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第11章 陰謀編
変形
「死体が振動して光んのかよ」
「ちっ、何がどうなってやがる!」
状況だけでもあり得ないのに、一時的とはいえ目が使えなくなったんだ。
混乱するのも当然だろう。
ただし、剣姫と俺は違う。
エビルズピークの異界で超常の経験をしているのだから。
「あの時と同じですね」
「ええ」
白光も焼けるような目の痛みも同じ。
あの兇神エビルズマリス戦と。
「ということは、おそらく」
そう、剣姫の予想通りになる可能性は高い。
だが、今回は。
「その前に仕留めます、逃がしません」
「……はい」
「光が消えたぞ」
「やっとかよ」
「ふむ、多少ぼやけるが見えなくはないな」
短時間であっても白光を受けた目には影響が残ってしまう。とはいえ、一時的な症状にすぎない。少し我慢すれば元に戻るはず。
が、その前にすべきことがある。
俺に視力回復を待つ時間はない。
「アリマさん」
「分かってます」
優先すべきは、こいつ。
目の前に転がるオルセーだったものの始末だ。
「何だ、こりゃ?」
「やろう、消えやがったのか?」
違う。
「消えたんじゃない。変形したんだ」
「変形? まさか……?」
「ああ、こいつだな」
手足が消え、頭が消え、球体に姿を変えたオルセー。
もはや生物としての形すら留めていない。
「この球が、あの怪物?」
「わけ分かんねえぞ」
「……そうだな」
分からないのは俺も剣姫も同じ。
それでもだ、この現象はエビルズマリスで経験済みなんだよ。
だから、受け入れるしかない。
そして、滅するのみ。
「急ぎましょう」
「ええ」
魔力強化を保ったままの剣を右手に持ち、球体の正面に。
「おい、斬んのか?」
「ああ」
「斬れんのかよ?」
直径30センチ程度の球体に姿を変えたオルセー。
小さいながらも異様な存在感を放つそれの破壊が簡単だとは思えない。
なら、放置する?
いいや、やるしかないだろ。
「……」
強化剣を、ゆっくりと上段に持ち上げ。
一閃。
ガンッ!
硬い!
弾かれた!
「……」
さっきまでとは、また違う。
別種の質を持っている。
巨体を小さな球に変化させたのだから、当然と言えば当然だが。
「傷は入ってるな」
「ああ、これなら斬れんぞ」
その通り。
まったく通用しないわけじゃない。
これまでと同様、手数で対応できるはず。
再び上段から一閃。
ガンッ!
さらに。
ガリッ!
続けて。
ガリッ!
ガッ!
ガリッ!
ガッ!
ガガッ!
少しずつ剣が入っていく。
球の中心に近づいていく。
ガッ!
ガガッ!
ガガガッ!!
中心まで届いた。
ここまで来れば。
ドガッシュ!!
切断も近いはずだ。
なのに。
「なっ!」
「ここで光んのか!」
白光とともに。
「消えた?」
「消えたぞ!」
消え去ってしまった。
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