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第11章 陰謀編
澱み
<ヴァーンベック視点>
「で、黒球って?」
こっちが聞きたいくらいだ。
そもそもアレを黒球と呼んだのはギリオンだろ。
「ヴァーン?」
「……」
「ヴァルター?」
俺と同様ヴァルターも沈黙し、前方を凝視している。
「……」
地下の迷宮通路から脱出できたと思ったら、この状況。
空気が黒く淀んで球状に集まってるなんて、いったい何が起こってんのか?
まさか、これも。
「宝具ですか?」
「……このような禍々しい宝具は聞いたこともない」
俺たちより宝具に詳しいヴァルターの判断は軽視できない。
となると、宝具じゃない何か?
しかし、そんなものがいきなり白都の屋敷内に現れるだろうか?
テポレン山やエビルズピークならまだしも……。
ん?
そういえば、似ているような?
あの時の不穏さに?
曖昧な記憶を手繰り寄せようとしたところで。
「おめえらが分かんねえなら、考えても無駄だな」
またしてもギリオンが前に出た。
「ちょっと待て!」
角を曲がる前とは状況が違う。
今は前方にアレが見えてるんだ。
どう考えても慎重に動くべきだろ。
「待ってても何も変わんねえぞ」
「引き返して違う通路を進む選択肢もある」
「そんな道があんのかよ?」
「……」
「とにかく今は、あの黒球の中を見ねえとなぁ」
「ギリオン!」
「おめえらは待ってりゃいい」
そう言ってさらに前に出る。
渋い顔をしたヴァルターも止めはしない。
「行ってくんぞ」
躊躇いもなくギリオンが黒球の中に。
入ってしまった。
もう……その姿は見えない。
「ヴァルターさん?」
「こうなれば、少し様子を見るしかないな」
それは、そうなんだが。
って?
ガキィィン!
剣で何かに斬りつけたような音が響き渡る。
と共に黒球の中から青い光が!?
「ギリオン!」
「……」
「どうした? 戦ってんのか?」
返事はない。
2撃目の音も聞こえない。
すると。
「……うっ」
前方からうめき声が漏れ聞こえてきた。
「おい、ギリオン!」
相変わらず澱みで前が確認できない。
「やられたのか?」
「……」
これはもう、行くしかない!
ヴァルターと共に駆け出したところで。
「問題ねえ」
ギリオンの声。
澱みも薄れていく。
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