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第11章 陰謀編
異状
「ふふ、ふふふ」
横たわったまま身動ぎもしない宗主を心配し、縋り付いているレンヌ家の人々。
こちらを見つめ微笑んでいるサヴィアリーナ様。
俺は宗主から数歩離れ、その様子を見ているのだが。
「……」
どうにも、居心地が悪い。
けどまあ、これでギリオンの捜索に集中できる。
ただ、その前に。
「始末はどうしましょう?」
「問題ありません」
賭けに勝ったから大丈夫だと頷いている。
「お任せください」
自信満々なその様子から、今回は上手くいくと思いたい。
頼りにしてますよ。
****************************
<ヴァーンベック視点>
この異様な空気は?
「ヴァーン?」
「ああ、普通じゃねえぞ」
肌がひりつくような感覚。
さっきまでは全く感じなかった異様な気配が漂っている。
「どっからだ?」
気配のもとは。
「……その角の左だ」
濃密な気配が廊下の先、左方から伝わってくる。
気配感知に意識を割くまでもない。
「そこに何かいるってか?」
「だろうよ」
尋常じゃない気配を漂わせる存在が確実にいる。
「コーキじゃねえよな?」
「違う、まったく別物の空気感だ」
気配を自在に操れるコーキのそれを俺が正確に判別することはできない。
それでも、この気配は異質に過ぎる。
コーキのものじゃないことだけは明らかだ。
「気配の持ち主じゃねえ。そいつとコーキが戦ってねえかってこった」
「それは……」
確かに。
その可能性なら考えられる。
「まっ、見りゃあ分かんだろ。よーし、行くぞ」
「ちょっと待て」
可能性はあるが、それ以前に危険が待ってるかもしれないんだぞ。
「待っててもしょうがねえ」
「おい!」
躊躇なく足を出しやがった。
「ヴァルターさん?」
「うむ」
こっちも既に歩き出している。
「ちっ」
こうなると、俺ひとり残るわけにはいかない。
数歩遅れて2人を追いかけることに……。
先頭を行くギリオンが角に到着した。
異様な空気の濃度は上がる一方だ。
それなのに、迷いも見せず曲がろうとしている。
「もっと用心しろ」
俺の言葉に振り向きもしない。
それどころか、早足で左に曲がっていく。
続くヴァルターも駆け足に近い。
こいつら。
「警戒心はないのかよ」
溜息とともに、俺も左へ。
すると。
「……何だこれは?」
異常の発生源と思えるモノが目に入ってきた。
「黒球か?」
ギリオンの言う通り。
通路前方では、空気が黒い球体状に集まっている。
不穏な淀みを発し続けながら……。
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