30年待たされた異世界転移

明之 想

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第12章 激闘編

到着

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<エリシティア視点>



「姫さん?」

 小ドラゴンに命中したファイヤーアローの射手が私だと知って驚きの顔を見せるギリオン。

「大丈夫なのか?」

「まったく問題ない」

 今のところはな。

「……ってことは、共闘かよ、姫さんと?」

「うむ、支援は任せろ」

「はっ、はは」

 何を笑ってる?

「悪くねえ、悪くねえなぁ、姫さん」

「……ああ」

 悪くない。
 こんな状況なのに、若干楽しいとさえ感じてしまうほどに。

「けどまあ、そう必要ないと思うぜ」

「……」

「瞬きせず、よーく見とけよ」

「グルゥ」

 私に背を向け、小ドラゴンに剣を突き出すギリオン。
 その後ろ姿は自身に満ちている。

「覚悟しろ、ドラゴン野郎!」

 剣気が溢れ出している。

「おりゃあぁぁ!」

 ギリオンが裂帛の気合とともに跳んだ。

 ズシャアッ!!

 剛剣が炸裂!!




*************************




「アリマ、イリサヴィア、着いたぞ」

 薔薇の団長シャリエルンの声に目を開くと……そこは薄暗い空間。
 無駄な物など何も置かれていない、不思議な空気に満ちた広い部屋だった。

「……」

 不思議な空気に妙な感覚。
 宝具による瞬間移動を初めて経験したためだろうか?
 平衡感覚も若干狂っているように感じる。
 とはいえ、四肢の動き自体に大きな支障はない。

「うぅ……」

 隣にいるサイラスさんも同様。
 ただ、剣姫は問題ないようだ。

「イリサヴィア、アリマ、サイラス、平気か?」

「うむ」

「……ええ」

「……はい、何とか」

「ならばよし。そのズレもすぐに治まるはず」

「「「……」」」

「さて、ここは我らの拠点になる」

 移宝エルンベルンの対象地点として登録された憂鬱な薔薇の拠点?

「目的地に到着を?」

「心配ない。移宝は無事発動しているぞ」

 シャリエルンの言葉が確かなら、ここはワディナート。
 ワディン領都に存在する薔薇の隠れ家になる。
 が……。

 正直、確信が持てない。
 レザンジュ国境から遠く離れたワディナートまで、こうも簡単に一瞬で移動できるなんて?

「……」

 もちろん、この状況で憂鬱な薔薇が俺たちを騙す意味などないだろうし、目の前のシャリエルンから害意も感じない。疑う根拠などないのだが……。

「外に出ればワディナートの街を確認できる」

 そうだな。
 外に出れば分かることだ。

 ということで、まずは外に出ようと扉に足を向けた俺の前を。

「うむ」

 剣姫が歩いていく。
 その歩みは普段通り、気負いも迷いも見えはしない。
 泰然自若を具現化したようなその姿に今さらながら感嘆してしまう。
 ほんと、見習いたいものだな。

「確認後、エビルズピークに向かうとしよう」

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