30年待たされた異世界転移

明之 想

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第12章 激闘編

有効

 亀裂が消失し、その全身を露わにした兇神エビルズマリス。
 纏う空気は禍々しく強力無比。以前と同じく怖気が走るほどに凄まじい。
 が、そんなことは先刻承知。
 今さら尻込みするものじゃない。

「グルゥゥ」

 なので当然、こちらは既に駆けている。
 攻撃態勢に入っている。

「首の左だ!」

「了解!」

 剣が走る。
 魔力で完全強化された剣姫と俺の両剣がエビルズマリスの首に。

 ガギッ!

 ガギンッ!

 よし、初撃は完璧だ。



「団長、あれを見てください!」

「布? 服か?」

「はい、ドラゴンの脚に絡みついてます」

「……っ! あの意匠、紋章は!!」

「エリシティア様の護衛騎士隊!?」

「まさか、このドラゴンが?」




************************

<エリシティア視点>



「今だ、リリニュス!」

「はい! ファイヤーストーム!」

 私の号令を受け、リリニュスが高位魔法を発動。

 ゴゴォォォ!!

「グギャ!」

 紅蓮の炎にドラゴンが飲まれていく。
 凄まじい炎嵐だ。
 なのに……。

 これほど強力な魔法にさらされてもドラゴンが倒れることはない。
 炎嵐の中でも、炎が消え去っても立っている。

「……グルゥゥ」

 ただし、ドラゴンに多少のダメージを与えることは可能。
 動きを止めることもできる。
 その隙に一気に攻めかかることも。

「ウォーライル、ヴァルター、ギリオン、かかれ!」

「はっ!」
「了解!」
「おうよ!」

「サイラスは下がって重傷者に治癒魔法を!」

「はい!」

 全員が一斉に動き出す。
 これこそが異界の地での戦闘経験から得たもの。
 対ドラゴンの有効な手段、リリニュスの高位魔法からの連係だ。

 ガン!
 ガシッ!

「だぁ!」

 ドガン!

 動きを止めたドラゴンの胸を3人の剣が攻め立てる。
 迫力の剣撃が蒼鱗に炸裂する。

 が、連撃の成果は鱗表面の浅い傷にすぎない。
 内皮にはまったくの不達。
 上手くいっても、この程度だ。

 なので、当然。

「グルゥゥ」

 ドラゴンは再び動きだしてしまう。
 しかも、余裕の足取りで。

「ヤロウ、硬すぎんだろ」

「今さらですね」

「ウォーライル殿の言う通りだぞ」

「ちっ! 分かってらぁ」

 こうなると、他の手が必要になってくる。

「エリシティア様、我らも出ます」

「……」

 後ろに控える騎士たちに頼るべきか?
 ただ、彼らの剣や魔法では蒼鱗に浅い傷をつけることすらできない。
 牽制のみになってしまうが……。

「そろそろ鱗化だろ?」

「ギリオン殿?」

「おう、ちょうど出てきたぜ」

「助かりますよ」

 そうか!
 どうやら、今回も間に合ったようだな。


感想 11

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