30年待たされた異世界転移

明之 想

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第11章 陰謀編

石牢 8

 この石牢内で魔力消失が起きるのは、魔力が外部と触れた後。
 だったら、外に出さなければいい。
 これまでのように剣の表面を魔力で覆うのじゃなく、その内部に込めればいい。
 そうすれば、鉄格子に触れた瞬間の魔力消失は起こらず、内部強化剣で強固な鉄を断ち斬れるはず。

 そう。
 これはエビルズピークの異界で考え出した方法。
 エビルズマリスが創り出した異界で剣姫が身につけた魔力付与法だ。
 あの時の俺にはできなかったが、今なら……。


「ちっと休んどくぞ」

「ああ」

 その時に備えてくれ。

 こっちは、もうひと踏ん張り。
 収納から取り出した剣の内部に魔力を込め、内包状態を安定させるだけ。
 四半刻もあれば可能だろう。




 ん?
 何だ?

「……」

 空気が変わっている?

「……」

 匂いはしない。
 けど、何かが違う。

「ギリオン!」

「……んん? おっ、完成したかよ?」

 そうじゃない。

「何か感じないか?」

「何がって、何だ?」

「……空気がおかしい」

「空気だぁ?」

「感じないのか?」

 深呼吸を始めるギリオン。
 だが。

「分っかんねえなぁ」

 何も感じないらしい。
 ということは、俺の気のせい?

「……」

 いや、しかし。

「……」

 やっぱり、違う。
 明らかに変質しているぞ。

 なら、これは?
 何が起こっているんだ?

 慎重に石牢内を感知していると……。

「うっ」

 ギリオンが急に胸を抑え出した?

「どうした?」

「ぐっ」

「ギリオン?」

「ううぅぅ」

「胸が苦しいのか? 苦しいんだな?」

「コーキ……」

 空気か?
 空気が問題なのか?

「……上手く動けねえ」

「動けない? 胸はどうなんだ?」

「そっちは、大丈夫だ」

 胸は痛くないが、動けない?
 この症状は……?

「っ! 痺れが止まんねえ」

 痺れだと?

「指先まで痺れてきやがった」

 何が何だか分からないが、痺れだけなら治癒魔法で……駄目だ。
 ここじゃ使えないんだった。

 だったら、回復薬を。
 収納から素早く取り出した、回復薬をギリオンの口へ。

「くっ、うぐっ……」

 よし、何とか嚥下している。

「うぅ……」

「どうだ? 少し楽になったか?」


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