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番外編3 一番の●●
帰還(2)
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「あ……その……」
「してくださるんですか!?」
「へ?」
居た堪れなくて天を仰いでいたが……オファの顔を見下ろすと、嬉しそうに輝く笑顔を向けてくれていた。
「嬉しい! 専属化して頂いたら、俺が先に死んじゃって導王様を悲しませることが無いですよね? 導王様に受けた御恩をこれから何百年もかけて沢山返していけますよね? やった!」
「あ、い、いいのか? 専属化すると……」
「人間の家族とは同じ時を歩めませんが、その分導王様とはずっと一緒なので寂しくないです」
人間の家族よりも……私を?
「それに、魔力を頂けるのってとても幸せだと聞きました。楽しみだなぁ……」
「聞いた?」
「はい! 異世界にいる間に、ライト様に相談していたんです。導王様を悲しませないためにはどうしたらいいか……そうしたら、専属化について色々と教えてくださったんです。良いところも悪いところも沢山聴きました。聞いたうえで、専属化してもらえたら嬉しいなと思っていたので……嬉しいです!」
同じ事を、考えてくれていたのか?
オファも……同じことを。
「あ……オファ……オファ!」
あまりにかわいい。
かわいい。かわいい。かわいい。
……すごく、かわいい。
頭の中がオファでいっぱいだ。
「それと、今回異世界に行って気付いたんです。この国の人間は魔法が使えないからと自分たちの能力に対して諦めてしまっていると」
私が身もだえることをなんとか耐えていると、オファは真剣な顔で話し出す。
真剣な顔もかわいい。
「魔法が使えなくても、できることが沢山あるのに」
あぁ、しかもえらい。
そんなことに気付けるなんて天才か?
「ライト様にお願いして、勉強できる道具を持って帰ってきました。これでたくさん勉強して、異世界みたいに人間が活躍できるようにしたいと思っています。そのためには、時間が全然たりません。でも、専属化して寿命が延びたら……沢山勉強して、この国の人間と一緒に、導王様の……この国みんなの役に立てたらと思います!」
すごくかわいいのに、頼もしい感じもする。
「あ! ただの、人間のペットがおこがましいですが……」
私の様子を伺うところも、そんな必要ないのに……あぁ、いじらしい。かわいい。かわいい……。
「おこがましいことなんてない! なんて立派な考え方なんだ! ますますオファのことが好きになった! 応援する!」
「導王様……必ず、導王様が自慢できるペットになります!」
「私も、必ずオファが……人間が活躍できる国にする。オファの自慢の飼い主になる!」
共に未来を目指して頑張ることに対しては、オファも喜んでくれると思ったのに。
オファは不思議そうに首を傾げた。
「……? もう、すでに自慢の飼い主様ですよ?」
「……!」
あぁぁぁぁぁぁ、かっわいい。
この真っすぐで、全力で、私を慕ってくれる、この……かっわいい!
こんなにかわいいなんて、もう……もちろん……。
「だったらオファも、もう自慢のペットだ!」
優しく撫でると、オファは嬉しそうに私の胸元に擦り寄ってくれた。
◆
ちょうど、魔王の国の「専属化」の動きの影響で、我が国でも制度を整えようと動いていた時期だった。
「導王様を救った英雄のオファ様が専属化を希望している」
と新聞で報じられれば、国民も役人も、この動きを後押ししてくれた。
私を、オファを、愛してくれる国民には、いつも感謝しかない。
そしてオファが帰ってきて三ヶ月ほど経った日……とうとう国内でも「同意のある眷属化」を「専属化」と定めて、公に認めることになった。
第一号は……私とオファだ。
「してくださるんですか!?」
「へ?」
居た堪れなくて天を仰いでいたが……オファの顔を見下ろすと、嬉しそうに輝く笑顔を向けてくれていた。
「嬉しい! 専属化して頂いたら、俺が先に死んじゃって導王様を悲しませることが無いですよね? 導王様に受けた御恩をこれから何百年もかけて沢山返していけますよね? やった!」
「あ、い、いいのか? 専属化すると……」
「人間の家族とは同じ時を歩めませんが、その分導王様とはずっと一緒なので寂しくないです」
人間の家族よりも……私を?
「それに、魔力を頂けるのってとても幸せだと聞きました。楽しみだなぁ……」
「聞いた?」
「はい! 異世界にいる間に、ライト様に相談していたんです。導王様を悲しませないためにはどうしたらいいか……そうしたら、専属化について色々と教えてくださったんです。良いところも悪いところも沢山聴きました。聞いたうえで、専属化してもらえたら嬉しいなと思っていたので……嬉しいです!」
同じ事を、考えてくれていたのか?
オファも……同じことを。
「あ……オファ……オファ!」
あまりにかわいい。
かわいい。かわいい。かわいい。
……すごく、かわいい。
頭の中がオファでいっぱいだ。
「それと、今回異世界に行って気付いたんです。この国の人間は魔法が使えないからと自分たちの能力に対して諦めてしまっていると」
私が身もだえることをなんとか耐えていると、オファは真剣な顔で話し出す。
真剣な顔もかわいい。
「魔法が使えなくても、できることが沢山あるのに」
あぁ、しかもえらい。
そんなことに気付けるなんて天才か?
「ライト様にお願いして、勉強できる道具を持って帰ってきました。これでたくさん勉強して、異世界みたいに人間が活躍できるようにしたいと思っています。そのためには、時間が全然たりません。でも、専属化して寿命が延びたら……沢山勉強して、この国の人間と一緒に、導王様の……この国みんなの役に立てたらと思います!」
すごくかわいいのに、頼もしい感じもする。
「あ! ただの、人間のペットがおこがましいですが……」
私の様子を伺うところも、そんな必要ないのに……あぁ、いじらしい。かわいい。かわいい……。
「おこがましいことなんてない! なんて立派な考え方なんだ! ますますオファのことが好きになった! 応援する!」
「導王様……必ず、導王様が自慢できるペットになります!」
「私も、必ずオファが……人間が活躍できる国にする。オファの自慢の飼い主になる!」
共に未来を目指して頑張ることに対しては、オファも喜んでくれると思ったのに。
オファは不思議そうに首を傾げた。
「……? もう、すでに自慢の飼い主様ですよ?」
「……!」
あぁぁぁぁぁぁ、かっわいい。
この真っすぐで、全力で、私を慕ってくれる、この……かっわいい!
こんなにかわいいなんて、もう……もちろん……。
「だったらオファも、もう自慢のペットだ!」
優しく撫でると、オファは嬉しそうに私の胸元に擦り寄ってくれた。
◆
ちょうど、魔王の国の「専属化」の動きの影響で、我が国でも制度を整えようと動いていた時期だった。
「導王様を救った英雄のオファ様が専属化を希望している」
と新聞で報じられれば、国民も役人も、この動きを後押ししてくれた。
私を、オファを、愛してくれる国民には、いつも感謝しかない。
そしてオファが帰ってきて三ヶ月ほど経った日……とうとう国内でも「同意のある眷属化」を「専属化」と定めて、公に認めることになった。
第一号は……私とオファだ。
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