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第12章 激闘編
出発
しおりを挟む<エリシティア視点>
「はぁ~、姫さんもリリニュスも皆も心配し過ぎだぜ」
「「「「「……」」」」」
「ところで、下は確認しねえのか? 調べんなら、さっさとやってくれや」
ギリオンの一声で、戸惑い固まっていた衛生兵たちが動き出す。
「分かりました」
「下半身も調べましょう」
ということで、下半身の鱗化を調べたところ。
症状はまったく見られなかった。
とりあえず安心、できるかどうかは怪しいものの、最悪の状況に至っていないことだけは確認できたと……。
「よーし!」
突然勢いよく立ち上がったギリオン。
「そろそろ下山すっぞ!」
腕の鱗は残ったままなのに、身体からは溢れんばかりの気を発している。
「もう動けるのか?」
「おう、歩くくらい問題ねえ」
「まだ痛みがあるはずだが?」
「こんなもん痛みの内に入んねえわ。それに、脚は万全なんだぜ」
「ギリオン、ここで無理は」
「心配ねえって。んなことより、忘れてねえか、姫さん?」
「……」
「何より大事なことがあんだろ」
「……うむ」
そう。
私には何を犠牲にしても成し遂げねばならぬことがある。
だが……。
「エリシティア様、まずは出発したらいかがでしょう?」
こちらに近づいて来るのはウォーライル。
護衛陣形をひとり離れ私のもとへ。
「道中ギリオン殿に痛みが出たら休憩するということで?」
「……ふむ」
リリニュスをはじめほぼ全ての騎士たちが頷いている。
*************************
「アリマ、どうする?」
城門を出たシャリエルンと俺に近づいて来る気配が1つ。
まず間違いなくこちらを追っているのだろう。
「……」
通常の道行きなら、そういうこともある。頭を悩ますことでもない。
ただ、今の俺たちはとんでもない速度で駆けているんだ。超常ともいえる強化脚での疾走に追いつける者が普通なわけがない。しかも、城壁を越えてワディナートを出た後となると……。
「迎え撃つか?」
追ってくる者が敵と判明したなら、迎撃も選択肢の1つになる。
が、その前に。
「速度を上げてもついて来るか試してみませんか?」
今の俺たちの走行はあくまで長時間長距離移動を想定したもの。効率を無視すればさらなる加速も可能。
「引き離すことができれば、それはそれで良いでしょうし」
相手の対応次第で、力量を測ることもできる。
「悪くないな」
シャリエルンも賛同してくれたようだ。
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