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第11章 陰謀編
攻防 2
「っ!」
さっきの俺のように上半身だけで回避しようと、力技で半身を捻る宗主。
その動きを支えるのは凄まじい筋肉と強化された肉体。
称賛に値する反応だが、驚くほどじゃない。
ヴァルターさんや剣姫など、何度も達人の至芸を目撃してきた俺にとっては想定の範囲内だ。
「ぐっ!」
上半身を逸らすなら、こっちは剣を伸ばすだけ。
半歩踏み込んで、剣を振るうだけ。
ザンッ!
躍動する剣身に確かな手応え。
バケモノオルセーのような硬さはない。
間違いなく宗主の胸を斬り裂いた。
「ううっ!」
よろめきながら後退する宗主。
体からは力も抜けている。
決まりだな。
「……」
レンヌ家当主の剣も魔力付与も素晴らしいものがあった。
オルセーやバシモスより数段上なのは間違いない。
ただ、それでも。
剣姫に比べると、どうしても見劣ってしまう。
剣姫と戦った経験のある俺、当時よりレベルが上がり経験を積んだ俺が倒せない相手じゃない。
さて、決着はついた。
となると……この状況でとどめは刺さないほうがいいな。
「ぐっ、ううぅぅ」
俺としては、レンヌ家との間に不要な遺恨は残したくない。
まっ、多少の禍根が残るのはどうしようもないが。
ということで、ギリオンを……ん?
宗主の体が光に包まれている?
これは?
「アリマさん、まだ終わってません!」
光に思い当たるところがあるように剣姫が注意を促してきた。
「宝具です!」
「……」
そうか。
相手は魔道具の大家でもあるレンヌ家の当主なんだ、宝具くらい使ってくるか。
なら、その効果は?
「おそらくは、護宝かと」
「ベリニュモナの護宝ですか?」
「ええ」
宝具ベリニュモナの護宝。
確かに、重傷を消し去るこの宝具は今の状況にぴったりだ。
「っ!」
光がはじけた!
「……」
光の跡にはレンヌ家宗主。
剣撃を受けよろめいていた名残りは微塵も見えない。
しっかりとした足取りで立っている。
「見事な一撃だ。が、残念だったな」
いいや。
ベリニュモナの護宝と分かったんだ。
こっちにはもう悔しさも驚きもない。
それに、護宝と理解した時点で既に動いている。
「なっ!?」
宝具で全快したのは胸の傷だけ。
心身に受けた衝撃は残っているだろうし、そもそも戦闘態勢にも入っていない。
であれば、こっちは攻めるのみ。
待つ必要なんてない。
「くっ!」
案の定、棒立ちだ。
それで対応できるかな?
この一振りを?
シュン!
間合いに飛び込みざま、横薙ぎに剣を一閃!
ザシュッ!
完璧だ。
「うぐぅ!」
さっきの胸の傷をなぞるような一撃。
手応えも十分。
「うぅぅ」
宗主は床に片手、片膝をついている。
今度こそ決まりだろう。
そう終わりを確信した瞬間。
また光?
さっきと同じ光だ!
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