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第12章 激闘編
平原の果て
しおりを挟む<エリシティア視点>
ザン!
ザシュッ!
「ファイヤーボール!」
剣刃が煌めき、魔法の炎が空を焼く。
「グワアァァ!」
「オオォォ!」
平原の果てで遭遇した魔物の群れ。
ウルフ系の亜種のようだが、我らの実力からすれば脅威になるような種ではない。
とはいえ、これだけの群ともなると……。
「私も出るか?」
「いえ、エリシティア様が出るまでもありません。どうか待機をお願いします」
「……」
「時間はかかっておりますが危ういところなどございませんので、ほどなく決着もつくかと」
ザン!
ザシュッ!
ザシュッ!
「アイスアロー!」
「ギャン」
「ギャワン」
確かに。
危険な場面などは、まったく目に入ってこない。
「ファイヤーボール!」
「ストーンボール!」
「「「「ギャワン!」」」」
亜種ウルフの大群に対して我が騎士たちは焦ることなく冷静に対処し、実力通りの戦いぶりを見せている。剣、魔法の冴えにも問題なし。
「ふむ」
ならば、私の出る幕ではないか。
「エリシティア様、そろそろリリニュスの高位魔法が発動しそうです」
「……そのようだな」
レザンジュの若き宮廷魔術師リリニュス。
黒晶宮の命を無視して、今も私に付き従っている。
彼女の魔法の腕には疑いの余地などない。
師匠のエヴドキヤーナと比べれば劣りはするものの、コーキとの魔術師試しでも良い戦いを見せてくれた、レザンジュ宮廷内でも屈指の魔術師なのだからな。
ただし、高位魔法は発動までに時間がかかるのが厄介だ。
戦闘開始後これでようやく2度目というのは、さすがに問題があるだろ。
ん?
そろそろ詠唱が終わるか?
「……………清浄なる業火が全てを焼き尽くさん! ファイヤーストーム!!」
詠唱通りの業火、炎の嵐がリリニュスから放たれた。
轟音とともに大炎がウルフどもを飲み込んでいく。
「「「キャン、キャン」」」
何度見ても、その威力は凄まじい。
「「「ギャン、ギャン」」」
飲み込まれたウルフたちはなす術もなく地に伏すのみ。
「「「ギャワン……」」」
「「「……」」」
「「「……」」」
嵐が過ぎ去った後に残るのは、大地を埋め尽くす多数の亡骸。
「ふむ」
時間をかけててでも放つ価値がある、そういう類の魔法だな。
「エリシティア様、残るは少数にございます」
これで決着がついたも同然。
残ったウルフもすぐに騎士の刃に消えるだろう。
と、心が若干緩んだ、まさにその時。
「ウォーライル、あれは?」
何なのだ!?
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