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本編3/ 「成長」の話
一週間、毎日しよう【16】
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予定の無い日曜日。
俺は明日まで休みだが、ユキくんは明日、午前休。
この家にいられるのは明日の午前中まで。
残り僅かになった貴重な時間を噛みしめながら、午前中は一週間お世話になった家の掃除や洗濯で時間が過ぎていった。
「折角だから、ベランダで食べる?」
ユキくんの提案で昼食は広いベランダにキャンプ用のイスやテーブルを置いてとることになった。
キャンプ用のガスストーブとホットサンドメーカーで手際よく作ってくれたチーズたっぷりのホットサンドは、きっと誰が食べても「美味い」という間違いない味で、しかも「パン好きのセイジさんに作ってあげる自信があるパン料理、ずっと考えていたんだよね」なんて言われたら……。
「最高に美味しい。また食べたいな」
調子にのって言ってしまった。
「簡単だからいつでも作れるよ」
ユキくんは満足そうに返事をしてくれたけど、今日で「一週間」が終わるのに「また」なんて機会はあるのか?
期待しそうになりながら、肌寒いベランダでホットコーヒーが冷めきるまでのんびりと、それなりに都会の特に面白くはない景色を眺めていた。
もう昼すぎ。
この幸せな生活は、残り二十四時間を切った。
白いTシャツと紺色のカーディガン姿のユキくんの首筋には、かなり薄くなってはいるもののキスマークがまだ残っていた。
◆
午後は一週間さぼっているジムの代わりに、筋トレとストレッチ。軽い汗をかく程度で、運動としては物足りないが、夜のことを考えればこんなものだろう。
そしてその後はほとんどソファで過ごした。
配信サービスで適当な洋画を流しながら、隣に座るユキくんと手を繋いだり、肩に手を回したり、太ももにユキくんの手が置かれたり……ユキくんの顔が俺の肩に乗ったり。
一年前の恋人ごっこよりも明らかに距離が近い。
セックス以外でこんなにユキくんを近く感じられるのは最後かもしれないと思うと名残惜しかった。
「ユキくん、夕食何が食べたい? 作るよ?」
まだ外が明るい時間に声をかけると、俺に凭れていたユキくんは少し俺に擦り寄ってからぎゅっと両手で抱き着いてくれた。
甘えている……ように見える。
「セイジさんの手料理美味しくて大好きだけど、今日はもう、デリバリーにしちゃおう」
「ユキくん……?」
何で? っと聞きたかったが……俺が期待する答えではない可能性もある。
期待をしながらも、聞けなかった。
「わかった……何食べたい? メニューは……」
デリバリーサービスのアプリを開いて二人で体をくっつけたままメニューを覗き込んだ。
その後も、届いた食事を受け取る時以外は、ずっとくっついていた。
◆
まだ夜の八時。
でも、俺もユキくんもなんだか落ち着かなくて、夕食も風呂もいつもより早く済んでしまって……もうベッドにやってきていた。
「ユキくん」
「……セイジさん」
ベッドに並んで腰かけて、「あぁ、これでユキくんとの一週間が終わる」と思うと何とも言えない寂しさや緊張に襲われるが、ユキくんの柔らかい笑顔を見ると、そんな不安も一気に吹き飛んだ。
一週間、ユキくんのことを精一杯想ってヤったんだ。
後悔はない。
あと一日。結果はどうでも目の前のユキくんを楽しませるだけだ。
