30年待たされた異世界転移

明之 想

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第8章 南部動乱編

宴 4

 このステータスは?

「……」

 ありがたい。
 本当にありがたい。
 そう思うけれど、俺だけがこんな恩恵を貰ってもいいものなのか?
 どうしても、申し訳ない気持ちが生まれてしまう。

「ふぅぅ」

 今さらか。
 そうだよなぁ。

 この世界に足を踏み入れて以来、多くの恩恵のおかげでここまでやって来れたんだ。ここで遠慮しても仕方ない。
 いただけるものは、喜んでいただいておこう。

 で、そのステータスはというと。

 まずは、レベルアップ。
 いつの何が影響して上がったのか分からないが、とにかくまた1レベル上がっている。

 レベルアップに伴い各数値も上昇し、さらに今回は異世界間移動に関する恩恵までいただけたようだ。
 その恩恵は時間についてのもの。
 これまでは1/2だった移動先の時間経過が1/3になったんだ。

 つまり、こっちで24時間過ごして日本に戻った際、日本では8時間しか経過していないということ。

 1/2でも十分ありがたかったのに、これは有用過ぎるくらいだぞ。
 ほんと、神様には感謝しかないな。

 しかし……。

 俺の肉体の老化についてはどうなるんだ?
 今のところ全く問題はないものの、こんな活動を10年、20年と続けたら影響が出るのでは?
 それとも、老化も1/3になるとか?

「……」

 ここで考えるだけ無駄だな。
 なら、次は。


<露見>

地球    1/3
エストラル 1/3

 確定が1つずつになっている。
 セレス様と幸奈に知られているんだから当然か。

 ん?
 ちょっと待て。

 地球の露見は以前から確定1だった。
 壬生少年との戦いの後に、露見が1つ確定していたんだ。
 それなら、今は2/3になるのでは?

 壬生に何かあったのか?
 それとも、幸奈の露見がまだ未確定なのか?

 分からない。
 分からないけれど……。
 これは悪いことじゃない、よな。

「……」

 とりあえず、今はこの事実をありがたく受け入れておこう。


 さて次。
 これが問題、というか驚きなんだが。

<クエスト>

1、人助け 済
2、人助け 済
3、魔物討伐 済
4、少数民族救済 済
5、貴族令嬢救出 済
6、兇神討伐 済
7、神山守護 済

 神山守護とは、今回の戦いのことだと思う。
 他に思い当たる節はないから間違いないはず。
 それで、このクエストの報酬が。

<ギフト>

異世界間移動  基礎魔法  鑑定改  多言語理解 アイテム収納
時間遡行(2刻)2


 なんと、時間遡行が2つも手に入っているんだ! 
 しかも、これまでの1刻遡行ではなく、2刻(4時間)の遡行。

 1度のクエスト達成で2つの報酬。
 しかも2刻の時間遡行。

 さすがにこの報酬は……。

 本当にいいのだろうか?
 トトメリウス様には、セーブ&リセットを禁じられたというのに?

 うーん……。



「コーキ殿、コーキ殿?」

「……メルビン、さん?」

 ひとり考えに耽っていた俺の前にはメルビンとエレナ。
 いや、今の関係なら頭の中でもメルビンさんとエレナさんと呼ぶべきかな。

「どうしました?」

「皆、話がしたいと言ってるんですよ。こちらで一緒に飲みませんか?」

「私と?」

 話を?

「他に誰がいるんです。コーキさん、こっちに来てください」

 そう言って俺の手を取るエレナさん。

「……良いのですか?」

 今の彼らは仲間同士で盛り上がっているところ。
 そこに俺が入っても?

「もちろん。皆喜びます」

「……それなら、少しだけ」

 これ以上の酒は控えるつもりだったが、彼らと話すなら少しはいいか。
 と思って立ち上がったところで。

「コーキさん、こっちにも来てくださいよぉ」

 ユーリアさんとアデリナさん。
 ふたりともかなり酔っているように見えるぞ。

「まずは弟子と飲むべきでしょ」

「そうですよ。一緒に飲んでください」

 ブラッドウルフの襲撃から護ることができたユーリアさん。
 自己流の治療で何とか命を救うことができたアデリナさん。
 ふたりに請われて何度か魔法を教えたことから、ともに弟子を名乗っているんだよな。

「先生、弟子って何の話です! わたしが一番弟子じゃなかったんですか?」

 シア、お前はヴァーンたちと飲んでいたんじゃ?

「ちょっと、何なんです?」

「そちらこそ!」

「……」

 みんな酒に飲まれ過ぎだ。

「はは、コーキ殿は大人気ですねぇ」

 笑ってないで助けてくれ、メルビンさん。




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