862 / 1,640
第8章 南部動乱編
ぬくもり
<セレスティーヌ視点>
「「「「「おおぉ!!」」」」」
「「「「「やったぞ!!」」」」」
「「「「「ディアナぁぁ!!」」」」」
ディアナの勝利に周りの騎士たちが大騒ぎしている。
「やったぜ!!」
「セレス様、やりました! ディアナさん、勝ちましたよ!!」
ヴァーンさんもシアも大喜びだ。
「……そう、ね」
私も嬉しい。
ディアナのことを誇らしく思う。
なのに……。
この感じは?
胸に走る鈍痛。
喉が詰まるような感覚は?
「セレス様?」
「……」
覚えがある。
「セレス様!?」
記憶の中、いいえ、幻視で覚えた痛みに似ている。
「……ゴホッ」
咳?
この咳……!?
ディアナの試合に夢中になり過ぎて、違和感に気付けなかった。
でも、今ははっきりと分かる。
感じてしまう。
あっ!?
自覚した途端、急激に体が重くなって……。
「セレス様、お顔の色が!」
「シア……」
「どうされたのですか? お辛いのですか? セレス様、セレス様!!」
「ゴホッ、ゴホゥッ!!」
「「「セレス様!?」」」
「セレスさん!!」
シア、アル、ユーフィリア。
そして、ヴァーンさんが私を覗き込んでくる。
「セレス様……」
コーキさんは真っ青な表情。
呆然と立ち尽くしている。
それでも、こちらに手を伸ばして……。
「……」
なのに、私は。
「ゴホッ、ゴホッ!」
上手く喋れない。
咳が止まらない。
「はあ、はあ……」
やっぱりだ。
あの症状に似ている。
「ゴホッ……」
でも、どうして?
さっきまで何ともなかったのに?
何もされていないのに?
「ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ!」
苦しい……。
「「「セレス様!」」」
「治療だ! コーキ、早く魔法を!」
「……」
温かい光。
私に降り注いで……。
「あっ」
少しだけど、呼吸が楽になっていく。
「セレスさん、どうだ? 効いてるか?」
「……はい」
「良かった、コーキの魔法が効いてるぞ!」
コーキさんの治癒魔法。
本当に温かい。
でも、これが幻視と同じ症状なら……。
「セレス様、果実水です。こちらを飲めば咳も和らぐはずです」
「シア……ありがと」
「セレス様……」
「うぅ……ゴボッ」
また咳が。
「ゴホッ、ゴボッ!」
果実水が喉に入っていかない。
「ゴホッ!」
杯を持つ手に力が入らない。
「ゴホッ……くるし……ゴホッ、ゴホッ!」
身体中から力が抜けていく。
「セレス様!?」
椅子に座っていることもできず、身体ごと地面に倒れて……。
ガシャーーン!
「「「セレス様ぁぁ!!」」」
「うぅぅ……」
息ができない。
「ゴホッ、ゴホッ、ゴホゥッ!!」
口を押さえた掌に血!?
喀血!!
「はあ、はあ……うぅ……」
もう、間違いない。
「ゴホッ!!」
もう動けない。
もう、もう……。
「魔法だけじゃ駄目だ!」
「薬を、魔法薬を早く!」
「大丈夫です! 今すぐ薬を用意しますから! 薬を飲めば楽になりますから! だからセレス様……」
手を取ってくれるのは……シア?
抱えてくれるのは……コーキさん?
「セレス様、これを!!」
魔法、薬?
でも……力が……。
「失礼します」
「うっ! ううぅ……ゴホッ、ゴボォ」
飲ませてくれた?
コーキさん?
魔法薬が喉に、胸に沁みていく……。
「セレス様、楽になりましたか? 楽になりましたよね? ねえ、セレス様!!」
「シア……」
泣かないで。
少し楽になったから。
「効いてます? セレス様、効いたんですね!」
「セレスさん、大丈夫だ。魔法薬が効けば問題ねえ」
シア、ヴァーンさん……。
「あり、がとう」
「セレスティーヌ様、大丈夫です。治りますよ!」
「そうです、きっと良くなります!!」
「「「「「セレス様!」」」」」
みんな……ありがとう。
でもね……。
私は知ってるの。
今は少し楽になってるけど。
多分……長くはもたない。
「ゴホッ!」
「もう一度魔法薬を!」
「もっと治癒魔法も!」
「ゴホ、ゴホ、ゴホォッ!!」
手が、地面が、真っ赤に染まる。
「「「「「「セレス様!!」」」」」」
「「「「「「セレスティーヌ様!!」」」」」」
「……」
「……」
「……」
やっと、戻って来れたのに。
これからなのに……。
「ゴホッ……」
まだ、ここにいたい。
みんなと一緒にいたい!