「キスしていい?」
「うん」
わざわざ確認してゆっくりと唇を重ね、セックスを始めた。
服を脱がせ合って、ユキくんの肌に触れる。
太ももの内側、二の腕、胸元、首筋……かなり薄くなったキスマークの上をなぞると、ユキくんは一か所一か所しっかり嬉しそうな甘い声をあげてくれた。
「ねぇユキくん。一年前のセックス覚えてる?」
軽く愛撫をした後、もう一度唇を重ねて、ユキくんの体をベッドに押し倒す。
「もちろん。ポリネシアンセックスだよね?」
「あぁ。最終日、すごく気持ちよかったよね?」
「うん。一週間焦らして高め合って、愛情表現も一杯してもらって、気持ちよかった♡」
ユキくんは俺が大好きな色っぽい笑顔で頷いてくれる。
この笑顔でずっといてもらいたい。
だから……
「今日は、あのセックスしよう」
「え? でも、昨日まで普通にセックスしていたから……」
「そうだね。毎日セックスしてた。だから……」
ユキくんの下腹を指先でトントンとノックをするように触れる。
「今日みたいにポリネシアンセックスで焦らしていない普通の時でも、高め合っていなくても……生で中出しの恋人セックスが気持ちいいか、試してみよう?」
「……え?」
ユキくんは戸惑った表情になるが、今日は引かない。
「もしかしたら今日の方が……体が焦らされていない時の方が、生の感触も、中出しの感触も、よく解るかもしれないし、ね?」
「……そう、かな?」
ユキくんがまだ戸惑った表情で……でも俺からは視線を外さない。
「今からセックスが終わるまで、恋人同士だから」
ユキくんとしっかりと視線を合わせて念を押すように真剣な顔で言った後、目の前の子が好きで好きで仕方が無いという素直な気持ちを包み隠さずに顔に出した。
多分、締まりのない笑顔だと思う。
「愛してるよ、ユキくん」
「……セイジさん」
「うん。名前たくさん呼んで。好きな子に名前呼ばれるだけで……嬉しい」
ユキくんの体をただ抱きしめる。
まだ性的な抱擁ではなくて、ただただ、体をぴったりと重ねて距離を縮めるように。
「……セイジさん」
「うん。嬉しいよ、ユキくん」
「セイジさん……セイジさん!」
「うん……うん。ユキくん……」
「セイジさん……俺……」
戸惑っているユキくんが、だんだん笑顔になる。
これは……いいかな?
確認するように軽くキスをすると、唇を離した後ユキくんはもう満面の……いつものエロくてかわいい笑顔だった。
「セイジさん、俺……早く好きな人の精子、中に欲しい♡」
あぁ、ほら。
俺の大好きなユキくんだ。
俺は明日まで休みだが、ユキくんは明日、午前休。
この家にいられるのは明日の午前中まで。
残り僅かになった貴重な時間を噛みしめながら、午前中は一週間お世話になった家の掃除や洗濯で時間が過ぎていった。
「折角だから、ベランダで食べる?」
ユキくんの提案で昼食は広いベランダにキャンプ用のイスやテーブルを置いてとることになった。
キャンプ用のガスストーブとホットサンドメーカーで手際よく作ってくれたチーズたっぷりのホットサンドは、きっと誰が食べても「美味い」という間違いない味で、しかも「パン好きのセイジさんに作ってあげる自信があるパン料理、ずっと考えていたんだよね」なんて言われたら……。
「最高に美味しい。また食べたいな」
調子にのって言ってしまった。
「簡単だからいつでも作れるよ」
ユキくんは満足そうに返事をしてくれたけど、今日で「一週間」が終わるのに「また」なんて機会はあるのか?
