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第12章 激闘編
別物
しおりを挟む「消えた? 消えてしまった?」
「……」
「なぜ? 一体どうなってる?」
シャリエルンの驚きも当然だ。
俺の剣身が少女に触れた瞬間、僅かな感触を手に覚えたその時に消えてしまったのだから。
「転移なのか?」
ただ、状況から理解できることもある。
「宝具も使っていないのに? まさか、平原のドラゴンと同じだと?」
「違いますよ」
エビルズマリスのそれともシャリエルンたちが使った宝具とも違う。かといって、壬生伊織と同レベルの気配消去とも思えない。
「分かるのか、アリマ?」
「推測ですが」
「……説明を頼む」
「あの瞬間、少女は魔法を用いたはずです」
今も周囲に漂う魔力の残滓。
宝具使用時やエビルズマリス消失時にはなかった、個性的なそれを感じる。
となれば、魔法使用はほぼ確実。
そしてもちろん、その術式は。
「転移魔法を?」
「そうでしょうね」
「あの若さで転移まで身につけている? 考えられないことだぞ」
この世界での転移手段として知られているのは2つ、宝具と高位魔法だけらしい。
前者は先刻使ったばかりのエルンベルンの移宝、後者は超絶難度といわれる転移魔法になる。もちろん、ともに稀有な存在で、目にすることはまずあり得ないと言われているそうだ。
とはいえ。
「これまでの魔法の腕から考えれば不思議なことではありません。それに、ほら」
振り向いた先、後方20メートルほどの街道上に目を向けると。
「あそこにいますから」
「!?」
「ほう、気づいていたか?」
再び固まるシャリエルンを無視して、俺の方に足を向ける少女。
顔には相変わらずの微笑を張り付けたままだ。
「当然、この上なく匂うのでね」
「むっ、失礼なことを言うでない」
「真実を口にしたまでです」
「……」
匂うといっても体臭ではなく魔力の匂いなのだが。
「しかし、ふむ、まだ余裕があるか」
「そちらこそでしょ」
「無論だ」
「では、転移で逃げるのは止めてもらえます?」
「逃げる? ふっ、はは、ふはは」
なんだ、その笑い方は。
可憐な少女姿とはかけ離れているぞ。
「はは……悪かった。さっきは単調さに飽きたものでな」
「……」
剣を避けるためじゃない?
「よし、よし、ここからはお主の希望通り精進するとしよう」
***********************
<ギリオン視点>
「ちっと早すぎたか」
まだ薄暗い野営地を見渡しても、起きてんのは不寝番だけ。
オレとやつら以外はすっぽり夢ん中。
「まっ、しゃあねえわなぁ」
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