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第12章 激闘編
新手
しおりを挟む「また、あの歪みが!?」
前衛騎士たちの後方、我らとの間の中間地点だ。
しかも、最前より大きい。
ということは……。
「ヴァルター殿、ギリオン殿!」
こちらの声に振り向いたウォーライルが異状を目にし、驚きの表情を浮かべている。
「空間が歪んでいます!」
「ああ?」
「次がやって来るかもしれません」
「ほんとかよ?」
「おそらくは」
「ちっ!」
「ギリオン殿?」
「いいぜ、何頭でも相手してやらぁ。だよな、ヴァルター」
「……うむ」
「ってことで、こいつらはさっさと倒しちまうぞ」
***********************
整然と区画された街並みを左右に見ながら駆ける。ひたすら駆け続ける。
隣には白金の髪をなびかせながら疾走するシャリエルン。黒都で最高の冒険者パーティーと評される憂鬱な薔薇の団長であり、魔法剣士でもある一流の冒険者だ。
「思っていたより走りやすいな」
「レザンジュ兵が少ないですからね」
ワディナートを占領したレザンジュ王軍。
以前訪れた際は通りに溢れていたその軍兵が、剣姫の偵察報告通り今はほとんど見られない。
「ふむ、大半が黒都に戻ったのか」
「だと思います」
おかげで隠れることなく疾走できる。
先を急ぐ身としては本当にありがたい状況だ。
「しかし、君の強化脚は素晴らしいな」
「シャリエルンさんこそ、余裕じゃないですか」
憂鬱な薔薇の拠点を出てから八半刻(15分)。
共に魔力で強化した脚で駆けているのだが、表情に疲れなど全く現れていない。
正直、彼女がここまで走れるとは思っていなかった。
その戦闘能力といい魔力の運用といい、彼女だけは憂鬱な薔薇の中でも別格なのかもしれないな。
しかし、この速度なら6刻もかからずエビルズピークに着けるはず。
嬉しい誤算だよ。
「余裕でもないぞ。長距離を走るのに、これ以上の速度は厳しいからな」
「距離が短ければ、もっと加速できるってことですよね?」
「それは、君も同じだろ」
「まあ……」
確かに、短距離でいいなら倍以上の速度でも走行は可能だ。
とはいえ、そのペースで息が持つのは僅かなもの。6刻という時間を駆け続けるには、この程度が最適だろう。
「馬を選ばなかったのは正解だな」
「ええ」
通常、馬が1日で走破できる距離は並歩で約50キロ。駆歩で30キロ程度。今の俺たちが劣ることはない。
「ところで、そろそろ大門だが」
「問題は門兵ですね?」
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