30年待たされた異世界転移

明之 想

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第12章 激闘編

爆発?


 ゴオオォォ!

 魔力の防御転用はもちろん完全じゃない。穴だらけだ。
 それでも、このおかげで何とか意識は保てている。
 考えることもできる。
 ただ、そう長くはもたないだろう。

 ゴゴゴオオォォォ!!

 案の定、防御の隙から熱風が迫ってきた。

「ぐっ!」

 顔を焼く、耳を焼く、喉を通ってくる!
 熱い、熱すぎる!

 駄目だ。
 このままじゃ終わりを待つだけになってしまう。
 なら!

「がっ!」

 壁外に転がるように飛び出し、地面の上を這いまわる。
 勢いに任せて転がってやる。

「くっ、うぅぅ!」

 数度転がっても、白炎に変わりなし。
 弱まる兆しもない。

「アリマぁ!!」

 次の手だ。
 次は水魔法……いや、ここで水を使うと爆発する?
 と展開を止めた、その時。

「ウォーターウェーブ!」

 聞こえてきたのはシャリエルンの声。
 彼女は痺れで普通には動けないはず。
 なのに大規模魔法を?

 ザッバァァァン!

 間違いない。
 大波ががこちらに向かってくる。
 白炎と大量の水がぶつかってしまう。
 まずい!

「くっ!」

 大波が白炎ごと俺を包み込んで爆発を……起こさない??

「……」

 何ともない?
 何も起こってないぞ?

「アリマ?」

 魔法の白炎は水蒸気爆発しないのか?
 なら、俺も水を使って消火……って、消えてる?

「無事か!?」

 身体中を覆っていた白炎が完全に消え失せ、周りには大波のあとが残るばかり。

「無事なのか?」

「……ええ」

「体は? 火傷は?」

「……平気、みたいです」

「平気……痛みはない?」

「痛みも傷もほぼありません」

「なっ、ほぼ無傷だと?」

「……」

 あれだけの猛火が水蒸気爆発を起こさず、綺麗さっぱり消え失せてしまった。
 それだけでも考えられないことなのに、この傷のない状態はいったい?
 外套と魔力による防御がいかに優れていようと、さすがにあり得ることじゃないだろ。

「ほう、これも乗り切ったか?」

「っ!」

 そうだ。
 今はまだ戦闘中だ。
 戸惑ってる場合じゃない。
 ひとまず疑問は抑えて敵に集中を!

 シュッ!

 剣を構え、態勢を立て直す。
 素早く対応できるよう魔力も簡易に整えていく。

「加勢するぞ!」

 そんな俺の傍らにシャリエルンが近づいてくる。

「痺れは? もう戦えるのですか?」

「万全ではないがな」

 言葉通り、動きはまだぎこちない。
 それでも剣を振るえる状態まで回復したのだろう。

「無理しないでくださいよ」

「そちらこそな」

「……ええ」

 と答えたものの、無理せず戦える相手じゃないのは明らか。
 僅かな勝ち筋は捨て身の先にしかない。
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