「ゴホッ!」
「セレス様!!」
ワディンも……。
コーキさんとも……。
もっと、もっと……。
ここで私は……。
悔しい……。
「セレス様!!」
「……」
悔しい。
寂しい。
怖い……。
「ゴホォッ!!」
「セレス様ぁ!?」
シア……。
「セレス様……」
コーキ、さん?
顔を見せ、て……。
触れさせ、て……。
「ゴホッ……」
暗い。
あなた、が、見えない。
ど、こ?
「……さま!!」
聞こえ、ない……。
見えな、い……。
「……さま!!」
手を、あなた、の顔に……あっ?
あたた、かい。
これ、は……コーキさん?
あな、たの、ぬくもり……。
ぬくもり、が……。
……。
……。
……。
「「「「「おおぉ!!」」」」」
「「「「「やったぞ!!」」」」」
「「「「「ディアナぁぁ!!」」」」」
ディアナの勝利に周りの騎士たちが大騒ぎしている。
「やったぜ!!」
「セレス様、やりました! ディアナさん、勝ちましたよ!!」
ヴァーンさんもシアも大喜びだ。
「……そう、ね」
私も嬉しい。
ディアナのことを誇らしく思う。
なのに……。
この感じは?
胸に走る鈍痛。
喉が詰まるような感覚は?
「セレス様?」
「……」
覚えがある。
「セレス様!?」
記憶の中、いいえ、幻視で覚えた痛みに似ている。
「……ゴホッ」
咳?
この咳……!?
ディアナの試合に夢中になり過ぎて、違和感に気付けなかった。
でも、今ははっきりと分かる。
感じてしまう。
あっ!?
自覚した途端、急激に体が重くなって……。
「セレス様、お顔の色が!」
「シア……」
「どうされたのですか? お辛いのですか? セレス様、セレス様!!」
「ゴホッ、ゴホゥッ!!」
「「「セレス様!?」」」
「セレスさん!!」
シア、アル、ユーフィリア。
そして、ヴァーンさんが私を覗き込んでくる。
「セレス様……」
コーキさんは真っ青な表情。
呆然と立ち尽くしている。
それでも、こちらに手を伸ばして……。
「……」
なのに、私は。
「ゴホッ、ゴホッ!」
上手く喋れない。
咳が止まらない。
「はあ、はあ……」
やっぱりだ。
あの症状に似ている。
「ゴホッ……」
でも、どうして?
さっきまで何ともなかったのに?
何もされていないのに?
「ゴホッ、ゴホッ、ゴホッ!」
苦しい……。
「「「セレス様!」」」
「治療だ! コーキ、早く魔法を!」
「……」
温かい光。
私に降り注いで……。
「あっ」
少しだけど、呼吸が楽になっていく。
「セレスさん、どうだ? 効いてるか?」
「……はい」
「良かった、コーキの魔法が効いてるぞ!」
コーキさんの治癒魔法。
本当に温かい。
でも、これが幻視と同じ症状なら……。
「セレス様、果実水です。こちらを飲めば咳も和らぐはずです」
「シア……ありがと」
「セレス様……」
「うぅ……ゴボッ」
また咳が。
「ゴホッ、ゴボッ!」
果実水が喉に入っていかない。
「ゴホッ!」
杯を持つ手に力が入らない。
「ゴホッ……くるし……ゴホッ、ゴホッ!」
身体中から力が抜けていく。
「セレス様!?」
椅子に座っていることもできず、身体ごと地面に倒れて……。
ガシャーーン!
「「「セレス様ぁぁ!!」」」
「うぅぅ……」
息ができない。
「ゴホッ、ゴホッ、ゴホゥッ!!」
口を押さえた掌に血!?
喀血!!
「はあ、はあ……うぅ……」
もう、間違いない。
「ゴホッ!!」
もう動けない。
もう、もう……。
「魔法だけじゃ駄目だ!」
「薬を、魔法薬を早く!」
「大丈夫です! 今すぐ薬を用意しますから! 薬を飲めば楽になりますから! だからセレス様……」
手を取ってくれるのは……シア?
抱えてくれるのは……コーキさん?
「セレス様、これを!!」
魔法、薬?
でも……力が……。
「失礼します」
「うっ! ううぅ……ゴホッ、ゴボォ」
飲ませてくれた?
コーキさん?
