30年待たされた異世界転移

明之 想

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第9章 推理編

侵入 2

 どうだ?
 これで、上手くいくか?

「……」

「……」

「……」

 体にまとわりつく奇妙な感覚が消え。
 目に入ってきたのは。

 地面以外に何もない。
 果てがあるのかも分からない無限の空間。

 入れたのか?

「……」

 向こうに見えるのは……幸奈と武志、古野白さんに武上の姿も。

 成功だ!
 侵入できたぞ。

 しかし……。

 臭い。
 臭気と瘴気がとんでもないことになってる。
 異空間に移動したことによる若干の目眩と相まって、くらくらしてしまう。

「……」

 って、そんなこと気にしてる場合じゃないな。
 現状は……。

 結界は無事。
 4人も結界の中に隔離したまま。
 地下室で見た状況に変わりはない。

 よかった。
 これで、一息つける。

 となると、あとは……。

 あの異能者を倒せばいいだけ。

「気をつけて、有馬君!」

 古野白さん……。
 地下室からはあまりよく見えなかったが、こうして同じ空間にいるとはっきり分かる。かなり酷い状態じゃないか。

「古野白さん……遅くなってすみません」

 隣にいる武上も満身創痍。
 俺がもう少し早く侵入できていれば……。

 けど、もう大丈夫だ。
 ふたりとも、結界の中で休んでいてくれ。
 ここからは、俺の出番だから。


「有馬ぁ、そいつの異能は恐ろしいぞ」

「……」

「五感全てを奪う異能だ。発動前に何とかしろよ」

 五感を奪う異能だって?
 そんなものをこの異能者が使える?

 そうか。
 古野白さんと武上が倒された原因はそれだったのか。

「……了解」

「有馬君、彼は五感を奪うだけじゃないわ。身体強化もできるダブルよ」

 複数持ち。
 
「……」

 これは想像以上に厄介な異能者だな。

「とにかく、五感を奪われないように戦え!」

 複数持ちの異能者を相手にした戦いで、異能発動前に倒しきる。
 容易なことじゃないぞ。

「五感の方は発動前に長い詠唱をすっから、そこで一撃喰らわせてやりゃいい」

「異能に長い詠唱を?」

「ああ、かなり長い詠唱だぜ。とんだキザ野郎なんだよ、そいつぁ」

 異能者が長い詠唱を口にする姿なんて見たこともない。
 ただ、それが本当なら……。

「有馬なら、詠唱が始まってからでも十分倒せる!」

「……何とかなりそうだな」

「おうよ、問題ねえ!」

「吾妻の身体強化は高いレベルだし、五感を奪う異能は強力無比よ。本当に恐ろしいダブルだけど、有馬君が慎重に戦えば大丈夫。私もそう思うわ」

「……了解です」

 敵が厄介な相手であることに変わりはない。
 ただ、こうして話を聞けたのは大きいぞ。
 知らずに戦うのとは、まったく違ってくる。

 古野白さん、武上。
 おかげで、かなり楽になったよ。

「……」

 しかし、詠唱発動の異能か。
 まるで異世界の魔法だな。
 アナログなやつもいたもんだ。

 まっ、とりあえず鑑定を。

「……」

「……」

 なるほど。
 アナログとはいえ、これはとんでもない。
 恐ろしい異能だよ。
 古野白さんと武上が手こずるわけだ。

 っと、きたか?
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