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第6章 二人の話
第130話 ギルドマスター(1)
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植樹とか記念コンサートとか、様々な事前行事に参加しているうちにもう滞在五日。式典の前日になった。
今夜は森の王様主催の公的な晩餐会で、迎賓館の大きな広間での立食パーティー。
こういう時、他国の人脈を作るような立ち回りをすべきなんだろうけど……ほとんどがエルフの国の国民らしく、周りはみんな俺をお客さんとして等しくもてなしてくれる。
居心地は良いけど……ん?
あれ?
「あそこにいるの……?」
ここでどう過ごすか悩んでいると、少し離れたテーブルでも、やたらともてなされている二人組がいた。
その二人組も俺の方に気付いたようで……
「ライト様!」
「あ! ギルドマスターさん! ミチュチュちゃん!」
俺に向かって手を振ってくれたのは、深緑色の髪に同じ色の上等な燕尾服を着た年配魔族。国際商工ギルドのギルドマスターとペットでイチゴのケーキが大好きなミチュチュちゃんだ。
「お久しぶりです。まさか私たち以外に国外の来賓がいるとは……ライト様とイルズ様がお友達という噂は本当だったのですね」
ギルドマスターさんたちがいるテーブルに近づくと、二人は笑顔でグラスを掲げてくれた。
「そう。俺の貴重な人間友達……あれ? ミチュチュちゃん一年くらい会わない間に背が伸びたね?」
「はい。七~八センチ伸びました。……節々が痛いです」
「成長期だもんね。顔立ちも雰囲気もすっかり大人のお兄さんだね」
ミチュチュちゃんは確か一六~七歳くらい。
この頃って少し見ないだけで外見変わるよね。
パッチリ大きな目で可愛らしかった顔も、少し精悍になった気がするし、髪も少し短い。
成長したなぁ……。
俺が親戚のおじさんみたいにミチュチュちゃんの成長を眩しく思っていると、ギルドマスターさんがミチュチュちゃんの肩に手を置いた。
成長したとは言っても、ミチュチュちゃんはまだ俺より少し小さくて、魔族よりははるかに小さい。
「ライト様。ミチュチュはもう大人になったので、ペットではなく秘書なんです」
「え? ……もうってことは……?」
今までも秘書だったわけではなく?
「えぇ。一六歳になるまではペットとして側に置いて特性を見極め、その後は特性に合わせた仕事を割り振っているんです」
「へぇ……」
これは……また違った形の人間との付き合い方だ。
「マスターは親のいない人間の子供を常に一〇人ほどお屋敷に置いてくれているんです。僕も、一四歳の時に急に親を亡くして……困っていた時に助けて頂いて、学校にも行かせてくださって、仕事も与えてくださって、感謝しています」
ミチュチュちゃんは少し精悍になった顔だけど、あどけない満面の笑みにしながら語る。
ギルドマスターさんを慕っているのが解るし、俺も親元では無い所で育っているからなぁ……急に親がいなくなる不安、居場所や他の子どもと同じ勉強や愛情をもらえる感謝の気持ちはよく解る。
「可愛いペットを見せびらかしつつ、優秀な従業員の教育ができる。理にかなったことをしているだけですが……エルフの王様には好印象だったようで仲良くさせて頂いています。エルフの工芸品は高く売れますしね」
ギルドマスターさんはそんなことを言いながらもミチュチュちゃんを見る目が優しいし、以前のパーティーでのやりとりを思い出しても、ミチュチュちゃんを息子のように愛しているのがよく解る。
「俺の中でギルドマスターさんの印象が良くなっちゃったなぁ」
元々良かったけどね。
俺が片目を瞑ると、その顔を見たギルドマスターさんが何か思い出したように声を上げた。
「あぁ! そういえば、ライト様にお伝えしたいことがあったんです」
今夜は森の王様主催の公的な晩餐会で、迎賓館の大きな広間での立食パーティー。
こういう時、他国の人脈を作るような立ち回りをすべきなんだろうけど……ほとんどがエルフの国の国民らしく、周りはみんな俺をお客さんとして等しくもてなしてくれる。
居心地は良いけど……ん?
あれ?
「あそこにいるの……?」
ここでどう過ごすか悩んでいると、少し離れたテーブルでも、やたらともてなされている二人組がいた。
その二人組も俺の方に気付いたようで……
「ライト様!」
「あ! ギルドマスターさん! ミチュチュちゃん!」
俺に向かって手を振ってくれたのは、深緑色の髪に同じ色の上等な燕尾服を着た年配魔族。国際商工ギルドのギルドマスターとペットでイチゴのケーキが大好きなミチュチュちゃんだ。
「お久しぶりです。まさか私たち以外に国外の来賓がいるとは……ライト様とイルズ様がお友達という噂は本当だったのですね」
ギルドマスターさんたちがいるテーブルに近づくと、二人は笑顔でグラスを掲げてくれた。
「そう。俺の貴重な人間友達……あれ? ミチュチュちゃん一年くらい会わない間に背が伸びたね?」
「はい。七~八センチ伸びました。……節々が痛いです」
「成長期だもんね。顔立ちも雰囲気もすっかり大人のお兄さんだね」
ミチュチュちゃんは確か一六~七歳くらい。
この頃って少し見ないだけで外見変わるよね。
パッチリ大きな目で可愛らしかった顔も、少し精悍になった気がするし、髪も少し短い。
成長したなぁ……。
俺が親戚のおじさんみたいにミチュチュちゃんの成長を眩しく思っていると、ギルドマスターさんがミチュチュちゃんの肩に手を置いた。
成長したとは言っても、ミチュチュちゃんはまだ俺より少し小さくて、魔族よりははるかに小さい。
「ライト様。ミチュチュはもう大人になったので、ペットではなく秘書なんです」
「え? ……もうってことは……?」
今までも秘書だったわけではなく?
「えぇ。一六歳になるまではペットとして側に置いて特性を見極め、その後は特性に合わせた仕事を割り振っているんです」
「へぇ……」
これは……また違った形の人間との付き合い方だ。
「マスターは親のいない人間の子供を常に一〇人ほどお屋敷に置いてくれているんです。僕も、一四歳の時に急に親を亡くして……困っていた時に助けて頂いて、学校にも行かせてくださって、仕事も与えてくださって、感謝しています」
ミチュチュちゃんは少し精悍になった顔だけど、あどけない満面の笑みにしながら語る。
ギルドマスターさんを慕っているのが解るし、俺も親元では無い所で育っているからなぁ……急に親がいなくなる不安、居場所や他の子どもと同じ勉強や愛情をもらえる感謝の気持ちはよく解る。
「可愛いペットを見せびらかしつつ、優秀な従業員の教育ができる。理にかなったことをしているだけですが……エルフの王様には好印象だったようで仲良くさせて頂いています。エルフの工芸品は高く売れますしね」
ギルドマスターさんはそんなことを言いながらもミチュチュちゃんを見る目が優しいし、以前のパーティーでのやりとりを思い出しても、ミチュチュちゃんを息子のように愛しているのがよく解る。
「俺の中でギルドマスターさんの印象が良くなっちゃったなぁ」
元々良かったけどね。
俺が片目を瞑ると、その顔を見たギルドマスターさんが何か思い出したように声を上げた。
「あぁ! そういえば、ライト様にお伝えしたいことがあったんです」
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