30年待たされた異世界転移

明之 想

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第11章 陰謀編

ソファーの奥


「ぅ……」

 意識を奪った時の状態から考えて、しばらくは問題ないだろうと考えていたオルセー。なのに、もう覚醒しようとしている。

「オルセーが冒険者を雇ったということなら……。確かに、あり得ますな」

「そうでしょ」

 今のところ、2人の意識が奥に向いているようには見えない。
 とはいえ、オルセーが呻き声を上げれば無事では済まないだろう。

「ええ。ですが、手下ではなく冒険者を使ったとなると……」

「任務を越えた案件である可能性も少なからず出てきますよね?」

「……」

「もちろん、オルセー殿が冒険者を雇うことに支障などありません。任務さえこなしていただけるのなら全ては裁量次第、誰を使うのも自由ですから」

 隣では興味深い会話が続いているが、こっちはそれどころじゃない。
 意識は奥のソファーの後ろ、オルセーの気配に集中して、いつでも動けるように準備を。

「ところで、本当に今回の任務は無事に終えられたのですよね?」

「それは、間違いなく」

「でしたら、何の問題もありませんね」

「ええ、まあ」

 会話が一段落したところで。

「ぅぅ……」

 オルセーから漏れ出す息が大きくなってきた。とはいえ、注意しなければ聞き取れない程度ではある。2人に気づいてる素振りもない。

 が、これ以上は駄目だな。
 であれば、やむを得ない。

「少し失礼します」

「どうしました?」

「奥のソファーに財布を落としたようなんです」

 奥に行かせてもらおう。
 そこでオルセーに再び眠りを。

「勝手に動くな」

「バシモス殿、よいではありませんか」

「ですが」

「財布を取りに行くくらい問題ありませんよ。どうぞ、冒険者さん」

「ありがとうございます」

 よし。
 公爵令嬢のおかげで、何とかなりそうだ。
 ただ、ここは慎重に。焦りを見せないように、ゆっくり歩を進め。

「ぅ……」

 奥に到着すると、床に転がったままのオルセーが今にも意識を取り戻そうとしている。まさに間一髪だ。

 けど、これでまた時間が稼げる。
 悪いな、オルセー。

 胸に手を当て、無詠唱で微弱な雷撃を発動。
 オルセーはビクンと体を震わせ、そのまま沈黙。
 向こうの2人に気づかれないよう手加減した雷撃だったが、上手くいったようだ。

 さあ、時間を作ることはできた。
 ここからは、あの2人への対応が鍵になるぞ。

 まずは長椅子に戻って……!?
 バシモスがこっちに向かってくる。

「どけ!」

「待ってください」

 静止する俺を払いのけるように通り抜け。

「っ! オルセー?」

 当然、隠すことなどできるわけもない。

「きさま!」

「……」

「オルセーに何をした?」

 雷撃を放つ瞬間は目撃されていないはず。
 とはいえ、昏倒するオルセーを見られてしまったら。

「すべて、きさまの仕業か?」

「……」

 仕方ない。

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