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第9章 推理編
侵入 1
<壬生伊織視点>
「助けないって、嘘ですよね?」
「ほんとだけど」
「伊織君……」
吾妻なら、それなりに対応できるはず。
仮に危機に陥っても、おまえの空間異能を使えばいい。
そう心配することもないだろ。
と思っていたのだが……。
僅かな時間で状況が一変。
「なっ! 誰だ!?」
ふふ。
ははは……。
そうですかぁ。
やっぱり侵入できるんですねぇ、有馬さん。
**********************
<古野白楓季視点>
幻じゃない。
錯覚じゃない。
確かに、そこに彼の姿が。
期待してたけど、ずっと待っていたけど、本当に来てくれるなんて……。
「功己!」
「兄さん!」
「あいつ、やっとかよ」
みんなの表情が違う。
さっきまで張り付いていた決死の覚悟。
そんなものが嘘のように消え失せ、上気した顔と輝く眼が取って代わっている。
私もそう……。
「で、どうやって入ってきたんだ?」
「……」
分かるわけがない。
でも。
「有馬君なら、彼なら可能だと思う」
思うじゃないか、実際に可能にしているのだから。
「功己は、こんな場所くらい簡単に入れるんです」
「どうして言い切れるんだ、姉さん?」
「知ってるからよ」
「「「……」」」
ここで、なぜ知ってるかなんて聞く意味などないのかもしれない。
ただ1つ確かなことは、幸奈さんの有馬君への信頼が相当なものってこと。
「ちぇっ、有馬はスーパーマンかってんだ」
ほんと。
私もそう思うわ。
「なっ!? 誰だ!?」
「……」
「……」
敵陣営は、こちらとは対照的。
驚愕にあふれている。
吾妻も完全に動きが止まっている。
「そんな……あり得ない……」
空間異能者はほぼ自失状態。
「……」
壬生弟も……っ!?
笑っている?
驚きの表情から微笑に?
この状況でも笑えるの?
どうして……。
「どういうことだ?」
「……分かりません」
「分からない? ここは、おまえの異能が創り出した空間だろう?」
「違いますよ。もう何度も説明しましたよね。ここは元々存在しているんです。我々の暮らす世界と密接な関係にある位相空間に移動しただけなんですって」
「そんなことはどうでもいい」
「どうでもいいって……」
「問題はやつだ」
「……」
「外部から人が侵入できるものなのか?」
「それは……できないと思うんですが……」
「なら、あいつは?」
「……人に見えますね」
「……」
吾妻と空間異能者の動転はまったく治まっていない。
なのに、壬生弟は。
「そんな話してる場合なんですかぁ?」
「……」
「先にすることがあるような。でしょ、吾妻さん?」
「……そうだな」
壬生の言葉で吾妻の雰囲気が戻っていく。
また無表情に……。
「やつを叩き伏せた後に、ゆっくり話を聞くとしよう」
有馬君が現れたのは、私たちと壬生弟の中間地点。
この結界の近くにいる吾妻の背後。
有馬君はまだ状況を確認しているみたい。
そんな有馬君に向け、吾妻が動き出した。
「気をつけて、有馬君!」
「古野白さん……遅くなってすみません」
遅い……けど、遅くないわ。
みんな無事なのだから。
「有馬ぁ、そいつの異能は恐ろしいぞ」
「……」
「五感全てを奪う異能だ。発動前に何とかしろよ」
「……了解」
「助けないって、嘘ですよね?」
「ほんとだけど」
「伊織君……」
吾妻なら、それなりに対応できるはず。
仮に危機に陥っても、おまえの空間異能を使えばいい。
そう心配することもないだろ。
と思っていたのだが……。
僅かな時間で状況が一変。
「なっ! 誰だ!?」
ふふ。
ははは……。
そうですかぁ。
やっぱり侵入できるんですねぇ、有馬さん。
**********************
<古野白楓季視点>
幻じゃない。
錯覚じゃない。
確かに、そこに彼の姿が。
期待してたけど、ずっと待っていたけど、本当に来てくれるなんて……。
「功己!」
「兄さん!」
「あいつ、やっとかよ」
みんなの表情が違う。
さっきまで張り付いていた決死の覚悟。
そんなものが嘘のように消え失せ、上気した顔と輝く眼が取って代わっている。
私もそう……。
「で、どうやって入ってきたんだ?」
「……」
分かるわけがない。
でも。
「有馬君なら、彼なら可能だと思う」
思うじゃないか、実際に可能にしているのだから。
「功己は、こんな場所くらい簡単に入れるんです」
「どうして言い切れるんだ、姉さん?」
「知ってるからよ」
「「「……」」」
ここで、なぜ知ってるかなんて聞く意味などないのかもしれない。
ただ1つ確かなことは、幸奈さんの有馬君への信頼が相当なものってこと。
「ちぇっ、有馬はスーパーマンかってんだ」
ほんと。
私もそう思うわ。
「なっ!? 誰だ!?」
「……」
「……」
敵陣営は、こちらとは対照的。
驚愕にあふれている。
吾妻も完全に動きが止まっている。
「そんな……あり得ない……」
空間異能者はほぼ自失状態。
「……」
壬生弟も……っ!?
笑っている?
驚きの表情から微笑に?
この状況でも笑えるの?
どうして……。
「どういうことだ?」
「……分かりません」
「分からない? ここは、おまえの異能が創り出した空間だろう?」
「違いますよ。もう何度も説明しましたよね。ここは元々存在しているんです。我々の暮らす世界と密接な関係にある位相空間に移動しただけなんですって」
「そんなことはどうでもいい」
「どうでもいいって……」
「問題はやつだ」
「……」
「外部から人が侵入できるものなのか?」
「それは……できないと思うんですが……」
「なら、あいつは?」
「……人に見えますね」
「……」
吾妻と空間異能者の動転はまったく治まっていない。
なのに、壬生弟は。
「そんな話してる場合なんですかぁ?」
「……」
「先にすることがあるような。でしょ、吾妻さん?」
「……そうだな」
壬生の言葉で吾妻の雰囲気が戻っていく。
また無表情に……。
「やつを叩き伏せた後に、ゆっくり話を聞くとしよう」
有馬君が現れたのは、私たちと壬生弟の中間地点。
この結界の近くにいる吾妻の背後。
有馬君はまだ状況を確認しているみたい。
そんな有馬君に向け、吾妻が動き出した。
「気をつけて、有馬君!」
「古野白さん……遅くなってすみません」
遅い……けど、遅くないわ。
みんな無事なのだから。
「有馬ぁ、そいつの異能は恐ろしいぞ」
「……」
「五感全てを奪う異能だ。発動前に何とかしろよ」
「……了解」
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