30年待たされた異世界転移

明之 想

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第12章 激闘編

蒼鱗の魔物 3


<エリシティア視点>



 複数の魔法を身に受けても止まらない。
 平然とこちらに向かってくる蒼鱗の魔物。

「魔法が……」

「効かない?」

「ばかな……」

 魔法を防がれた後衛は顔色を失くしている。
 詠唱も止んでしまった。
 それでも。

「魔法が駄目でも剣がある」

「おう、まだまだこっからだ!」

 前衛は怯んでいない。

「よし、左右から進めぇ!」

 指示に素早く反応する左右の近衛騎士たち。
 鳥翼で包み込むように蒼鱗の魔物を囲んでいく。

「正面からも突撃!」

 魔物を囲い込んだ状態で一斉に放たれる剣撃。

 ガッ!
 ガン!
 ダッ!
 ガリ!

 騎士たちの剣身が蒼鱗を打ち、激しい打音が平原に響き渡る。

 ダン!
 ガン!
 ガン!

 ガッ!
 ガッ!
 ガリッ!

 様々な剣撃の音が奏でられ。
 完璧な攻勢が続いていく。

「ォォォ」

 それなのに、魔物は変わらない。
 歩みは止まらない。

 ガン!
 ガッ!
 ガキッ!

 そして。

 バキッ!
 バリン!
 バリーーン!

「「「剣が?」」」

「「「俺の剣が!」」」

 いくつもの剣がひび割れ。
 そのまま……。

 折れてしまった。

「そんな……」

「嘘だろ」

 味方の折れた剣を見て、手が止まる騎士たち。

「魔法も剣も通用しない?」

「なら、どうすれば……」

 前衛、後衛の多くが立ち尽くしている。

「っ! 鶴翼第二陣形だ!」

「「「「「……」」」」」

「折られた者は無事な者と入れ替われ!」

 呆然としながらも騎士たちが動き始めた。
 身体に沁み込んだ動きがそうさせるのか、あっという間に陣形が再構築されていく。

 対する蒼鱗の魔物は。

 バリッ。
 バキッ。

 地面に落ちた剣の半身を踏み砕きながら歩いている。

 バキッ。
 バキッ。

 再構築された前衛に突っ込んでくる。

 ガッ!
 ガン!
 ガリッ!

 魔物との攻防再開だ。

「「ファイヤーボール!」」

「「ストーンボール!」」

 前衛の剣撃に加え後衛からは魔法も発射。
 剣を振るう騎士を避けながら魔物に着弾していく。

 ガンッ!
 ガンッ!

「「ストーンアロー!」」

 ドガン!

 剣と魔法の多重攻撃。
 この急場での見事な連係だ。

 ガッ!
 ガン!
 ダッ!
 ガリ!

 本当に素晴らしい。
 それなのに。

「「「くっ!」」」

「「「くそっ!」」」

 駄目なのか?
 効かないのか?

 ガン!
 ガンッ!
 ドガン!

 バリ!
 バリッ!
 バリン!

 剣は魔物をとらえ続け。
 響いてくる剣音も凄まじい。
 それでも、蒼鱗の魔物は平然としたもの。
 止まってくれない。

「っ!」

 このままでは陣が保たない。
 崩壊してしまう。

「エリシティア様!」

 ウォーライルが私を庇うように体を寄せてきた。

「退いて……」

 口から言葉が出かけたその時。

「ォォォ」

 なっ!
 蒼鱗の魔物が後ろに跳んだ?

「ォォォオオ」

 さらに跳ねるように後退していく。 


感想 11

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