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第12章 激闘編
推測
しおりを挟む<エリシティア視点>
「ヴァルター、頼む」
異界であるという可能性を無視して教えてほしい。
「今はどのような情報でも必要なのだ」
「エリシティア様……まったくの見当違いになるやもしれませんが?」
「問題ない」
自信がないと言っても、ヴァルターほどの者が荒唐無稽な推測をするとは思えぬ。
今はそれで十分だ。
「……分かりました」
話してくれるのだな!
「ただし、話半分に、いや四半分程度にお聞きください」
「うむ」
で、どこなのだ?
「この地は……ミッドレミルト山脈の南方。ミルト、エビルズピーク、テポレンの山中に近いように私の目には映ります」
ミッドレミルト?
あの国境の平原からかけ離れたミッドレミルトなのか?
「異界じゃねえってこったな」
「それは不明だと言ったはずだ」
「つっても、異界の可能性は低いだろうが」
「ギリオン、おまえも冒険者なら不確実なものにすがらない方がいい」
「んなこと言ってる場合かよ」
そう、ギリオンの言う通り。
「不確実でも良いからヴァルターの考えを聞かせてくれ。この地は異界ではなく顕界、ミッドレミルトの山中である可能性が高いのだな?」
「……異界に同じような山がなければ、ですが」
「うむ!」
「あくまでも確度の低い推測です。そこはご理解ください」
「分かっておる」
それでもだ。
ここには岩と砂だらけの荒廃した地とは異なる豊かな自然がある。そこにヴァルターの推測が加わるのだから。
「一安心だな、姫さん」
「ああ」
ここは顕界、我々の暮らす世界。
であれば、どうとでもなる。
山を下りることも、黒都に向かうことも。
「そんで、こっから麓まではどんくらいかかりそうだ?」
「……」
「こちらも低確度で構わぬ、ヴァルター」
「……迷わなければ5刻から8刻といったところでしょう。ですが、道を失った場合はこの限りではありません」
「5から8刻か」
悪くはないな。
とはいえ、暗中下山では迷うことも念頭に置かねば。
「エリシティア様、よろしいでしょうか?」
ウォーライル?
「ヴァルター殿の推測から考えても、やはりここで野営すべきかと」
そうだ。
その話であった。
「今の状況で歩き続けるのは危険です。未知の山には何が潜んでいるか分かりませんので」
「……」
麓までかなりの距離がある中で無理をする必要はない、か。
「分かっ……」
ウォーライルに返そうとした言葉が止まる。
「グルウアァァ!」
魔物の咆哮がすぐそこに聞こえたからだ。
「「「なっ!」」」
「「「近いぞ!」」」
「「「どこだ?」」」
「リリニュス?」
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この近距離でも感知が働かない?
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