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第9章 推理編
変化 1
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「それまで!」
「「「「「「うおぉぉ!!」」」」」」
「良くやったぁ!」
「1試合目の雪辱だぜ」
「おう、ワディンの力を見せてくれたな」
2試合目が終了。
勝ったのはワディンの騎士。
初戦は冒険者が勝利をおさめたから、これで1勝1敗だ。
「くそっ、惜しいぜ」
「ああ、もう一歩だったな」
「あの一撃が決まっていれば」
「次は勝つぞ!」
腕を試すという意図で開催された今回の模擬試合。
実際に蓋を開けてみれば、ワディン騎士と冒険者の対抗戦という様相を呈している。
ただ、この流れは前回と同じ。
問題はない。
「セレスティーヌ様、ヴィーツ水はいかがですか?」
3試合目が始まる前の僅かな休憩時間に、声をかけてきたのはアデリナさん。
その手にはヴィーツから作られた果実水。
これも前回と変わりがない。
「ありがとうございます」
「冷えていて美味しいですから、よければ飲んでくださいね」
「……はい」
俺に視線を投げつつアデリナさんに頷くセレス様。
そう、それでいい。
今日の観戦ではセレス様に前回と同じような行動をとってもらっている。
といってもセレス様には前回の記憶がないので、俺が補助しながら前回の流れに沿って進めるという形だ。
「……」
思い出すのはレザンジュ王軍戦後の宴。遡行後、二度目の宴。
今回同様、犯人を特定すべく臨んだ宴での捜査は失敗に終わってしまったが、あれは遡行前と同じ行動をとれなかったから。だから犯人も動かなかったのだろう。
ただ今回は違う。
このまま前回同様に進めれば、どこかで犯人を特定できるはずだ。
「コーキさん?」
「打ち合わせ通りに」
小声で囁きかけてくるセレス様にこちらも小声で返す。
「はい」
基本的に前回と同じ流れを続けるとはいえ、セレス様が口にする物だけは別。
この点については、セレス様と事前に話し合いは済んでいる。
セレス様は俺の提供する物以外は口にしない。
ただし、受け取りは断らない。
受け取って口にする振りだけで、実際は口にしないという行動を続けていく。
これが、前回の流れを踏襲するための手段になる。
ああ。
もちろん、鑑定はその都度行う。
今もヴィーツ水に毒が混入されていないことを鑑定で確認したところだ。
「……」
1つ問題があるとすれば、犯人が用意した毒を鑑定探知できない可能性がある点。
通常の毒なら考えられないことだが、犯人が何らかの仕掛けを弄しているかもしれないならな。
なので、鑑定結果が白であろうと、セレス様がそれを口にすることはない。
「次は誰が出る?」
「連敗はできねえぞ」
「なら、俺が出てやるよ」
「ランセルか! お前なら大丈夫だな」
「ああ、任せとけ」
3試合目にランセルさんが登場するのも前回と同じ。
ワディンからは、確か……。
「アル、どうだ? オルドウにいた者同士の戦いも悪くねえぞ」
「……分かった。俺が行く!」
なっ!
アルが出るのか?
それは違う。
前回と流れが違う!
「おっ、そっちはアル坊かよ」
「ランセル……さん、よろしく頼む」
「おうよ、いい試合にしようぜ」
前回は、ランセルと他のワディン騎士が戦ったんだ。
なのに、今回はアルが出場を……。
なぜだ?
ここまでは前回と同じように進んでいたのに?
どうして流れが変わった?
「元オルドウの冒険者同士の戦いか」
「面白えな」
「いい試合みせてくれよ」
盛り上がる観衆の中、戸惑っているのは俺ひとり。
当然だ。
俺だけが未来を知っているのだから。
「ん? コーキ?」
「……」
遡行後の4時間、前回と異なっているのは俺の行動だけ。
なのに、ここで流れが変わるなんて……?
俺の行動が違うから、俺の周りの動きも若干変化したと。
そして、今ここで大きく流れが変わってしまったと。
そういうこと、なのか?