魔法薬が喉に、胸に沁みていく……。
「セレス様、楽になりましたか? 楽になりましたよね? ねえ、セレス様!!」
「シア……」
泣かないで。
少し楽になったから。
「効いてます? セレス様、効いたんですね!」
「セレスさん、大丈夫だ。魔法薬が効けば問題ねえ」
シア、ヴァーンさん……。
「あり、がとう」
「セレスティーヌ様、大丈夫です。治りますよ!」
「そうです、きっと良くなります!!」
「「「「「セレス様!」」」」」
みんな……ありがとう。
でもね……。
私は知ってるの。
今は少し楽になってるけど。
多分……長くはもたない。
「ゴホッ!」
「もう一度魔法薬を!」
「もっと治癒魔法も!」
「ゴホ、ゴホ、ゴホォッ!!」
手が、地面が、真っ赤に染まる。
「「「「「「セレス様!!」」」」」」
「「「「「「セレスティーヌ様!!」」」」」」
「……」
「……」
「……」
やっと、戻って来れたのに。
これからなのに……。
「ゴホッ……」
まだ、ここにいたい。
みんなと一緒にいたい!
「ゴホッ!」
「セレス様!!」
ワディンも……。
コーキさんとも……。
もっと、もっと……。
ここで私は……。
悔しい……。
「セレス様!!」
「……」
悔しい。
寂しい。
怖い……。
「ゴホォッ!!」
「セレス様ぁ!?」
シア……。
「セレス様……」
コーキ、さん?
顔を見せ、て……。
触れさせ、て……。
「ゴホッ……」
暗い。
あなた、が、見えない。
ど、こ?
「……さま!!」
聞こえ、ない……。
見えな、い……。
「……さま!!」
手を、あなた、の顔に……あっ?
あたた、かい。
これ、は……コーキさん?
あな、たの、ぬくもり……。
ぬくもり、が……。
……。
……。
……。
あなたにおすすめの小説
ひだまりのFランク冒険者
みなと劉
ファンタジー
ここは異世界。
そこの冒険者ギルドでは毎日仕事がてんこ盛り。
そんな中
冒険者ギルドには万年Fランクの冒険者が一人いる。
その名は、リルド。
彼は、特に何もない感じに毎日
「薬草採取」「石集め」Fランク向け「討伐」場合によっては「ポーション生成」をする。
この話はこの万年Fランク冒険者リルドの物語である。
ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
WIN5で六億円馬券当てちゃった俺がいろいろ巻き込まれた結果現代社会で無双する!
TB
ファンタジー
小栗東〈おぐりあずま〉 二十九歳 趣味競馬 派遣社員。
その日、負け組な感じの人生を歩んできた俺に神が舞い降りた。
競馬のWIN5を的中させその配当は的中者一名だけの六億円だったのだ。
俺は仕事を辞め、豪華客船での世界一周旅行に旅立った。
その航海中に太平洋上で嵐に巻き込まれ豪華客船は沈没してしまう。
意識を失った俺がつぎに気付いたのは穏やかな海上。
相変わらずの豪華客船の中だった。
しかし、そこは地球では無かった。
魔法の存在する世界、そしてギャンブルが支配をする世界だった。
船の乗客二千名、クルー二百名とともにこの異世界の大陸国家カージノで様々な出来事はあったが、無事に地球に戻る事が出来た。
ただし……人口一億人を超えるカージノ大陸と地球には生存しない魔獣たちも一緒に太平洋のど真ん中へ……
果たして、地球と東の運命はどうなるの?
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達より強いジョブを手に入れて無双する!
アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚。
ネット小説やファンタジー小説が好きな少年、洲河 慱(すが だん)。
いつもの様に幼馴染達と学校帰りに雑談をしていると突然魔法陣が現れて光に包まれて…
幼馴染達と一緒に救世主召喚でテルシア王国に召喚され、幼馴染達は【勇者】【賢者】【剣聖】【聖女】という素晴らしいジョブを手に入れたけど、僕はそれ以上のジョブと多彩なスキルを手に入れた。
王宮からは、過去の勇者パーティと同じジョブを持つ幼馴染達が世界を救うのが掟と言われた。
なら僕は、夢にまで見たこの異世界で好きに生きる事を選び、幼馴染達とは別に行動する事に決めた。
自分のジョブとスキルを駆使して無双する、魔物と魔法が存在する異世界ファンタジー。
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?」で、慱が本来の力を手に入れた場合のもう1つのパラレルストーリー。
11月14日にHOT男性向け1位になりました。
応援、ありがとうございます!
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク
普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。
だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。
洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。
------
この子のおかげで作家デビューできました
ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが