30年待たされた異世界転移

明之 想

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第12章 激闘編

連係

 キン!

 2人とも剣の腕は間違いない。
 ただし、膂力以外は一流どまり。
 超一流には及ばない。

 何と言っても、動きが単純に過ぎるからな。
 これなら、先を考えるまでもなく対応できてしまう。

 キン!

 カキン!

 ギン!

 カキン!

 さて、このまま疲労を待つというのも1つの手だが……。
 今も剣を振るい続ける赤髪同様、茶髪の体力も相当なものがありそうだ。

 となると。

 うん?
 剣姫が俺に頷いている。
 つまり……了解だ。

 キン!

 カキン!

 真っ向から打ち下ろされる茶髪の剣を数度いなし。

 ガッギン。

 横薙ぎに振るわれた剣を叩き落す。

「っ!」

 かなりの衝撃を手に感じているだろうに、それでも剣を放さないのはさすが。
 ただ、剣身は地面に向き垂れ下がっている。当然、上半身は隙だらけ。

 対して、こちらの剣は茶髪の胴の前。
 このまま横に振るえば避けようもない状況。
 となれば。

「ぐあぁ!!」

 その腹に炸裂するってもの。

「ぐぅぅ」

 苦悶の表情を浮かべながらも、膝を折ることなくこちらに向き合っている茶髪剣士。

「ぅぅぅ……」

 剣腹で払っただけとはいえ、かなりの痛みがあるはず。骨を数本やられていてもおかしくない。それなのに、闘志が衰えないとは……。

 やむを得ないな。
 茶髪には眠ってもらうか。

 剣を左手に持ち替え、空いた右手のひらで意識を刈り取るべく掌底を……っ!?

「ファイヤーアロー!」

「「ドロテアさん!」」

 少し離れた位置。
 剣姫と赤髪の後ろにいた金髪魔法使いから魔法が飛んで来る。

 シュン!

 左に避けた俺の横を高速で飛び去る炎の矢。
 並のファイヤーアローの倍以上の速度は出ているだろう。
 威力もだ、申し分ない。

「ファイヤーアロー」

「ファイヤーアロー」

 そんな炎を三連発。
 もちろん、回避は可能だが……。

 シュン、シュン。

 この水準の火魔法を連続で放てる魔法使いは、そう見られるものじゃない。
 つまり、赤髪、茶髪の剣、金髪の魔法、全てが高レベル。
 やはり、普通の冒険者パーティーではなさそうだ。

「ドロテアさん、傷は?」

 炎を回避している隙に、茶髪を助けにやって来たのは3人の冒険者。
 金髪魔法使い、青髪ともう1人……彼女だけは駆け出しに見える。

「平気だ。問題ねえ」

「ほんとですか? ちょっと見せてください」

「うっ、痛っ」

「えっ? 骨折れてますよ!」

「ちっとだけだろ。こんなもん、大したこたぁねえ」

「大したことです」

「……」

「ドロテアさん!」

「今は戦闘中なんだ。気にすんな」

「気にしますよ」

「いいから、ラルスは下がってろって」

「でも」

「ってことで、副長、セル。準備はできてるよな?」

「……ええ」

「なら、頼む」

「しょうがないわね」

「はい、仕方ないです」

 ファイヤーアローを放った金髪ともう1人、青髪がこちらに手のひらを向けた。

「……ファイヤーバレット!」

 金髪から放たれたのは、さっきとは異なる火魔法。
 複数の炎球を放つ魔法だ。

 その一つひとつは小粒にすぎない。ただし、数が並じゃないぞ。
 100を超えている!

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