟く勇壮な足音。
周りに放出されている凄まじい熱気。
目を瞑っていても、やる気に満ち溢れているのを感じちまう。
「……」
新たに1万が加わったとはいえ、大したもんだな。
崩れかけていた士気を立て直し、ここまで兵をまとめることができるとはよ。
今回の指揮官、千人長たちとは器が違うってことか。
ほんと、緩むことのない隊列でテポレン山を上っていく姿は、頼もしい限りだわ。
「イリアル?」
傍らには、いつものようにトゥオヴィの姿。
「おまえも前戦で戦いたいのか?」
「いえいえ、後詰めで十分ですよ」
「その腕があれば、前線でも十分活躍できるのにな」
「トゥオヴィ様、分かってて言ってるでしょ」
「ふふ……」
トゥオヴィとは付き合いが長いんだ。
ある程度は俺の性格も理解している。
なら、俺が先陣など求めていないのも分かっているはず。
分かっていて口に出すとは、彼女も少し高揚しているってことか?
あの果てしない落下に耐えることができるのか?
地下深い魔落まで無事にたどり着ける者がいるのか?
仮に無事に到着できたとしても、魔落で生き延びることができるのか?
数人なら俺が補助することも可能だろう。
が、ワディン騎士やエンノアを全員助けるのは不可能。
やはり、現実的じゃない。
今の段階で選べる手段じゃない。
となると。
魔落への避難は、最悪の状況に陥った時のみ。
助けることができるのも、幸奈とシア、アル、ヴァーン、それにディアナ、ユーフィリア……。
「それで、コーキは何を選ぶ? もう心は決まってんだろ」
「……」
「コーキさん?」
「コーキ殿?」
ヴァーンに加え顔を向けてくるのは、アルとディアナ。
「今すぐに地下が王軍に知れるということはないはずだ。もう少し猶予はある」
「だな。で、猶予が切れたら?」
「……敵が地下に気づかない限りは潜んでいた方がいい。が、気づくようなら」
その時は覚悟を決めて。
「戦うしかない」
「……地上でか?」
「ああ」
地下でも地上でも難しい戦いになることに疑いはない。
それでも地上で魔道具を駆使すれば、一縷の望みはある。
「コーキの準備はそのためのもの、なんだな?」
いまだ自信は持てないが、力強く頷いてやる。
「だったら、俺はおめえを信じてやるだけだぜ」
「おれもだ! コーキさんの指示に従う!」
「私も全力を尽くそう」
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その信頼に応えることができるよう頑張るしかない、か。
とはいえ。
「方針を決めるのは俺じゃないけどな」
「なわけねえ。コーキが言ったら通るに決まってんぜ」
「そうそう。皆もコーキさんの言葉は聞くって」
「うむ。これまでの功績を考えても、コーキ殿の意向を無視できる者はいないはずだ」
「……俺は指揮官じゃないし、そもそも戦争の経験だってないんだぞ」
「この状況だぜ。そんなこたぁ問題じゃねえ。コーキだって分ってんだろ?」
「……」
「軍議で発言を控えてたのも自分の言葉の重さを理解してたから。だよな?」
ああ、その通りだ。
「もう潮時だからよ。次の軍議でビシッと言ってやれ」
*******************
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「全軍進めぇ!!」
テポレン山の麓に鋭く響き渡る声。
「「「「「「「「「「おお!!」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「おう!!」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「おー!!」」」」」」」」」」
1万の大軍を指揮する将官の一声で、喊声をあげる兵たち。
待ち続けていたこの時に、興奮を抑えきれないようだ。
まっ、ここまでが長かったからな。
その気持ちも分かるぜ。
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ。
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、ザッ。
テポレンの地に轟く勇壮な足音。
周りに放出されている凄まじい熱気。
目を瞑っていても、やる気に満ち溢れているのを感じちまう。
「……」
新たに1万が加わったとはいえ、大したもんだな。
崩れかけていた士気を立て直し、ここまで兵をまとめることができるとはよ。
今回の指揮官、千人長たちとは器が違うってことか。
ほんと、緩むことのない隊列でテポレン山を上っていく姿は、頼もしい限りだわ。
「イリアル?」
傍らには、いつものようにトゥオヴィの姿。
「おまえも前戦で戦いたいのか?」
「いえいえ、後詰めで十分ですよ」
「その腕があれば、前線でも十分活躍できるのにな」
「トゥオヴィ様、分かってて言ってるでしょ」
「ふふ……」
トゥオヴィとは付き合いが長いんだ。
ある程度は俺の性格も理解している。
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