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第9章 推理編
治療 3
しおりを挟むディアナがセレス様襲撃の犯人だった?
俺が警戒していたから、これまで実行できなかった?
そういうことなのか?
「全ては嘘で、おめえは裏切り者なんだろうが!」
「違う……」
「違うなら、何か言ってみろ!」
「それは……」
「言えねえじぇねえか」
「……」
ただ、この様子。
口を閉ざしたディアナの様子に、嘘はないように見えてしまう。
「ディアナは裏切り者じゃない」
ユーフィリア?
「……どういうことだ?」
「だから、裏切りじゃない。ディアナの忠誠心は本物。それだけは私が保証する」
「なぜおまえがそんなこと言える。何か知ってんのか、ユーフィリア!」
「私は長年ディアナと共に護衛騎士を務めてきた。そこに嘘はなかった。裏切るような欺瞞は昔も今も絶対に存在していない」
「はっ、全部芝居だったんだろ」
「違う。芝居なら見抜けていた」
「そんなもん信じらんねえな。だいたいがだ、おまえだって疑われてんだぞ、ユーフィリア」
模擬試合での件は今のところ事故だと考えられている。ただ、あれが誤射でないとするなら、ユーフィリアも、その可能性も……。
「ディアナも私も、セレスティーヌ様に対して二心など持っていない!」
決然と言い放つユーフィリア。
「そんなことあるはずもない。考えられない」
ユーフィリアとディアナの言葉、振る舞い、様子。
やはり……嘘だとは思えない。
なら、今回のことは?
裏切りではなく、突発的なもの?
「……」
ニレキリの毒の件も含め、詳しく話を聞く必要がありそうだな。
「二心ないやつが、こんなことすんのか? それこそあり得ねえだろうが」
「……忠義とは別の話、だと思う」
「何言ってやがる!」
忠義とは別?
ディアナにはセレス様への忠義を越えて剣を向ける何かがあった?
いったい何が?
「忠義ある者がすることかよ!」
「……」
「ヴァーンさん、そんな話は後にしてくれ」
「アル?」
「今は忠義なんて関係ないから。事実としてセレス様を狙って、姉さんを傷つけたんだから!」
アルの顔は怒りに溢れている。
「ああ、そうだな。決して許せるもんじゃねえ」
「……分かってる。ディアナの行為が許されるものだとは思っていない。ただ、彼女の忠義だけは本物なんだ」
「だから、忠義なんてどうでもいいんだよ」
「……」
「……」
「ユーフィリア、もういい。私がセレスティーヌ様を害そうとしたのは事実だ」
「ディアナ……」
「裏切り者だと認めんだな」
「……」
俯き黙り込むディアナ。
射殺さんばかりの目で睨みつけるヴァーンとアル。
「「……」」
「「……」」
やり場のない重い沈黙を破ったのはセレス様。
「もうそろそろです。コーキさん、準備を!」
そう、まずは治療。
優先すべきはシアの命だ。
他のことは全てあと回しでいい。
「承知しました」
祝福と治癒魔法を受け続けたシア。
「ぅぅ……」
その顔色は……良くなっている。
かなり効いているぞ。
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