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第12章 激闘編
可能性
<エリシティア視点>
「大丈夫か、姫さん!」
「……うむ」
「しっかり掴んでおけよ」
「……」
「心配すんな。約束通りオレが護ってやる」
「……」
ギリオンの胸に押し付けられた顔が熱い。
目が回る。
くらくらする。
これは、地が揺れているから?
それとも……。
「ギリオン!」
そんな私の揺れる頭に届いたのはヴァルターの声。
「下を見ろ!」
「なっ!? 地が割れてんぞ」
***********************
今ここに姿の見えないエリシティア様、ギリオン、ヴァルター。3人ともに命は無事。生きている。その事実に緊張が解けていく。
「ですが、どうして?」
弛緩で安堵の息が漏れそうになる、が。
「どうしてエリシティア様は戻られないのでしょう? 我らは戻って来れたのに?」
無理やりその息を飲みくだす。
「……」
まだ安心していい状況じゃないんだ。
現状は最悪の事態を免れただけ。
「いったい、どこにおられるのか?」
帰還できない理由も3人の在所も不明。
サイラスさんや他の騎士たちと、エリシティア様、ギリオン、ヴァルターの違いも見当がつかない。
「ひょっとして、今も異界に?」
「……」
「いまだ囚われているのでは?」
「異界が崩壊を免れたのなら……あり得ます」
とはいえ、エビルズマリスが消滅した現状で異界が存在している可能性は極めて低いはず。ただ、エビルズマリスの進化に伴い異界も進化していると考えれば……。
否定はしきれない。
だが、それが事実だとしても、なぜ3人だけが取り残されて?
いや、違うのか?
「サイラスさん、3人以外の全員がここに帰還していますか?」
再確認するようにゆっくりと周囲を見渡したあと、口から出たのは。
「……いえ」
否定の言葉と。
「約半数が戻ってません」
想像以上の数だった。
「ほぼ半数の行方が不明です」
「……」
「半数が帰還できているのに、どうして??」
途方に暮れたのか、サイラスさんが項垂れてしまった。
「分からない、本当に……」
まったく、俺も頭を抱えたくなる。
それでも今は、思考放棄せず考えるべきだ。
まず確かなのは、帰還には異界の崩壊が必要だということ。
その異界はエビルズマリスの消滅とともに崩壊したと思われる。崩壊を免れ現存していると考えられなくもないが、その場合騎士たちの帰還の説明がつかない。
もちろん、部分的に崩壊し騎士の半数が帰還したと都合よく解釈することもできるだろう。とはいえ、やはり、この仮定は強引に過ぎる。
ならば、可能性としては。
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