1,178 / 1,640
第11章 陰謀編
変貌
「今度こそ分かりました?」
短剣を俺の目の前で止めたサヴィアリーナ嬢の剣気が薄れていく。
戦意も消えて……。
いや、違うな。
本気で害する意志など最初からなかったんだろう。
「まだ分からないんですか?」
「……何のことです?」
「はぁぁ」
俺の返答を受け、眼を瞑る公爵令嬢。
呆れたような仕草で短剣も収めてしまった。
「困った人ですよ」
「……」
「アリマさんは」
なっ?
どうして俺の名前を知ってる?
しかも、コーキではなくアリマの方を?
「ねえ?」
やはり、どこかで会っているのか?
王国中枢にいる大貴族令嬢と?
いや、しかし……。
こちらの世界で俺がアリマの名を使ったのは僅か数回だけ。その名を知る者は知人の中にもほとんどいない。なのに、俺をアリマとして認識しているなんて。
「……」
アリマの名を知る公爵家次女。
さらには、さっきの気配、短剣の扱い。この事態まで読んでいたという。
どこをどう切り取っても、異常なことばかりだ。
「どうしました? とっても難しい顔をされてますけど?」
「……公爵令嬢であるあなたが、どうしてその名を知っているんです?」
「ほんと、何も思い出せないのですね」
眉をひそめ、頬を歪めながら、どこからか取り出したブレスレットを触っているサヴィアリーナ公爵令嬢。
「あれだけのことがあったのに寂しい限りです」
「……あれだけのこと?」
彼女と、いつどこで何があったというのか?
「……」
駄目だ。
どうやっても、思い出せない。
サヴィアリーナ嬢のような女性に会った記憶なんて、まったく……。
「これ以上は無駄、か」
えっ?
令嬢の声音が変わった?
「今は時間もないしな。答え合わせをしてやろう」
冷たく言い放って、ブレスレットを左手に装着。
「……」
と?
風が?
窓も開いていない部屋に風が起こっている。
この風は……公爵令嬢から?
「サヴィアリーナ様?」
「静かに」
風の中、変化した声音で冷静に答えるサヴィアリーナ嬢。
「……」
彼女の絹糸のように美しい髪が風に舞っている。
ふわりと広がった朱色の長髪が渦を巻いている。
その次の瞬間。
「これは?」
令嬢の髪色が変化していく。
渦の中心、一部の朱が紺へと変わり、そして……。
強く波打つ朱髪が紺色に転化!?
全てが鮮烈な濃紺に変化した!!
何が起こってるんだ?
「……」
いまだ揺れなびく濃紺の髪の下。
容貌も少しずつ変化して。
朱色の眼が蒼に、輪郭も変わって……。
風が止んだ。
「……」
濃紺の髪に蒼眼。
泰然とした微笑みに、この気配。
「久しいな、アリマ」
あなたにおすすめの小説
ひだまりのFランク冒険者
みなと劉
ファンタジー
ここは異世界。
そこの冒険者ギルドでは毎日仕事がてんこ盛り。
そんな中
冒険者ギルドには万年Fランクの冒険者が一人いる。
その名は、リルド。
彼は、特に何もない感じに毎日
「薬草採取」「石集め」Fランク向け「討伐」場合によっては「ポーション生成」をする。
この話はこの万年Fランク冒険者リルドの物語である。
ブラックギルドマスターへ、社畜以下の道具として扱ってくれてあざーす!お陰で転職した俺は初日にSランクハンターに成り上がりました!
