810 / 1,578
第8章 南部動乱編
よかったね!
しおりを挟む
「さあ、話そう! って、何の話からだっけ?」
「……」
「あれ?」
無理だな。
「今夜はやめた方がいい。また明日にでも話そう」
「ええ~、どうしてよぉ?」
「幸奈が酔ってるからだ」
「わたし、酔ってないのに」
「いーや、完全に酔っぱらっている」
「酔ってない。功己と話すんだから」
はぁ~。
幸奈って、こんな酒癖だったのか?
知らなかったぞ。
まあな、これまで色々あったし、記憶も取り戻したところだから、今夜は仕方ないとしてもだ。さすがに、これは……。
って!
「おい!」
俺の腕を引っ張り回すのはやめろ。
「なによぉ?」
もう話どころじゃないな。
「話さないのぉ?」
「……」
治癒魔法でも使うか?
多少は酔い覚ましの効果もあるはずだからな。
「幸奈」
「なに~~~。ん? んん?」
治癒の光が幸奈を包み込む。
「……えっ!?」
魔法の効果が現れたようだな。
「ええっ!?」
違う意味で顔を赤らめ、俺の腕を離し後ろに飛びのいて行く。
「ち、違うんだよ。わたし、その……」
必死に言い訳しようとする幸奈。
「だから、その、ねっ、分かるでしょ?」
久しぶりのその姿に、つい和んでしまう。
「功己ぃ?」
「大丈夫、分かってる」
「そ、そうよね。功己なら分かってくれるよね」
「もちろんだ」
「よかったぁ」
「……」
俺の目の前にはセレス様の笑顔。
なのに、さっきの動きもこの笑顔も幸奈のそれにしか見えない。
昨日までとは全く違う。
ほんと、不思議だよ。
「でも……」
「ん?」
「ごめんね?」
頭を下げながらも、こちらを見上げてくる幸奈。
「……」
これも幸奈らしい仕草だ。
けど、セレス様の姿でそれをするのは……。
入れ替わった後、記憶を共有できるセレス様がどう思うか考えると……。
「あっ、でも、これで話ができるね」
「……だな」
ということで、宴の喧騒から離れた部屋の中でこれまでの事を簡単に話すことになった。魂替以降の話だけじゃない。俺が異世界に来ることになった経緯も含め、ほぼ全てをだ。
「そんなことが……」
驚くのも当然。
ただ、今の幸奈はセレス様の記憶を持っている。
セレス様の身体でここまで暮らしてきた経験もある。
「とんでもない話」
そんな幸奈なら、理解できるはず。
「すべて真実なのよね?」
「ああ」
「ほんと、信じられない」
しきりに首を振っている。
「でも、功己もわたしも今ここにいるわけだし……受け入れるしかないよね」
「信じてくれるのか?」
「うん! 功己の言うことだもん」
幸奈……。
「しっかし、そういうことだったんだぁ」
「……」
「……よかったね、功己」
よかった?
「だって、そうでしょ」
何のことだ?
「夢を叶えて、こんな冒険ができているんだよ。功己がずっと頑張ってきたのも、このためだったんだから」
「……」
「わたしも嬉しいよ」
そんな笑顔で……。
「ほんと、嬉しいな」
「幸奈……そう思ってくれるのか?」
「もちろん。功己が嬉しいと、わたしも嬉しいんだから」
「そっか……」
20歳になるまでずっと異世界のことばかり考えて、幸奈のことは放っていたのに。苦しむ幸奈に手を差し出すどころか、気づくことさえなかったのに。
それなのに、幸奈は……。
「ほら、そんな顔しないで」
ごめんな、幸奈。
そして、ありがとうな。
「功己は、もっと自分のこと考えなきゃ」
「……」
「この世界を楽しんでいいんだから、ねっ」
幸奈、本当にありがとう。
「でもさ、今は楽しんでる場合じゃないか」
「……」
「急がないとね」
「……急ぐ?」
「入れ替わりだよ。早くセレスさんをこの世界に戻してあげないと駄目でしょ」
「……」
「あれ?」
無理だな。
「今夜はやめた方がいい。また明日にでも話そう」
「ええ~、どうしてよぉ?」
「幸奈が酔ってるからだ」
「わたし、酔ってないのに」
「いーや、完全に酔っぱらっている」
「酔ってない。功己と話すんだから」
はぁ~。
幸奈って、こんな酒癖だったのか?
知らなかったぞ。
まあな、これまで色々あったし、記憶も取り戻したところだから、今夜は仕方ないとしてもだ。さすがに、これは……。
って!
「おい!」
俺の腕を引っ張り回すのはやめろ。
「なによぉ?」
もう話どころじゃないな。
「話さないのぉ?」
「……」
治癒魔法でも使うか?
