30年待たされた異世界転移

明之 想

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第11章 陰謀編

怪物戦 1

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<ヴァーンベック視点>



 正体不明の怪物は、剣で斬られても魔法の直撃を受けても何でもないかのように平然としている。もちろん、体表にはそれなりの傷と出血が見られるが、大して効果があるとは思えない。

「$#@オォォ!!」

 さらに、戦意は増すばかり。
 ある程度分かってはいたものの、相当厄介な怪物だぞ。

「やろう、防御力はダブルヘッド並みじゃねえか」

「頑丈さは越えてるだろ」

 ダブルヘッドは赤黒く濡れた体毛で攻撃の威力を減退させていたが、こいつは剣も魔法もまともに喰らっている。それでいて、今の状態なんだ。体の強さだけならダブルヘッドより上と考えた方がいい。

「強度だけじゃない」

「ヴァルター?」

「膂力も体力も凄まじいものがある。それに、何か他にもありそうだ」

「……」

 ヴァルターの見立て通りかもしれない。
 これまでの戦いであの怪物がすべてを出し切ったとは思えないのだから。

「しばらくは無理をせず、様子を見た方がいいな」

「ちぇっ、様子見かよ」

「ああ、用心に越したことはない。ふたりとも気を抜くなよ」

「ったりめえだ。ヴァルターこそ油断すんじゃねえぞ」

「……そうだな」

 ギリオンとヴァルターの関係について詳しくは聞いていないが、かなり気安い関係であることは間違いないだろう。とはいえ、冒険者稼業の大先輩で剣士としても名高いヴァルターにこんな口をきけるのはギリオンくらいじゃないのか。ほんと、どこに行っても変わらない奴だよ。

 って、今はそんなことより、次に備えるべきだな。

「オオ$〇ォォ!」

 ほら、さっそく次の攻撃がくる。





「はあ、はあ、はあ」

「もう息切れかよ。だらしねえぞ、ヴァーン」

「はあ、はあ……おまえも、汗だくだろうが」

「動きゃあ汗も出る。まったく問題ねえなぁ」

 強がりやがって。
 この怪物相手に戦って、平気なわけがねえのに。

 けど、まあ、気持ちは分かる。

「こっちも問題ねえぜ」

「けっ、よく言うぜ」

 皆疲労困憊しているものの、傷はほぼ負っていない。
 無数の攻撃を身に受けている敵に比べると、状態は良いくらいだ。

 ただし、全ては紙一重。
 一歩間違えば致命傷といった戦闘の連続だった。

 この身体で続戦となると、さらに際どい戦いになるのは確実。
 ある程度の負傷も考えざるを得ない。
 それでもここまで戦ったんだ、必ず倒し切ってやる。

 ギリオンと2人、決意を新たにしたところで。

「おまえら、少し下がってろ」

 逸る気持ちを見透かしたようにヴァルターが声をかけてきた。

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