30年待たされた異世界転移

明之 想

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第9章 推理編

治療 3

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 ディアナがセレス様襲撃の犯人だった?
 俺が警戒していたから、これまで実行できなかった?
 そういうことなのか?

「全ては嘘で、おめえは裏切り者なんだろうが!」

「違う……」

「違うなら、何か言ってみろ!」

「それは……」

「言えねえじぇねえか」

「……」

 ただ、この様子。
 口を閉ざしたディアナの様子に、嘘はないように見えてしまう。

「ディアナは裏切り者じゃない」

 ユーフィリア?

「……どういうことだ?」

「だから、裏切りじゃない。ディアナの忠誠心は本物。それだけは私が保証する」

「なぜおまえがそんなこと言える。何か知ってんのか、ユーフィリア!」

「私は長年ディアナと共に護衛騎士を務めてきた。そこに嘘はなかった。裏切るような欺瞞は昔も今も絶対に存在していない」

「はっ、全部芝居だったんだろ」

「違う。芝居なら見抜けていた」

「そんなもん信じらんねえな。だいたいがだ、おまえだって疑われてんだぞ、ユーフィリア」

 模擬試合での件は今のところ事故だと考えられている。ただ、あれが誤射でないとするなら、ユーフィリアも、その可能性も……。
 
「ディアナも私も、セレスティーヌ様に対して二心など持っていない!」

 決然と言い放つユーフィリア。

「そんなことあるはずもない。考えられない」

 ユーフィリアとディアナの言葉、振る舞い、様子。
 やはり……嘘だとは思えない。

 なら、今回のことは?
 裏切りではなく、突発的なもの?

「……」

 ニレキリの毒の件も含め、詳しく話を聞く必要がありそうだな。



「二心ないやつが、こんなことすんのか? それこそあり得ねえだろうが」

「……忠義とは別の話、だと思う」

「何言ってやがる!」

 忠義とは別?
 ディアナにはセレス様への忠義を越えて剣を向ける何かがあった?
 いったい何が?

「忠義ある者がすることかよ!」

「……」

「ヴァーンさん、そんな話は後にしてくれ」

「アル?」

「今は忠義なんて関係ないから。事実としてセレス様を狙って、姉さんを傷つけたんだから!」

 アルの顔は怒りに溢れている。

「ああ、そうだな。決して許せるもんじゃねえ」

「……分かってる。ディアナの行為が許されるものだとは思っていない。ただ、彼女の忠義だけは本物なんだ」

「だから、忠義なんてどうでもいいんだよ」

「……」

「……」

「ユーフィリア、もういい。私がセレスティーヌ様を害そうとしたのは事実だ」

「ディアナ……」

「裏切り者だと認めんだな」

「……」

 俯き黙り込むディアナ。
 射殺さんばかりの目で睨みつけるヴァーンとアル。

「「……」」

「「……」」


 やり場のない重い沈黙を破ったのはセレス様。

「もうそろそろです。コーキさん、準備を!」

 そう、まずは治療。
 優先すべきはシアの命だ。
 他のことは全てあと回しでいい。

「承知しました」


 祝福と治癒魔法を受け続けたシア。

「ぅぅ……」

 その顔色は……良くなっている。
 かなり効いているぞ。


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