多少は酔い覚ましの効果もあるはずだからな。
「幸奈」
「なに~~~。ん? んん?」
治癒の光が幸奈を包み込む。
「……えっ!?」
魔法の効果が現れたようだな。
「ええっ!?」
違う意味で顔を赤らめ、俺の腕を離し後ろに飛びのいて行く。
「ち、違うんだよ。わたし、その……」
必死に言い訳しようとする幸奈。
「だから、その、ねっ、分かるでしょ?」
久しぶりのその姿に、つい和んでしまう。
「功己ぃ?」
「大丈夫、分かってる」
「そ、そうよね。功己なら分かってくれるよね」
「もちろんだ」
「よかったぁ」
「……」
俺の目の前にはセレス様の笑顔。
なのに、さっきの動きもこの笑顔も幸奈のそれにしか見えない。
昨日までとは全く違う。
ほんと、不思議だよ。
「でも……」
「ん?」
「ごめんね?」
頭を下げながらも、こちらを見上げてくる幸奈。
「……」
これも幸奈らしい仕草だ。
けど、セレス様の姿でそれをするのは……。
入れ替わった後、記憶を共有できるセレス様がどう思うか考えると……。
「あっ、でも、これで話ができるね」
「……だな」
ということで、宴の喧騒から離れた部屋の中でこれまでの事を簡単に話すことになった。魂替以降の話だけじゃない。俺が異世界に来ることになった経緯も含め、ほぼ全てをだ。
「そんなことが……」
驚くのも当然。
ただ、今の幸奈はセレス様の記憶を持っている。
セレス様の身体でここまで暮らしてきた経験もある。
「とんでもない話」
そんな幸奈なら、理解できるはず。
「すべて真実なのよね?」
「ああ」
「ほんと、信じられない」
しきりに首を振っている。
「でも、功己もわたしも今ここにいるわけだし……受け入れるしかないよね」
「信じてくれるのか?」
「うん! 功己の言うことだもん」
幸奈……。
「しっかし、そういうことだったんだぁ」
「……」
「……よかったね、功己」
よかった?
「だって、そうでしょ」
何のことだ?
「夢を叶えて、こんな冒険ができているんだよ。功己がずっと頑張ってきたのも、このためだったんだから」
「……」
「わたしも嬉しいよ」
そんな笑顔で……。
「ほんと、嬉しいな」
「幸奈……そう思ってくれるのか?」
「もちろん。功己が嬉しいと、わたしも嬉しいんだから」
「そっか……」
20歳になるまでずっと異世界のことばかり考えて、幸奈のことは放っていたのに。苦しむ幸奈に手を差し出すどころか、気づくことさえなかったのに。
それなのに、幸奈は……。
「ほら、そんな顔しないで」
ごめんな、幸奈。
そして、ありがとうな。
「功己は、もっと自分のこと考えなきゃ」
「……」
「この世界を楽しんでいいんだから、ねっ」
幸奈、本当にありがとう。
「でもさ、今は楽しんでる場合じゃないか」
「……」
「急がないとね」
「……急ぐ?」
「入れ替わりだよ。早くセレスさんをこの世界に戻してあげないと駄目でしょ」
23
あなたにおすすめの小説
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
転生チートは家族のために ユニークスキル『複合』で、快適な異世界生活を送りたい!
りーさん
ファンタジー
ある日、異世界に転生したルイ。
前世では、両親が共働きの鍵っ子だったため、寂しい思いをしていたが、今世は優しい家族に囲まれた。
そんな家族と異世界でも楽しく過ごすために、ユニークスキルをいろいろと便利に使っていたら、様々なトラブルに巻き込まれていく。
「家族といたいからほっといてよ!」
※スキルを本格的に使い出すのは二章からです。
称号は神を土下座させた男。
春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」
「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」
「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」
これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。
主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。
※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。
※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。
※無断転載は厳に禁じます
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜
舞桜
ファンタジー
「初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎」
突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、
手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、
だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎
神々から貰った加護とスキルで“転生チート無双“
瞳は希少なオッドアイで顔は超絶美人、でも性格は・・・
転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?
だが、死亡する原因には不可解な点が…
数々の事件が巻き起こる中、神様に貰った加護と前世での知識で乗り越えて、
神々と家族からの溺愛され前世での心の傷を癒していくハートフルなストーリー?
様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、
目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪
*神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのか?のんびりできるといいね!(希望的観測っw)
*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
異世界で目が覚めたら目の前で俺が死んでました。この世界でオリジナルの俺はとっくに死んでたみたいです
青山喜太
ファンタジー
主人公桜間トオル17歳は家族との旅行中、車の中ではなく突然なんの脈絡もなく遺跡の中で目が覚めてしまう。
混乱する桜間トオルの目の前にいたのは自分と瓜二つ、服装さえ一緒のもう一人の桜間トオルだった。
もう一人の桜間トオルは全身から出血し血を吐きながら、乞う。
「父さんと、母さん……妹をアカリを頼む……!!」
思わず、頷いた桜間トオルはもう一人の自分の最後を看取った。
その時、見知らぬ声が響く。
「私のことがわかるか? 13人の桜間トオル?」
これはただの高校生である桜間トオルが英雄たちとの戦争に巻き込まれていく物語
のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる