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第11章 陰謀編
白亜宮 2
しおりを挟む剣姫と2人で歩くのは、白亜の名にふさわしい見事な通路。
こうして歩いているだけで、自然と背筋が伸びていく。
とはいえ、圧迫感を覚えるわけじゃない。
むしろ、居心地の良さを感じてしまう。
「サヴィアリーナ様、ごきげんよう」
「ご無沙汰しております、サヴィアリーナ様」
壮麗でありながらも華美に過ぎず、穏やかで落ち着きのある内観。
無駄のない洗練された気品と厳かさ。
「サヴィアリーナ様、先日は……」
「サヴィアリーナ様、あの件なのですが……」
目に映るすべてが、俺なんかには計り知れない価値があるのだろう。
「サヴィアリーナ様、明日の謁見に……」
「サヴィアリーナ様……」
宮城の外観同様に白を基調とする装飾が施された床や内壁。
温かな光が差す通路、陽気に満ちた空間。
それらが作り出す素晴らしい調和。
安らかな心地良さが、ここには間違いなく存在している。
ただ……。
「サヴィアリーナ様、近々……」
すれ違う人々から、ここまで声を掛けられると。
どうしても意識がそちらに向いてしまう。興がそがれてしまう。
なるべく気にしないようにはしているのだが、大半が貴族らしき人物のため無礼を働くわけにもいかず……。
「サヴィアリーナ様、次のお茶会には……」
「明日の会議で……」
プライベートの誘いも公務も関係なし。
老若男女も問わず。
多くの者が次から次に剣姫の前で立ち止まっては話しかけてくる。
ほんと、どれだけ続くのか?
見当もつかない。
「サヴィアリーナ様、そちらの方は?」
「異国の方でしょうか?」
しまいには、俺に興味を抱く者まで出てくる始末。
「私の友人であり、本日の客人でもある」
「おお、そうでしたか!」
もちろん剣姫に任せておけば問題はないのだが……。
「ふぅ」
重くなる気分に、つい溜息をついてしまう。
油断すると、忌避感が顔に出てしまいそうだ。
そう実感した途端、さっきまでの心地良さが場違い感にすり替わっていく。
「ええ」
「そうでしたね」
「ふふ……」
そんな俺の横で平然と悠然と宮内を泳ぎ渡る剣姫。
「……」
まったく。
今さらながら、彼女には驚かされるよ。
剣姫イリサヴィアとしては誰もがその勇名を知る超一流の冒険者、公爵令嬢サヴィアリーナとしては王太子を補佐し辣腕を振るう筆頭秘書官。実力も人気も如才なさも、非の打ち所がないのだから。
「すまない、アリマ」
「いえ、私は急いでいませんので」
「そうは言っても、今この時間はアリマのための時間なのだぞ」
一介の冒険者にこの気遣い。
ほんと、かなわないよな。
「こうして宮城を案内していただけるだけで十分ですよ。本当に光栄なことです」
「……申し訳ない」
だから、謝らないでくれ。
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