810 / 1,640
第8章 南部動乱編
よかったね!
「さあ、話そう! って、何の話からだっけ?」
「……」
「あれ?」
無理だな。
「今夜はやめた方がいい。また明日にでも話そう」
「ええ~、どうしてよぉ?」
「幸奈が酔ってるからだ」
「わたし、酔ってないのに」
「いーや、完全に酔っぱらっている」
「酔ってない。功己と話すんだから」
はぁ~。
幸奈って、こんな酒癖だったのか?
知らなかったぞ。
まあな、これまで色々あったし、記憶も取り戻したところだから、今夜は仕方ないとしてもだ。さすがに、これは……。
って!
「おい!」
俺の腕を引っ張り回すのはやめろ。
「なによぉ?」
もう話どころじゃないな。
「話さないのぉ?」
「……」
治癒魔法でも使うか?
多少は酔い覚ましの効果もあるはずだからな。
「幸奈」
「なに~~~。ん? んん?」
治癒の光が幸奈を包み込む。
「……えっ!?」
魔法の効果が現れたようだな。
「ええっ!?」
違う意味で顔を赤らめ、俺の腕を離し後ろに飛びのいて行く。
「ち、違うんだよ。わたし、その……」
必死に言い訳しようとする幸奈。
「だから、その、ねっ、分かるでしょ?」
久しぶりのその姿に、つい和んでしまう。
「功己ぃ?」
「大丈夫、分かってる」
「そ、そうよね。功己なら分かってくれるよね」
「もちろんだ」
「よかったぁ」
「……」
俺の目の前にはセレス様の笑顔。
なのに、さっきの動きもこの笑顔も幸奈のそれにしか見えない。
昨日までとは全く違う。
ほんと、不思議だよ。
「でも……」
「ん?」
「ごめんね?」
頭を下げながらも、こちらを見上げてくる幸奈。
「……」
これも幸奈らしい仕草だ。
けど、セレス様の姿でそれをするのは……。
入れ替わった後、記憶を共有できるセレス様がどう思うか考えると……。
「あっ、でも、これで話ができるね」
「……だな」
ということで、宴の喧騒から離れた部屋の中でこれまでの事を簡単に話すことになった。魂替以降の話だけじゃない。俺が異世界に来ることになった経緯も含め、ほぼ全てをだ。
「そんなことが……」
驚くのも当然。
ただ、今の幸奈はセレス様の記憶を持っている。
セレス様の身体でここまで暮らしてきた経験もある。
「とんでもない話」
そんな幸奈なら、理解できるはず。
「すべて真実なのよね?」
「ああ」
「ほんと、信じられない」
しきりに首を振っている。
「でも、功己もわたしも今ここにいるわけだし……受け入れるしかないよね」
「信じてくれるのか?」
「うん! 功己の言うことだもん」
幸奈……。
「しっかし、そういうことだったんだぁ」
「……」
「……よかったね、功己」
よかった?
「だって、そうでしょ」
何のことだ?
「夢を叶えて、こんな冒険ができているんだよ。功己がずっと頑張ってきたのも、このためだったんだから」
「……」
「わたしも嬉しいよ」
そんな笑顔で……。
「ほんと、嬉しいな」
「幸奈……そう思ってくれるのか?」
「もちろん。功己が嬉しいと、わたしも嬉しいんだから」
「そっか……」
20歳になるまでずっと異世界のことばかり考えて、幸奈のことは放っていたのに。苦しむ幸奈に手を差し出すどころか、気づくことさえなかったのに。
それなのに、幸奈は……。
「ほら、そんな顔しないで」
ごめんな、幸奈。
そして、ありがとうな。
「功己は、もっと自分のこと考えなきゃ」
「……」
「この世界を楽しんでいいんだから、ねっ」
幸奈、本当にありがとう。
「でもさ、今は楽しんでる場合じゃないか」
「……」
「急がないとね」
「……急ぐ?」
「入れ替わりだよ。早くセレスさんをこの世界に戻してあげないと駄目でしょ」
「……」
「あれ?」
無理だな。
「今夜はやめた方がいい。また明日にでも話そう」
「ええ~、どうしてよぉ?」
「幸奈が酔ってるからだ」
「わたし、酔ってないのに」
「いーや、完全に酔っぱらっている」
「酔ってない。功己と話すんだから」
はぁ~。
幸奈って、こんな酒癖だったのか?
知らなかったぞ。
まあな、これまで色々あったし、記憶も取り戻したところだから、今夜は仕方ないとしてもだ。さすがに、これは……。
って!
「おい!」
俺の腕を引っ張り回すのはやめろ。
「なによぉ?」
もう話どころじゃないな。
「話さないのぉ?」
「……」
治癒魔法でも使うか?