期待しそうになりながら、肌寒いベランダでホットコーヒーが冷めきるまでのんびりと、それなりに都会の特に面白くはない景色を眺めていた。
もう昼すぎ。
この幸せな生活は、残り二十四時間を切った。
白いTシャツと紺色のカーディガン姿のユキくんの首筋には、かなり薄くなってはいるもののキスマークがまだ残っていた。
◆
午後は一週間さぼっているジムの代わりに、筋トレとストレッチ。軽い汗をかく程度で、運動としては物足りないが、夜のことを考えればこんなものだろう。
そしてその後はほとんどソファで過ごした。
配信サービスで適当な洋画を流しながら、隣に座るユキくんと手を繋いだり、肩に手を回したり、太ももにユキくんの手が置かれたり……ユキくんの顔が俺の肩に乗ったり。
一年前の恋人ごっこよりも明らかに距離が近い。
セックス以外でこんなにユキくんを近く感じられるのは最後かもしれないと思うと名残惜しかった。
「ユキくん、夕食何が食べたい? 作るよ?」
まだ外が明るい時間に声をかけると、俺に凭れていたユキくんは少し俺に擦り寄ってからぎゅっと両手で抱き着いてくれた。
甘えている……ように見える。
「セイジさんの手料理美味しくて大好きだけど、今日はもう、デリバリーにしちゃおう」
「ユキくん……?」
何で? っと聞きたかったが……俺が期待する答えではない可能性もある。
期待をしながらも、聞けなかった。
「わかった……何食べたい? メニューは……」
デリバリーサービスのアプリを開いて二人で体をくっつけたままメニューを覗き込んだ。
その後も、届いた食事を受け取る時以外は、ずっとくっついていた。
◆
まだ夜の八時。
でも、俺もユキくんもなんだか落ち着かなくて、夕食も風呂もいつもより早く済んでしまって……もうベッドにやってきていた。
「ユキくん」
「……セイジさん」
ベッドに並んで腰かけて、「あぁ、これでユキくんとの一週間が終わる」と思うと何とも言えない寂しさや緊張に襲われるが、ユキくんの柔らかい笑顔を見ると、そんな不安も一気に吹き飛んだ。
一週間、ユキくんのことを精一杯想ってヤったんだ。
後悔はない。
あと一日。結果はどうでも目の前のユキくんを楽しませるだけだ。
「キスしていい?」
「うん」
わざわざ確認してゆっくりと唇を重ね、セックスを始めた。
服を脱がせ合って、ユキくんの肌に触れる。
太ももの内側、二の腕、胸元、首筋……かなり薄くなったキスマークの上をなぞると、ユキくんは一か所一か所しっかり嬉しそうな甘い声をあげてくれた。
「ねぇユキくん。一年前のセックス覚えてる?」
軽く愛撫をした後、もう一度唇を重ねて、ユキくんの体をベッドに押し倒す。
「もちろん。ポリネシアンセックスだよね?」
「あぁ。最終日、すごく気持ちよかったよね?」
「うん。一週間焦らして高め合って、愛情表現も一杯してもらって、気持ちよかった♡」
ユキくんは俺が大好きな色っぽい笑顔で頷いてくれる。
この笑顔でずっといてもらいたい。
だから……
「今日は、あのセックスしよう」
「え? でも、昨日まで普通にセックスしていたから……」
「そうだね。毎日セックスしてた。だから……」
ユキくんの下腹を指先でトントンとノックをするように触れる。
「今日みたいにポリネシアンセックスで焦らしていない普通の時でも、高め合っていなくても……生で中出しの恋人セックスが気持ちいいか、試してみよう?」
「……え?」
ユキくんは戸惑った表情になるが、今日は引かない。
「もしかしたら今日の方が……体が焦らされていない時の方が、生の感触も、中出しの感触も、よく解るかもしれないし、ね?」
「……そう、かな?」
ユキくんがまだ戸惑った表情で……でも俺からは視線を外さない。
「今からセックスが終わるまで、恋人同士だから」
ユキくんとしっかりと視線を合わせて念を押すように真剣な顔で言った後、目の前の子が好きで好きで仕方が無いという素直な気持ちを包み隠さずに顔に出した。
多分、締まりのない笑顔だと思う。
「愛してるよ、ユキくん」
「……セイジさん」
「うん。名前たくさん呼んで。好きな子に名前呼ばれるだけで……嬉しい」
ユキくんの体をただ抱きしめる。
まだ性的な抱擁ではなくて、ただただ、体をぴったりと重ねて距離を縮めるように。
「……セイジさん」
「うん。嬉しいよ、ユキくん」
「セイジさん……セイジさん!」
「うん……うん。ユキくん……」
「セイジさん……俺……」
戸惑っているユキくんが、だんだん笑顔になる。
これは……いいかな?
確認するように軽くキスをすると、唇を離した後ユキくんはもう満面の……いつものエロくてかわいい笑顔だった。
「セイジさん、俺……早く好きな人の精子、中に欲しい♡」
あぁ、ほら。
俺の大好きなユキくんだ。
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