「何か気になんのかよ?」
「……いや、何でもない」
「だったら、アルの試合観てやろうぜ」
「……ああ」
変わったのは試合の組み合わせのみ。
特に問題があるわけじゃない。
犯人もそう思っているはず。
なら……このまま続けるだけ。
セレス様の横で警戒を続ければいい。
「両者構え……はじめ!」
「行くぞ!」
「かかってこい!」
「「「「「「うおぉぉ!!」」」」」」
「良くやったぁ!」
「1試合目の雪辱だぜ」
「おう、ワディンの力を見せてくれたな」
2試合目が終了。
勝ったのはワディンの騎士。
初戦は冒険者が勝利をおさめたから、これで1勝1敗だ。
「くそっ、惜しいぜ」
「ああ、もう一歩だったな」
「あの一撃が決まっていれば」
「次は勝つぞ!」
腕を試すという意図で開催された今回の模擬試合。
実際に蓋を開けてみれば、ワディン騎士と冒険者の対抗戦という様相を呈している。
ただ、この流れは前回と同じ。
問題はない。
「セレスティーヌ様、ヴィーツ水はいかがですか?」
3試合目が始まる前の僅かな休憩時間に、声をかけてきたのはアデリナさん。
その手にはヴィーツから作られた果実水。
これも前回と変わりがない。
「ありがとうございます」
「冷えていて美味しいですから、よければ飲んでくださいね」
「……はい」
俺に視線を投げつつアデリナさんに頷くセレス様。
そう、それでいい。
今日の観戦ではセレス様に前回と同じような行動をとってもらっている。
といってもセレス様には前回の記憶がないので、俺が補助しながら前回の流れに沿って進めるという形だ。
「……」
思い出すのはレザンジュ王軍戦後の宴。遡行後、二度目の宴。
今回同様、犯人を特定すべく臨んだ宴での捜査は失敗に終わってしまったが、あれは遡行前と同じ行動をとれなかったから。だから犯人も動かなかったのだろう。
ただ今回は違う。
このまま前回同様に進めれば、どこかで犯人を特定できるはずだ。
「コーキさん?」
「打ち合わせ通りに」
小声で囁きかけてくるセレス様にこちらも小声で返す。
「はい」
基本的に前回と同じ流れを続けるとはいえ、セレス様が口にする物だけは別。
この点については、セレス様と事前に話し合いは済んでいる。
セレス様は俺の提供する物以外は口にしない。
ただし、受け取りは断らない。
受け取って口にする振りだけで、実際は口にしないという行動を続けていく。
これが、前回の流れを踏襲するための手段になる。
ああ。
もちろん、鑑定はその都度行う。
今もヴィーツ水に毒が混入されていないことを鑑定で確認したところだ。
「……」
1つ問題があるとすれば、犯人が用意した毒を鑑定探知できない可能性がある点。
通常の毒なら考えられないことだが、犯人が何らかの仕掛けを弄しているかもしれないならな。
なので、鑑定結果が白であろうと、セレス様がそれを口にすることはない。
「次は誰が出る?」
「連敗はできねえぞ」
「なら、俺が出てやるよ」
「ランセルか! お前なら大丈夫だな」
「ああ、任せとけ」
3試合目にランセルさんが登場するのも前回と同じ。
ワディンからは、確か……。
「アル、どうだ? オルドウにいた者同士の戦いも悪くねえぞ」
「……分かった。俺が行く!」
なっ!
アルが出るのか?
それは違う。
前回と流れが違う!
「おっ、そっちはアル坊かよ」
「ランセル……さん、よろしく頼む」
「おうよ、いい試合にしようぜ」
前回は、ランセルと他のワディン騎士が戦ったんだ。
なのに、今回はアルが出場を……。
なぜだ?
ここまでは前回と同じように進んでいたのに?
どうして流れが変わった?
「元オルドウの冒険者同士の戦いか」
「面白えな」
「いい試合みせてくれよ」
盛り上がる観衆の中、戸惑っているのは俺ひとり。
当然だ。
俺だけが未来を知っているのだから。
「ん? コーキ?」
「……」
遡行後の4時間、前回と異なっているのは俺の行動だけ。
なのに、ここで流れが変わるなんて……?
俺の行動が違うから、俺の周りの動きも若干変化したと。
そして、今ここで大きく流れが変わってしまったと。
そういうこと、なのか?
「何か気になんのかよ?」
「……いや、何でもない」
「だったら、アルの試合観てやろうぜ」
「……ああ」
変わったのは試合の組み合わせのみ。
特に問題があるわけじゃない。
犯人もそう思っているはず。
なら……このまま続けるだけ。
セレス様の横で警戒を続ければいい。
「両者構え……はじめ!」
「行くぞ!」
「かかってこい!」
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