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第12章 激闘編
勘違い
<エリシティア視点>
「グルゥ……」
「エリシティア様、絶好機ですよ。攻めましょう!」
そう、だな。
ここが勝負所かもしれぬ。
「左眼にも魔法を!」
「うむ。ウォーライル、私とリリニュスが魔法を放つゆえ、皆で右手から仕掛けよ!」
「はっ!」
ようやく訪れた良い流れ。
今はこれに乗って最高の結果を引き寄せるだけ。
「ファイヤーボール!」
「ファイヤーボール!」
*************************
<???>
あの2人にやられた首の傷が痛む。
消失の恐怖がよみがえってくる。
痛みと恐怖!
「ォォ……」
足が止まってしまう。
攻撃する気も失せていく。
「ファイヤーボール!」
「ファイヤーボール!」
溢れる感情に囚われていたところに炎の塊が飛んできた。
そのまま右眼に当たって。
「……」
当たってしまったが、大したことはない。
ちょっと目が痺れているだけ。
あの痛みに比べれば、かすり傷とも言えないものだ。
「グルゥ……」
ただ。
煩わしくはある。
「ファイヤーボール!」
「ファイヤーボール!」
煩わしく鬱陶しいが、おかげであの恐怖が和らいできたぞ。
なら、どうする?
あの2人がやって来るかもしれない、この状況で。
「……」
焦る必要はない。
まだ猶予はある。
時間があるのなら、まずはこいつらを片付けるべきだな。
その後、ここから遠ざかれば問題などないはず。
「グルゥゥ」
よし、さっさと喰らってやろう。
喰らって、喰らって、憎き仇敵と遭遇する時のために力を蓄えてやる。
*************************
<エリシティア視点>
「えっ!?」
「どうして?」
初撃で視界を奪ったバケモノに再度のファイヤーボールを見舞ってやったのに。
さっきまで閉じていたはずの右眼が大きく見開かれ、燃えるような両眼で我らを睨みつけてくる。
「グルゥゥ!」
やはり効いていなかったのか?
失明までは期待していなかったが、ある程度の効果はあると思っていた。
それなのに、蒼鱗で護られていない眼なのに。
我らのファイヤーボールでは瞬間的に眼を閉ざすだけ……。
「エリシティア様!」
「っ!」
足を止めていたバケモノが動き出した!
「グルゥォ!」
連続で魔法を放った直後の私とリリニュス、すぐには次撃を発動できない。
が、まだだ。
騎士たちは動ける。
既にバケモノの右手から剣撃体勢に入っている。
「かかれぇ!」
「「「「「おお!!」」」」」
ガッ!
ガギッ!
ガリッ!
鬨の声と共に振るう剣をバケモノの体表に浴びせていく。
ガン!
ギン!
ガッ!
会心の剣撃の連続。
騎士必殺の剣が決まり続ける。
ガキン!
バリッ!
バリン!
それでも、結果はこれまでと同じ。
傷つくのは蒼鱗ではなく、騎士たちの剣ばかり。
「オオォォ!」
さらには、バケモノの腕が横薙ぎに一閃され。
「ぐっ」
「うぐっ」
「ううぅ」
その軌道上にいた騎士3人を地に沈めてしまった。
たったの一振りで、まるで赤子の手をひねるように易々と。
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