30年待たされた異世界転移

明之 想

文字の大きさ
968 / 1,640
第9章 推理編

反撃

<古野白楓季視点>



 吾妻の背後から放った炎の連続攻撃。

 1撃目の炎弾は避けられた。
 2撃目も避けられた。
 3撃目……やっと当たった。
 ただし、吾妻の脇をかすめただけ。

 でも、ここからよ。
 炎舞があなたのすぐ後ろに迫っているのだから。

 敵を包み込む炎のカーテン、炎舞。
 武上君と拳を交えている状態で回避なんかできるはずない。

「えっ!?」

 嘘っ?

 交戦中だった吾妻が躊躇なく左に跳んだ。
 しかも、炎舞の効果範囲を超えるほどの跳躍を!

 これでは逃げられてしまう。

「させるかぁ!」

 あっ、上手い!
 敵の跳躍に僅かに遅れて跳んだ武上君が吾妻に追いつき、その腕を掴んでいる。
 そのまま腕をひき炎の前に戻……せない!?

「ヤロウ!」

 武上君の剛力でも引き戻すことができないの?
 けど、吾妻をその場に留めている。
 そこなら炎舞を少しずらせば。

「くっ、これで、どう?」

「!?」

 捕らえたぁ!

「うぅ……」

 炎舞が吾妻の半身を包み込んでいく。
 やっと効果的な一撃が吾妻に。

「おっと」

 武上君は吾妻の腕を離し後退。
 余波からも逃れるべく、大きく距離を取っている。

「古野白!」

「ええ」

 炎に包まれた吾妻のかなり前方に武上君、後方には私。
 完璧な挟撃態勢だ。

「……」

 想定以上に理想的な展開になっている。
 このまま押せば、倒すこともできるはず。

「もう1発撃つわよ?」

 まさか、ここで手出し無用なんて言わないでしょうね?

「……ああ、続けてくれ」

 よかった。
 さすがに、状況は分かってるみたい。

「了解」

 吾妻を包む炎舞の効果時間は10秒程度。
 派手な見た目に反して威力は控えめなため、能力の高い異能者を一撃で仕留めきる力はない。だから、ここからは攻撃力の高いこれを。

「炎弾!」

 いまだ蠢く赤色のカーテンに向け発射。
 着弾!

「ぐうっ!!」

 声を上げてのけぞる吾妻。

「こいつぁ、効いてるぜ」

 間違いないわ。

「よーし、もう一撃だ」

 ええ、炎舞が効いている間に。

「炎弾!」

 と同時に炎舞が消えてしまった。

「っ!」

 炎から解放された吾妻。
 一瞬で10メートル以上の距離を!

 当然、炎弾は地面に落ちるのみ。

「……」

「古野白ぉ、こっからだぞ」

「……分かってる」

 逃げられたら追えばいい。
 あの異能を使われる前に、また戦闘状態に持ち込めばいい。
 さっきと違い、傷を負っている吾妻相手なら、そう難しくはないはず。

 ただ……。

 さっきの吾妻の表情。
 炎から解放された吾妻が私にくれた一瞥。
 苦痛の中にも確かに残っていた。
 余裕が……。



「おい、逃げんじゃねえ」

「……」

 炎弾を受けた後。
 吾妻は距離を取るばかり。
 武上君と手を合わせようともしない。
 近接戦闘に持ち込もうとする武上君も炎を使いたい私も、上手く間合いに入れない。

 どうして、こんなに動ける?
 傷の影響はないの?


感想 11

あなたにおすすめの小説

ひだまりのFランク冒険者

みなと劉
ファンタジー
ここは異世界。 そこの冒険者ギルドでは毎日仕事がてんこ盛り。 そんな中 冒険者ギルドには万年Fランクの冒険者が一人いる。 その名は、リルド。 彼は、特に何もない感じに毎日 「薬草採取」「石集め」Fランク向け「討伐」場合によっては「ポーション生成」をする。 この話はこの万年Fランク冒険者リルドの物語である。

ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!

仁徳
ファンタジー
あらすじ リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。 彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。 ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。 途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。 ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。 彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。 リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。 一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。 そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。 これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!

現世にダンジョンができたので冒険者になった。

盾乃あに
ファンタジー
忠野健人は帰り道に狼を倒してしまう。『レベルアップ』なにそれ?そして周りはモンスターだらけでなんとか倒して行く。

WIN5で六億円馬券当てちゃった俺がいろいろ巻き込まれた結果現代社会で無双する!

TB
ファンタジー
小栗東〈おぐりあずま〉 二十九歳 趣味競馬 派遣社員。 その日、負け組な感じの人生を歩んできた俺に神が舞い降りた。 競馬のWIN5を的中させその配当は的中者一名だけの六億円だったのだ。 俺は仕事を辞め、豪華客船での世界一周旅行に旅立った。 その航海中に太平洋上で嵐に巻き込まれ豪華客船は沈没してしまう。 意識を失った俺がつぎに気付いたのは穏やかな海上。 相変わらずの豪華客船の中だった。 しかし、そこは地球では無かった。 魔法の存在する世界、そしてギャンブルが支配をする世界だった。 船の乗客二千名、クルー二百名とともにこの異世界の大陸国家カージノで様々な出来事はあったが、無事に地球に戻る事が出来た。 ただし……人口一億人を超えるカージノ大陸と地球には生存しない魔獣たちも一緒に太平洋のど真ん中へ…… 果たして、地球と東の運命はどうなるの?

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク 普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。 だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。 洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。 ------ この子のおかげで作家デビューできました ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)