仁徳
ファンタジー
あらすじ
リュシアン・プライムはブラックハンターギルドの一員だった。
彼はギルドマスターやギルド仲間から、常人ではこなせない量の依頼を押し付けられていたが、夜遅くまで働くことで全ての依頼を一日で終わらせていた。
ある日、リュシアンは仲間の罠に嵌められ、依頼を終わらせることができなかった。その一度の失敗をきっかけに、ギルドマスターから無能ハンターの烙印を押され、クビになる。
途方に暮れていると、モンスターに襲われている女性を彼は見つけてしまう。
ハンターとして襲われている人を見過ごせないリュシアンは、モンスターから女性を守った。
彼は助けた女性が、隣町にあるハンターギルドのギルドマスターであることを知る。
リュシアンの才能に目をつけたギルドマスターは、彼をスカウトした。
一方ブラックギルドでは、リュシアンがいないことで依頼達成の効率が悪くなり、依頼は溜まっていく一方だった。ついにブラックギルドは町の住民たちからのクレームなどが殺到して町民たちから見放されることになる。
そんな彼らに反してリュシアンは新しい職場、新しい仲間と出会い、ブッラックギルドの経験を活かして最速でギルドランキング一位を獲得し、ギルドマスターや町の住民たちから一目置かれるようになった。
これはブラックな環境で働いていた主人公が一人の女性を助けたことがきっかけで人生が一変し、ホワイトなギルド環境で最強、無双、ときどきスローライフをしていく物語!
WIN5で六億円馬券当てちゃった俺がいろいろ巻き込まれた結果現代社会で無双する!
TB
ファンタジー
小栗東〈おぐりあずま〉 二十九歳 趣味競馬 派遣社員。
その日、負け組な感じの人生を歩んできた俺に神が舞い降りた。
競馬のWIN5を的中させその配当は的中者一名だけの六億円だったのだ。
俺は仕事を辞め、豪華客船での世界一周旅行に旅立った。
その航海中に太平洋上で嵐に巻き込まれ豪華客船は沈没してしまう。
意識を失った俺がつぎに気付いたのは穏やかな海上。
相変わらずの豪華客船の中だった。
しかし、そこは地球では無かった。
魔法の存在する世界、そしてギャンブルが支配をする世界だった。
船の乗客二千名、クルー二百名とともにこの異世界の大陸国家カージノで様々な出来事はあったが、無事に地球に戻る事が出来た。
ただし……人口一億人を超えるカージノ大陸と地球には生存しない魔獣たちも一緒に太平洋のど真ん中へ……
果たして、地球と東の運命はどうなるの?
[完]異世界銭湯
三園 七詩
ファンタジー
下町で昔ながらの薪で沸かす銭湯を経営する一家が住んでいた。
しかし近くにスーパー銭湯が出来てから客足が激減…このままでは店を畳むしかない、そう思っていた。
暗い気持ちで目覚め、いつもの習慣のように準備をしようと外に出ると…そこは見慣れた下町ではなく見たことも無い場所に銭湯は建っていた…
異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?
お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。
飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい?
自重して目立たないようにする?
無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ!
お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は?
主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。
(実践出来るかどうかは別だけど)
幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達より強いジョブを手に入れて無双する!
アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚。
ネット小説やファンタジー小説が好きな少年、洲河 慱(すが だん)。
いつもの様に幼馴染達と学校帰りに雑談をしていると突然魔法陣が現れて光に包まれて…
幼馴染達と一緒に救世主召喚でテルシア王国に召喚され、幼馴染達は【勇者】【賢者】【剣聖】【聖女】という素晴らしいジョブを手に入れたけど、僕はそれ以上のジョブと多彩なスキルを手に入れた。
王宮からは、過去の勇者パーティと同じジョブを持つ幼馴染達が世界を救うのが掟と言われた。
なら僕は、夢にまで見たこの異世界で好きに生きる事を選び、幼馴染達とは別に行動する事に決めた。
自分のジョブとスキルを駆使して無双する、魔物と魔法が存在する異世界ファンタジー。
「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?」で、慱が本来の力を手に入れた場合のもう1つのパラレルストーリー。
11月14日にHOT男性向け1位になりました。
応援、ありがとうございます!
病弱設定されているようです
との
恋愛
『あのようにご立派な家門にお産まれになられたのに⋯⋯お可哀想なご令嬢だそうですのよ』
なんて噂が流れているけれど、誰も会ったことがないミリー・ミッドランド侯爵令嬢。
ネグレクトなんて言葉はない時代に生まれ落ちて、前世の記憶を取り戻したら⋯⋯。
前世の記憶と共に無双します!
再開しました。完結まで続投です。
ーーーーーー
恋愛小説大賞27位、ありがとうございました(感謝)
ゆるふわの中世ヨーロッパ、幻の国の設定。
完結確定、R15は念の為・・