30年待たされた異世界転移

明之 想

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第9章 推理編

攻防 4

<古野白楓季視点>



「っ!」

 重力の異能が私の体の自由を奪い取りに来る。
 片膝をついてしまう。

「うぅ……」

 いきなり、切り札。
 超重化を。

「ふふ、無様な姿だ」

「……」

 この感覚。
 一度体験しているとはいえ、慣れるような重さじゃない。
 改良型アンチUP異能を使っているのに、これなのだから。

 でも……装備しておいて良かった。
 これがなかったら、どうなっていたことか。

「無様な貴様に、もう一度だけ慈悲を与えてやろう」

 改良タイプと言ってもまだ試作品。
 使用には制限があるし、異能を完全に無効化できるわけでもない。
 ただ、重力操作のような持続型異能に対しては、それなりに効果を発揮してくれる。
 だから、この状態でも……。

「どうだ、降参するか?」

「……」

「無様とはいえ、芳花をいたずらに折るのも気が引けるからな」

「……」

「今なら許してやるぞ」

「……しないわ」

「ん?」

「降参なんてしないわよ!」

 前回は極重禍の前で動けなかったけれど、今回は違う。

「体の自由が利かないというのに、愚かなことだ」

 動けないんじゃない。
 今はこの荷重に少しずつ慣らしているだけよ。
 だから、ちょっとだけ待ってなさい。

「……」

 そんな私と壬生兄の間には、念動の異能者。

「ううぅ」

 地に倒れ伏している。
 壬生兄と私の間に立っていた彼の身も壬生兄の異能を受けてしまったんだ。

 武上君は?

「だりゃあ!」

 大丈夫。
 そっちには影響ないみたいね。

 だったら、ここは私が!
 私が壬生兄を倒せばいい!

「なぜ、そこまでして幸奈さんを狙うの?」

 ただし、もう少しだけ時間が必要。

「婚約者だからな」

「破棄されたんでしょ?」

「……」

「本当の狙いは何なの?」

「破棄はしていないし、詳しいことをおまえに話す義理もない」

「隠すのね」

「芳花かと思ったが、うるさい虫だったようだな」

「……」

「虫は駆除するしかないか」

 よし。
 そろそろだ。

「臆病者にやれるなら、やってみなさい」

「きさま!」

 両脚に力を入れ。
 ゆっくりと膝を上げ……。




********************




 まずい!
 古野白さんが膝をついてしまった。

 直前までは、操炎の異能で敵を圧倒していたのに。
 いったい、何が起こったんだ?

 相手は念動力者、じゃない。
 なら……。


「でも、どうして5人だと認識できたんです? 感覚で分かるものじゃないでしょ?」

 こいつの相手をしている時間はない。

「あれ、あれ? また焦った顔になってますよ」

 武上は他の異能者と交戦中。
 古野白さんは膝をついている。
 幸奈と武志は後方で待機。

 予断を許さない状況なのに。

「有馬さーん、どうしたんですかぁ?」

 もういい。
 今は余計なことを考えている場合じゃない。

「侵入方法を教えてくれ! 今すぐだ!」



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