30年待たされた異世界転移

明之 想

文字の大きさ
827 / 1,640
第8章 南部動乱編

宴へ

「おう、コーキ、どこ行ってたんだ?」

「……少し部屋に戻ってた」

「忘れ物でもあったのかよ?」

「まあ、そんなところだな」

 今のヴァーンはメルビンさんたちと飲んでいる。
 ディアナとユーフィリアもいるな。

 シアとアルは、向こうでフォルディさんたちと話しているようだ。
 ルボルグ隊長はゼミア長老とスぺリスさんたちエンノアの幹部と飲んでいる。
 虜囚の2人も……気配に異常は見られない。

 今はこういう状況か。

 で、前回の時間軸の中でこの時間に幸奈は何をしていた?
 そもそも前回の幸奈は宴に戻ったんだよな?

「幸奈、もし俺があっちに戻ってたら、その後の4時間はどう過ごすつもりだった?」

「何も考えてなかったけど、宴に戻ったんじゃないかな?」

 やはり、自室ではなく宴。
 まずは正解か。

「宴では、何をするんだ?」

「何って、お酒を飲むけど? 駄目なの?」

 どう見ても、機嫌が良いとは言えない幸奈。
 もちろん、全ては俺のせい。

「悪い。そういう意味で言ったんじゃないんだ」

「だったら、どういう意味?」

「……誰と飲むのかなと」

「やっぱり変だよ、功己」

「……」

「はあ~。いいよ、今夜は聞くのやめるから」

 本当に申し訳ない。

「だから、功己と飲む。一緒に飲みたい」

 いや、そうすると前回と違う流れになる。

「……」

 といっても、俺がここにいる時点で既に流れは変わっているか。

 仕方ない。
 適当に動くしかないな。

「わたしと飲みたくないの?」

「そんなことないぞ」

「ほんとに?」

「ああ、一緒に飲もう」

 今夜はずっと目を光らせる必要がある。
 幸奈の近くにいるのは悪いことじゃない。

「それと、ここからは功己と呼ぶなよ」

「そんなの分かってるよ、もう」

 さっきの酔っぱらった醜態を見ているから心配になるが。
 って、今はそれどころじゃないか。


「おうおう、そんなとこにいねえで、こっち来いよ。一緒に飲もうぜ。セレスさんも」

「はい。コーキさん、まいりましょ」

「……ええ」

 幸奈の左にヴァーン、右に俺。
 ヴァーンとふたりで幸奈を挟むようにして席に着く。

 で、俺の右にディアナとユーフィリア。
 向かいにメルビンさん、エレナさん、ランセルさんたち冒険者が座っている。

「で、コーキよぉ、セレスさんとふたりで何してたんだ? ベニワスレの続きか?」

 おい、今はそんな状況じゃないんだ。
 その話題はやめてくれ。

「セレスさん、どうなんです?」

「えっ、それは……」

「セレス様、無理に答えなくていいですから」

「でも……コーキさんと少し話をしていただけですよ、ヴァーンさん」

「そうですかぁ? 今夜はホントのこと話しましょうよ」

 この酔っ払いめ。

「ヴァーン! セレスティーヌ様が困っているではないか」

「分かってねえな、ディアナはよ。今は無礼講の酒の席なんだぜ」

 やめろ。
 ディアナの目が凄いことになってるぞ。

「祝いついでに、コーキとセレスさんのことも祝ってやろうじゃねえか」

 だから、やめろって。

「いい機会だろ?」

「ヴァーン!」

「ヴァーン殿!」

 近くにいるワディン騎士やユーフィリアの空気まで変わりつつある。

 ほんと、勘弁してくれ。
 今の俺には、こんなことで揉めてる余裕なんてないんだからな。

 けど……。

 これは、好機なのか?
 この中に犯人がいるとしたら、皆の目がヴァーンに向いている隙に動くことも?




感想 11

あなたにおすすめの小説

ひだまりのFランク冒険者

みなと劉
ファンタジー
ここは異世界。 そこの冒険者ギルドでは毎日仕事がてんこ盛り。 そんな中 冒険者ギルドには万年Fランクの冒険者が一人いる。 その名は、リルド。 彼は、特に何もない感じに毎日 「薬草採取」「石集め」Fランク向け「討伐」場合によっては「ポーション生成」をする。 この話はこの万年Fランク冒険者リルドの物語である。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク 普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。 だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。 洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。 ------ この子のおかげで作家デビューできました ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

現世にダンジョンができたので冒険者になった。

盾乃あに
ファンタジー
忠野健人は帰り道に狼を倒してしまう。『レベルアップ』なにそれ?そして周りはモンスターだらけでなんとか倒して行く。

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達より強いジョブを手に入れて無双する!

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚。 ネット小説やファンタジー小説が好きな少年、洲河 慱(すが だん)。 いつもの様に幼馴染達と学校帰りに雑談をしていると突然魔法陣が現れて光に包まれて… 幼馴染達と一緒に救世主召喚でテルシア王国に召喚され、幼馴染達は【勇者】【賢者】【剣聖】【聖女】という素晴らしいジョブを手に入れたけど、僕はそれ以上のジョブと多彩なスキルを手に入れた。 王宮からは、過去の勇者パーティと同じジョブを持つ幼馴染達が世界を救うのが掟と言われた。 なら僕は、夢にまで見たこの異世界で好きに生きる事を選び、幼馴染達とは別に行動する事に決めた。 自分のジョブとスキルを駆使して無双する、魔物と魔法が存在する異世界ファンタジー。 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?」で、慱が本来の力を手に入れた場合のもう1つのパラレルストーリー。 11月14日にHOT男性向け1位になりました。 応援、ありがとうございます!

WIN5で六億円馬券当てちゃった俺がいろいろ巻き込まれた結果現代社会で無双する!

TB
ファンタジー
小栗東〈おぐりあずま〉 二十九歳 趣味競馬 派遣社員。 その日、負け組な感じの人生を歩んできた俺に神が舞い降りた。 競馬のWIN5を的中させその配当は的中者一名だけの六億円だったのだ。 俺は仕事を辞め、豪華客船での世界一周旅行に旅立った。 その航海中に太平洋上で嵐に巻き込まれ豪華客船は沈没してしまう。 意識を失った俺がつぎに気付いたのは穏やかな海上。 相変わらずの豪華客船の中だった。 しかし、そこは地球では無かった。 魔法の存在する世界、そしてギャンブルが支配をする世界だった。 船の乗客二千名、クルー二百名とともにこの異世界の大陸国家カージノで様々な出来事はあったが、無事に地球に戻る事が出来た。 ただし……人口一億人を超えるカージノ大陸と地球には生存しない魔獣たちも一緒に太平洋のど真ん中へ…… 果たして、地球と東の運命はどうなるの?

病弱設定されているようです

との
恋愛
『あのようにご立派な家門にお産まれになられたのに⋯⋯お可哀想なご令嬢だそうですのよ』 なんて噂が流れているけれど、誰も会ったことがないミリー・ミッドランド侯爵令嬢。 ネグレクトなんて言葉はない時代に生まれ落ちて、前世の記憶を取り戻したら⋯⋯。 前世の記憶と共に無双します! 再開しました。完結まで続投です。 ーーーーーー 恋愛小説大賞27位、ありがとうございました(感謝) ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定。 完結確定、R15は念の為・・