魔王さんのガチペット

回路メグル

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番外編2 ○○が好きなメイドと、誕生日祝いの話

ほら!かわいいでしょう!?

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 魔王様の後押しもあり、仮装パーティーに参加してくださることになったライト様は……

「折角参加するなら、恥ずかしがっていると勿体ないよね。堂々と、この衣装に見合うようなかわいい俺をアピールしてくる」

 とまで言ってくださった。
 かわいい衣装に加えて、化粧や髪型、かわいい笑顔、かわいいポーズ、自分のかわいさを理解してかわいく見せる天才のライト様による「本気のかわいい」!
 こんなの、見たら全員がかわいいの虜になっちゃう!
 かわいいブーム、来る!
 
 世界がかわいいであふれる!!!!!!

 絶対の確信をもって、パーティーを心待ちにした。


      ◆


 ライト様がかわいい異世界衣装でパーティーに参加された翌日の休憩時間。
 メイドと執事の詰め所でパーティーの様子が紹介された新聞を広げた。
 城下町の大きな公園の広場で開催されたパーティーは、町民はもちろん、地方からの観光客も多い一大イベントだ。
 参加費は無料で、それぞれ好きな仮装で広場に集まり、楽団による音楽に合わせて踊ったり、屋台で買い食いしたり、特設のステージでは誰の仮装が一番素敵かコンテストを行ったり。ライト様は「俺のいた世界の感覚では、コレはお祭りかな」と言っていた。世界が違ってもこういう楽しいことってあるんだな~。

「ライト様の特集は……あった!」

 新聞の二ページ目が、ライト様特集になっていた。あ、三ページ目もだ!
 国民みんなが大好きなライト様だもんね!
 記事の内容は……「魔王様と共にパーティーの視察に訪れたライト様は、ご自身が生まれた世界の物語に登場する衣装を再現した、特別かわいい装いで特設ステージに登場。国民から大きな歓声を浴び、あまりにもかわいらしい装いであったため、審査員として参加して頂く予定だった仮装コンテストにも急遽エントリーして頂くこととなった。男性でありながらミニスカートを翻す様はさながら妖精のようで、会場投票で決まる特別賞を受賞された」という文章と共に、ライト様の簡易な似顔絵、そしてライト様が提供された異世界の物語の女の子の絵も載っている。
 そう。
 私もライト様のお世話係として付き添って、舞台袖からこっそりのぞいていたけど……すごかった。
 大歓声だった。
 ずっと「ライト様~!」「かわいい~!」という声が飛んでいた。
 ……まぁ、いつも通りと言えばいつも通りなんだけど。

「あ、その新聞……」

 お茶のカップを片手に、ローズウェルさんが私の隣に座る。

「私は現地に行けなかったのですが、警備にあたっていた騎士団長がとても感動していましたよ。『かわいいライト様が一層かわいくみえた』と」
「本当ですか!?」

 騎士団長さんって服のセンスがいいって言われているけど……シンプルな服専門の人だと思ったのに!

「えぇ。それに、『あのような構造の服は見たことが無い。新聞で絵を見てようやく解ったが……なんて細かい仕事なんだ!』とリリリさんを褒めていました」
「そんな……」

 私たちが話していると、他のメイドや執事もやってきて口々に褒めてくれた。

「リリリさん、昨日のお衣装すごかった!」
「器用だなとは思っていたけど、あんな衣装まで作れるなんてビックリしたよ!」
「ライト様はシンプルなお服が似合うと思っていたけど、特別かわいいお衣装もとてもお似合いでドキドキしちゃった!」
「ライト様くらいかわいかったら男にミニスカートもアリですね」

 これは……来たんじゃない?

「だよね! かわいいライト様がかわいいお服を着るの、すっごくかわいいよね!」

 私が興奮を抑えられず椅子から立ち上がると、みんな笑顔で頷いてくれた。

「うん! ペットって顔や存在がかわいいから更にかわいくしなくても良いかと思っていたけど、思いっきりかわいくなってもらうのもキュンとくるんだって思った」
「申し訳ないけど、今までリリリさんの私服ってかわいすぎと思っていたんだけど……ペットに着せるって考えると、いいかも!」
「……!」

 すごい、ライト様効果、すごい!
 これは……来た。絶対に来た!

 かわいいブームの到来を確信していると、部屋のドアが開いた。

「リリリさーん! お手紙来ていたよ」

 通信室に行っていた同僚のメイドが、私に一通の手紙を渡してくれる。

「差出人は……魔王の国ペットファッション商会とファッション工房の連名……? うそ、まさか!」

 慌てて中身を確認すると……。

「あ……あ……! あぁ!」

 昨日の衣装を観たペット関連の商会と制作工房が、商品化できないか打診をしてきているお手紙だった。
 
 もうこれ、完璧にブームが来る!

 かわいいブーム!

 大成功!

 ……と、思ったんだけど、私の見通しはちょっと甘かった。

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