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第12章 激闘編
圧倒
しおりを挟む<エリシティア視点>
「すごい、凄すぎる」
「とんでもないな、あの2人」
「ああ、真似できるものじゃない」
「期待以上だわ、ほんと」
騎士たちの口から出るのは驚きの声ばかり。
周りが感嘆に溢れている。
私は。
「……」
言葉すら出てこない。
本当に見事すぎるぞ。
「よーし、もうそこだぜ!」
呆然とする後方を振り返ることなく、もちろん、足を止めることもないヴァルターとギリオン。
「次だ、次の矢を!」
「駄目です!」
「間に合わない!」
敵陣はもう目前。
「ヴァルター、ぶっ放してやれ!」
「おまえもな」
ダン!
駆ける勢いそのままに、ヴァルターが敵陣に突っ込んだ!
ヴァルターに遅れること僅か。
「おりゃあ!」
ドッガァァン!!
ギリオンも敵陣に斬り込んでいく。
「「「「「うわぁぁ!!」」」」」
対する敵、射手たちは悲鳴を上げ逃げ惑うばかり。
「「「「「なっ!?」」」」」
騎士風も上手く対応できていない。
となれば。
ガン!
ガシュッ!
ヴァルターとギリオンの剣が宙を舞う。
ドガン!
ザンッ!
前衛の防御をなぎ倒していく。
2人が敵を圧倒している。
「皆、突撃だ!」
ここでウォーライルからの号令。
「「「「「「「「「「おお!!」」」」」」」」」」
「「「「「「「「「「おう!!」」」」」」」」」」
2人の奮闘を目にし我に返った騎士たちが剣を手に壁外へ走り出す。
直前まで呆然状態だったとはいえ、準備万端の騎士たちの動きは軽い。これならすぐに参戦できるだろう。
その坂下では。
「っ! 慌てるな!」
「敵はたった2人。囲むんだ!」
「「「「「「はっ!」」」」」」
徐々に態勢を立て直した敵騎士風たちが包囲網を敷き始めている。
「かかれぇ!」
「「「「「「おう!」」」」」」
一斉に斬りかかってきた。
キン、ガキン、ギン!
キン、キン、ガン!
「「「ぐっ!」」」
「「「重い!」」」
それでも、ギリオンとヴァルターは押されない。
この状況でも剣が敵をねじ伏せている。
ガン、ガン、ガン!
ガン、ガキン、ガン!
多勢の敵陣をかき回す2人。
間もなく到着する加勢騎士。
さらには魔法隊。
「はは……」
まさに、ギリオンの想定異通り。
恐ろしいくらい事が完璧に進んでいるではないか。
と、敵後陣で動きが?
1人の剣士風が前線に走り込んでくる。
「……師匠!?」
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