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第10章 位相編
邂逅
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人生がいい方向に変わった、か。
「俺も……色々と勉強になった」
「そうなんですね」
「ああ……ところで、幸奈は相変わらず敬語だな」
「えっ? あっ!」
「気楽に話すんじゃなかったのか?」
「うーん……でも、今さらかも。あと少しですもん」
「失敗すれば、もうしばらくこの世界に留まることになるぞ」
「そうなったら、また考えます」
「……」
「ところでコーキさん、今はどこ向かってるんです? 家の方向からずれてますけど?」
「ちょっと寄りたい場所があるんだ」
「寄りたい所? でも、このまま歩いても公園くらいしかないような?」
確かに、この先には住宅地が続くばかりで特に目を引くような場所はない。ただし、俺だけは……。
「あっ!?」
15歳の俺にとっての特別な場所。この時期鍛錬のため頻繁に通っていた公園があるんだ。
「功己に会いに行くんですね」
「ああ」
「コーキさんと功己が会っても平気なんですか?」
「多分な」
この世界が単なる過去世界なら、20歳の有馬功己が15歳の有馬功己に会うことで問題が生じる可能性もある。しかし、ここが過去ではなく位相世界なら問題などないはず。そもそも、既にこの世界には干渉済みなんだ。今さらだろ。
「それに、こっちが変装すれば15歳の俺は気づけないってこともあり得る」
「さすがに気づきますよ」
「いや、案外そうでもないぞ」
モデルや俳優のように自身を日常的に見ている環境なら別だが、普通は自分の姿も声も認識しづらいものだからな。
「ほんとですか?」
「ああ」
「でも気づかれなければ、それでいいのかな? 他にも問題があるような気がするんですけど……」
ここが位相世界じゃなければな。
「それで功己さん、変装って、その帽子とマスクとサングラスですよね?」
「そうだ」
「不審者にしか見えませんよ」
「……気づかれなきゃいい」
「あやしすぎるけどなぁ」
などと話している間に公園が見えてきた。
「幸奈はここで待っていてくれ」
「……はい」
さて、15歳の有馬功己はどこにいる?
俺の15歳時と同じルーティンをこなしているなら、この時間は公園で鍛錬しているはずだが?
「……」
「……」
いた。
あれは間違いなく15歳の俺だ。
「はあ、はあ……」
俺が俺の目の前で鍛錬をしている。
「くっ、はあ、はあ……」
何とも奇妙な状況に、思わず足が止まってしまう。
そんな足に力を入れなおし。
「有馬君」
「はあ……」
「君は有馬君だよな?」
「……誰ですか?」
こちらを見て明らかに警戒している様子。
「名乗ることはできないが、君のことをよく知っている者だ。信用してほしい」
「そんな姿で?」
警戒しているが、気づいてはいない。
俺が有馬功己だと分かっていないぞ。
「バカバカしい」
「……」
「信用できるわけないでしょ」
やっぱり、マスクは外した方がよかったか?
「……新手の誘拐かな? だったら、無駄ですよ」
誘拐って、そこまで酷い姿じゃないだろ。
「僕を見くびらない方がいい」
「違う、君と話がしたいだけだ」
「……」
「少しいいかな?」
「よくないですね。僕には用がないので、失礼します」
おい!
「ちょっと待ってくれ」
「いやです」
こちらに背を向けて歩き出す有馬少年。
「有馬君?」
「……」
なんて可愛げのないやつだ。
って、俺だけど……。
「俺も……色々と勉強になった」
「そうなんですね」
「ああ……ところで、幸奈は相変わらず敬語だな」
「えっ? あっ!」
「気楽に話すんじゃなかったのか?」
「うーん……でも、今さらかも。あと少しですもん」
「失敗すれば、もうしばらくこの世界に留まることになるぞ」
「そうなったら、また考えます」
「……」
「ところでコーキさん、今はどこ向かってるんです? 家の方向からずれてますけど?」
「ちょっと寄りたい場所があるんだ」
「寄りたい所? でも、このまま歩いても公園くらいしかないような?」
確かに、この先には住宅地が続くばかりで特に目を引くような場所はない。ただし、俺だけは……。
「あっ!?」
15歳の俺にとっての特別な場所。この時期鍛錬のため頻繁に通っていた公園があるんだ。
「功己に会いに行くんですね」
「ああ」
「コーキさんと功己が会っても平気なんですか?」
「多分な」
この世界が単なる過去世界なら、20歳の有馬功己が15歳の有馬功己に会うことで問題が生じる可能性もある。しかし、ここが過去ではなく位相世界なら問題などないはず。そもそも、既にこの世界には干渉済みなんだ。今さらだろ。
「それに、こっちが変装すれば15歳の俺は気づけないってこともあり得る」
「さすがに気づきますよ」
「いや、案外そうでもないぞ」
モデルや俳優のように自身を日常的に見ている環境なら別だが、普通は自分の姿も声も認識しづらいものだからな。
「ほんとですか?」
「ああ」
「でも気づかれなければ、それでいいのかな? 他にも問題があるような気がするんですけど……」
ここが位相世界じゃなければな。
「それで功己さん、変装って、その帽子とマスクとサングラスですよね?」
「そうだ」
「不審者にしか見えませんよ」
「……気づかれなきゃいい」
「あやしすぎるけどなぁ」
などと話している間に公園が見えてきた。
「幸奈はここで待っていてくれ」
「……はい」
さて、15歳の有馬功己はどこにいる?
俺の15歳時と同じルーティンをこなしているなら、この時間は公園で鍛錬しているはずだが?
「……」
「……」
いた。
あれは間違いなく15歳の俺だ。
「はあ、はあ……」
俺が俺の目の前で鍛錬をしている。
「くっ、はあ、はあ……」
何とも奇妙な状況に、思わず足が止まってしまう。
そんな足に力を入れなおし。
「有馬君」
「はあ……」
「君は有馬君だよな?」
「……誰ですか?」
こちらを見て明らかに警戒している様子。
「名乗ることはできないが、君のことをよく知っている者だ。信用してほしい」
「そんな姿で?」
警戒しているが、気づいてはいない。
俺が有馬功己だと分かっていないぞ。
「バカバカしい」
「……」
「信用できるわけないでしょ」
やっぱり、マスクは外した方がよかったか?
「……新手の誘拐かな? だったら、無駄ですよ」
誘拐って、そこまで酷い姿じゃないだろ。
「僕を見くびらない方がいい」
「違う、君と話がしたいだけだ」
「……」
「少しいいかな?」
「よくないですね。僕には用がないので、失礼します」
おい!
「ちょっと待ってくれ」
「いやです」
こちらに背を向けて歩き出す有馬少年。
「有馬君?」
「……」
なんて可愛げのないやつだ。
って、俺だけど……。
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