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第9章 推理編
一時帰還
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<壬生伊織視点>
「暑くはありませんか?」
いつも通り黒衣で全身を覆っている姿を見ていると、こちらが暑くなってしまう。姉の後ろに付き従う異能者連中も暑そうだ。
「ふふ、心配してくれるの? 今日は優しいわね、伊織君」
「……」
「でも、大丈夫よ。お兄様と吾妻さんも、すぐに出てくるでしょうし。そうすれば、車に戻れるのだから」
「状況次第では、皆で中に入ることになりますよ」
「状況? 伊織君は、てこずると思っているのかしら?」
「可能性の話です」
「あの吾妻さんがいるのに、問題などないわ」
「……」
その通り。
吾妻が研究所の異能者に後れを取るとは思えない。
ただ、今回は例外が存在する。
例外である有馬さんが位相の中に入れたとしたら?
「まさか、吾妻さんが失敗するとでも?」
「いえ……」
「だったら、その顔は何なのかしら? とっても気になるのだけど」
「暑さにやられただけです」
「そう?」
「……」
相変わらず不気味な目で見てくれるものだ。
しかし……。
異能の腕も戦闘の経験も私より数段劣っているというのに、この捉えどころのなさは異常だな。
「あら、戻ってきそうよ」
姉の言葉に目を向けると、玄関横の空間に僅かな歪みが生じている。
「やっぱり問題はなかったみたいねぇ」
有馬さんは位相の中に入れなかったのか?
「伊織君、歪みの近くは危ないわ。こちらにいらっしゃい」
「……はい」
直後、大きくなった歪みの中に吾妻と空間異能者の姿が。
後ろには、壬生の兄と2人の異能者も続いている。
「皆様、お疲れ様です」
「ああ……」
「あら、あら、お兄様、その様子はどうしたのかしら?」
「……何でもない」
「そうですの?」
「問題ないと言っている。私を信じないのか!」
「ふふ、もちろん信じますわよ」
「だったら、そんな目で見るな」
「私はいつも通り、お兄様を心配しているだけですけど?」
白々しいことを。
「それで、幸奈さんはどうしたのでしょう?」
「……」
「お兄様が答えてくれませんので、吾妻さんに伺っても?」
「彼女なら中にいる」
吾妻は普段と変わらぬ無表情。
やはり、有馬さんと遭遇していないようだ。
「空間の中に捕らえていますの?」
「そうだ! 幸奈も研究所の馬鹿どもも捕えている。問題はない!」
吾妻を遮って喋り出したのは壬生の兄。
「何も問題などない」
「ええ、問題などありませんわね、お兄様」
「すべて予定異通りなんだよ!」
「ええ、ええ、その通りです」
「おまえ、分かっているのか!」
「もちろん、お兄様のお力によるものだと重々承知しております。ですが、今はかなりお疲れの御様子」
「……」
「少し車で休まれてはいかがでしょう?」
「……」
「暑くはありませんか?」
いつも通り黒衣で全身を覆っている姿を見ていると、こちらが暑くなってしまう。姉の後ろに付き従う異能者連中も暑そうだ。
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「……」
「でも、大丈夫よ。お兄様と吾妻さんも、すぐに出てくるでしょうし。そうすれば、車に戻れるのだから」
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「……」
その通り。
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ただ、今回は例外が存在する。
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「いえ……」
「だったら、その顔は何なのかしら? とっても気になるのだけど」
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「……」
相変わらず不気味な目で見てくれるものだ。
しかし……。
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「……はい」
直後、大きくなった歪みの中に吾妻と空間異能者の姿が。
後ろには、壬生の兄と2人の異能者も続いている。
「皆様、お疲れ様です」
「ああ……」
「あら、あら、お兄様、その様子はどうしたのかしら?」
「……何でもない」
「そうですの?」
「問題ないと言っている。私を信じないのか!」
「ふふ、もちろん信じますわよ」
「だったら、そんな目で見るな」
「私はいつも通り、お兄様を心配しているだけですけど?」
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「それで、幸奈さんはどうしたのでしょう?」
「……」
「お兄様が答えてくれませんので、吾妻さんに伺っても?」
「彼女なら中にいる」
吾妻は普段と変わらぬ無表情。
やはり、有馬さんと遭遇していないようだ。
「空間の中に捕らえていますの?」
「そうだ! 幸奈も研究所の馬鹿どもも捕えている。問題はない!」
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「ええ、問題などありませんわね、お兄様」
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「ええ、ええ、その通りです」
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「……」
「少し車で休まれてはいかがでしょう?」
「……」
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