30年待たされた異世界転移

明之 想

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第10章 位相編

邪狼狗 5

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 ほんの僅かな時間で土系異能者と植物系異能者が戦闘不能に陥ってしまった。
 あまりのことに大半が息をのむ不穏な状況の中。

「たぁぁ!」

 勢いを切らすことなく飛び込んだのは武上少年。
 強化した腕と脚で邪狼狗に襲いかかる。

『〇#□%』

 右拳、左拳の突きから中段蹴りと文句のつけようがない攻撃だ。
 が、どれも当たらない。

「だぁ!」

 さらに連続攻撃。
 それでも、当たらない。

「おりゃあぁ!!」

 ここで武上少年の速度が上がった。
 今日一番の速さだろう。

 渾身の右拳が邪狼狗の顔面に!

 惜しい。
 顔を掠めたぞ。

 今は紙一重で避けられたが、最高速の攻撃は十分に通用している。

「……」

 武上少年。
 まだ15歳だというのに大したものだな。

『@&$●#!』

 対する邪狼狗は。
 いつの間にか表情から笑みが消えている。
 余裕がなくなったのか?

「だぁぁ!」

『◆¥△!』

 絶え間ない連続連撃に対し、動きを止め対処する邪狼狗。
 その背後から。

「ウインド!」

「炎弾!」

「ウインド!」

 鷹郷さんと古野白さんの連携異能だ。
 白炎を撒き散らし進む烈火が、邪狼狗の背中に飛び込んでいく。

『!?』

 跳躍回避しようとする邪狼狗。
 その左腕を武上少年が掴んだ。

『△¥$●!!』

 邪狼狗は逃げられない。
 こうなると。

 よし、的中だ!
 高威力の炎弾が敵を捕らえたぞ!

「当たった!」
「やったのか?」

 その身にまともに炎弾を喰らった邪狼狗。
 だが、倒れない。

『◎△+*@#!』

 悶えながらも武上少年の腕を振り払い跳躍。
 距離を取る。

 そして……。

 纏わりついていた炎が消えた瞬間。

『オオォォォ &◎$□!!』

 宙を斬り裂くような咆哮だ。

『△*¥ ォォォォ!!』

 響き渡る咆哮と同時に襲ってくるのは強烈な圧迫感。

「っ!」

「何だぁ!」

「うぅ!」

 さっきまでは優勢に進めていた戦局が僅か数秒で一変。
 鷹郷さん、武上少年、古野白さんが地に膝をついてしまった。




*************************

<古野白楓季視点 (現在)>




「……去ってしまったわよ」

「ああ、またいなくなっちまったな」

 有馬君が消えた後、しばらくはこの異空間に留まっていた吾妻達。
 何やら深刻に話をしていると思ったら、こちらに目を向けることもなく消え去ってしまった。

「これで、わたしたちだけになるのは2度目ですね」

「……ええ」

「前回と違って今回は長くなりそうだぜ。下手すりゃ、24時間以上かもなぁ」

「えっ、24時間も?」

「武志は聞こえなかったのか?」

「僕は結界に集中していたので……」

「おう、そうだったな」

「で、どうして24時間なんですか?」

「あいつらの話だと、吾妻が回復するまで時間がかかるってよ。それが24時間らしいぜ」

「……」


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