30年待たされた異世界転移

明之 想

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第12章 激闘編

推測

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<エリシティア視点>


「ヴァルター、頼む」

 異界であるという可能性を無視して教えてほしい。

「今はどのような情報でも必要なのだ」

「エリシティア様……まったくの見当違いになるやもしれませんが?」

「問題ない」

 自信がないと言っても、ヴァルターほどの者が荒唐無稽な推測をするとは思えぬ。
 今はそれで十分だ。

「……分かりました」

 話してくれるのだな!

「ただし、話半分に、いや四半分程度にお聞きください」

「うむ」

 で、どこなのだ?

「この地は……ミッドレミルト山脈の南方。ミルト、エビルズピーク、テポレンの山中に近いように私の目には映ります」

 ミッドレミルト?
 あの国境の平原からかけ離れたミッドレミルトなのか?

「異界じゃねえってこったな」

「それは不明だと言ったはずだ」

「つっても、異界の可能性は低いだろうが」

「ギリオン、おまえも冒険者なら不確実なものにすがらない方がいい」

「んなこと言ってる場合かよ」

 そう、ギリオンの言う通り。

「不確実でも良いからヴァルターの考えを聞かせてくれ。この地は異界ではなく顕界げんかい、ミッドレミルトの山中である可能性が高いのだな?」

「……異界に同じような山がなければ、ですが」

「うむ!」

「あくまでも確度の低い推測です。そこはご理解ください」

「分かっておる」

 それでもだ。
 ここには岩と砂だらけの荒廃した地とは異なる豊かな自然がある。そこにヴァルターの推測が加わるのだから。

「一安心だな、姫さん」

「ああ」

 ここは顕界、我々の暮らす世界。
 であれば、どうとでもなる。
 山を下りることも、黒都に向かうことも。

「そんで、こっから麓まではどんくらいかかりそうだ?」

「……」

「こちらも低確度で構わぬ、ヴァルター」

「……迷わなければ5刻から8刻といったところでしょう。ですが、道を失った場合はこの限りではありません」

「5から8刻か」

 悪くはないな。
 とはいえ、暗中下山では迷うことも念頭に置かねば。

「エリシティア様、よろしいでしょうか?」

 ウォーライル?

「ヴァルター殿の推測から考えても、やはりここで野営すべきかと」

 そうだ。
 その話であった。

「今の状況で歩き続けるのは危険です。未知の山には何が潜んでいるか分かりませんので」

「……」

 麓までかなりの距離がある中で無理をする必要はない、か。

「分かっ……」

 ウォーライルに返そうとした言葉が止まる。

「グルウアァァ!」

 魔物の咆哮がすぐそこに聞こえたからだ。

「「「なっ!」」」

「「「近いぞ!」」」

「「「どこだ?」」」

「リリニュス?」

 気配は?

「申し訳ありません」

 この近距離でも感知が働かない?

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