30年待たされた異世界転移

明之 想

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第9章 推理編

3回戦


<古野白楓季視点>



「動きを止める異能……すげえじゃねえか」

「あっ、でも、まだ不完全なんです。使えない時もあるし、あの人ももう動き出しているし」

「それでも大したもんだぜ。だよなぁ、古野白」

「……ええ」

「よーし、これでいけるぞ!」

 武志君が自信満々といった表情で立ち上がっている。

「古野白の炎、武志の結界、オレの拳、そこに動きを止める力が加わったんだ。次こそは吾妻に勝てるぜ」

「……」

 可能性は高まったと思う。
 でも、今の武上君も私も満身創痍なのよ。
 この体で倒し切る自信までは……。

 それに、吾妻は傷を負い距離を取っているとはいえ余裕が感じられる。
 害意を見せていない壬生伊織も動くかもしれない。

 まだまだ楽観できる状況じゃない。
 それは武上君も理解しているはず。

 理解していても。

「はは、腕が鳴るぜ」

 あなたはそういう人よね。

「武上君、まだ駄目ですよ」

「いーや、大丈夫だ」

「幸奈さんの言うように、もう少し回復させなさい」

「こんだけ動けりゃ、何も問題ねえなぁ」

「いいから、休むのよ」

「……」

 すっかり忘れているんでしょうね。
 時間がとっても重要だってことを。
 時間が私たちに味方してくれるかもしれないということを。

 そう。
 彼が和見家に来るはずなのよ。

 もちろん、和見の屋敷にやって来たとしても、この異空間に入ることは簡単ではないと思う。

 ただ、常識の通用しない彼なら。
 有馬君なら……。





 ドゴン!
 ドガン!

 数分ばかり休んだところで、結界表面に打撃音が?

「おっ、仕掛けてきたぞ」

 ガン!
 ドガン!

「あの人、頑丈すぎません?」

「……そうね」

「もうこんなに動けるなんて、信じられない」

 私も信じられない、というか認めたくない。
 恐ろしい異能を持っている上に、このタフさなんて。

 でも、これが現実。
 受け入れるしかない。

「なら、3回戦といこうぜ! 準備はいいか?」

「「……はい」」

「古野白も?」

 本音を言うと、もっと時間が欲しいけど……。

 ガン!
 ドッガン!

 結界から響く音が激しさを増してきた。

 ドッゴン!
 ドッガーーン!!

 長くは保たない。
 そう感じてしまう。
 だから。

「分かってるわ、武上君」

「おう、そうか」

「武志君、合図と同時に結界解除おねがい」

「了解!」

「それと同時に、幸奈さんは異能を」

「頑張ります!」

「武上君は、そのあとよ」

「了解だぜ」

 結界を破壊される前に動く。
 あらかじめ考えておいた作戦だ。

「いくわよ。10、9……」

「「「……」」」

「3、2……」

 今にもカウントがゼロになる。
 作戦が始まる。
 まさに、その寸前。

 キィーーーン!

「!?」

 奇妙な高音に、思わずカウントが止まってしまう。

「こいつぁ!?」

 空間に歪み?

「何?」

 私たちのいる結界と壬生弟が立っている位置の中間。
 吾妻の背後の空間が揺れている。

 刹那。
 いびつに揺れる空間に亀裂が走って……。

 そして……。

「……」
「……」
「……」
「……」

 舞い降りた!

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