多少は酔い覚ましの効果もあるはずだからな。
「幸奈」
「なに~~~。ん? んん?」
治癒の光が幸奈を包み込む。
「……えっ!?」
魔法の効果が現れたようだな。
「ええっ!?」
違う意味で顔を赤らめ、俺の腕を離し後ろに飛びのいて行く。
「ち、違うんだよ。わたし、その……」
必死に言い訳しようとする幸奈。
「だから、その、ねっ、分かるでしょ?」
久しぶりのその姿に、つい和んでしまう。
「功己ぃ?」
「大丈夫、分かってる」
「そ、そうよね。功己なら分かってくれるよね」
「もちろんだ」
「よかったぁ」
「……」
俺の目の前にはセレス様の笑顔。
なのに、さっきの動きもこの笑顔も幸奈のそれにしか見えない。
昨日までとは全く違う。
ほんと、不思議だよ。
「でも……」
「ん?」
「ごめんね?」
頭を下げながらも、こちらを見上げてくる幸奈。
「……」
これも幸奈らしい仕草だ。
けど、セレス様の姿でそれをするのは……。
入れ替わった後、記憶を共有できるセレス様がどう思うか考えると……。
「あっ、でも、これで話ができるね」
「……だな」
ということで、宴の喧騒から離れた部屋の中でこれまでの事を簡単に話すことになった。魂替以降の話だけじゃない。俺が異世界に来ることになった経緯も含め、ほぼ全てをだ。
「そんなことが……」
驚くのも当然。
ただ、今の幸奈はセレス様の記憶を持っている。
セレス様の身体でここまで暮らしてきた経験もある。
「とんでもない話」
そんな幸奈なら、理解できるはず。
「すべて真実なのよね?」
「ああ」
「ほんと、信じられない」
しきりに首を振っている。
「でも、功己もわたしも今ここにいるわけだし……受け入れるしかないよね」
「信じてくれるのか?」
「うん! 功己の言うことだもん」
幸奈……。
「しっかし、そういうことだったんだぁ」
「……」
「……よかったね、功己」
よかった?
「だって、そうでしょ」
何のことだ?
「夢を叶えて、こんな冒険ができているんだよ。功己がずっと頑張ってきたのも、このためだったんだから」
「……」
「わたしも嬉しいよ」
そんな笑顔で……。
「ほんと、嬉しいな」
「幸奈……そう思ってくれるのか?」
「もちろん。功己が嬉しいと、わたしも嬉しいんだから」
「そっか……」
20歳になるまでずっと異世界のことばかり考えて、幸奈のことは放っていたのに。苦しむ幸奈に手を差し出すどころか、気づくことさえなかったのに。
それなのに、幸奈は……。
「ほら、そんな顔しないで」
ごめんな、幸奈。
そして、ありがとうな。
「功己は、もっと自分のこと考えなきゃ」
「……」
「この世界を楽しんでいいんだから、ねっ」
幸奈、本当にありがとう。
「でもさ、今は楽しんでる場合じゃないか」
「……」
「急がないとね」
「……急ぐ?」
「入れ替わりだよ。早くセレスさんをこの世界に戻してあげないと駄目でしょ」
あなたにおすすめの小説
ひだまりのFランク冒険者
みなと劉
ファンタジー
ここは異世界。
そこの冒険者ギルドでは毎日仕事がてんこ盛り。
そんな中
冒険者ギルドには万年Fランクの冒険者が一人いる。
その名は、リルド。
彼は、特に何もない感じに毎日
「薬草採取」「石集め」Fランク向け「討伐」場合によっては「ポーション生成」をする。
この話はこの万年Fランク冒険者リルドの物語である。
ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク
普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。
だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。
洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。
------
この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
WIN5で六億円馬券当てちゃった俺がいろいろ巻き込まれた結果現代社会で無双する!
TB
ファンタジー
小栗東〈おぐりあずま〉 二十九歳 趣味競馬 派遣社員。
その日、負け組な感じの人生を歩んできた俺に神が舞い降りた。
競馬のWIN5を的中させその配当は的中者一名だけの六億円だったのだ。
俺は仕事を辞め、豪華客船での世界一周旅行に旅立った。
その航海中に太平洋上で嵐に巻き込まれ豪華客船は沈没してしまう。
意識を失った俺がつぎに気付いたのは穏やかな海上。
相変わらずの豪華客船の中だった。
しかし、そこは地球では無かった。
魔法の存在する世界、そしてギャンブルが支配をする世界だった。
船の乗客二千名、クルー二百名とともにこの異世界の大陸国家カージノで様々な出来事はあったが、無事に地球に戻る事が出来た。
ただし……人口一億人を超えるカージノ大陸と地球には生存しない魔獣たちも一緒に太平洋のど真ん中へ……
果たして、地球と東の運命はどうなるの?
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。