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第五章~花の行方~
二百八十話(加筆しました(*^^*))!
翌日――ぼくは折り紙で、小さな紙袋をつくっていた。
「~♪」
友菜さんのパイナップルケーキが、あんまり美味しかったから。この美味しさは、ぼくだけが消費するんやなくて、ひとと分かち合いたいって思ったん。
「やっぱり、綾人はオレンジとイエローやなぁ」
明るい色にぴったりの笑顔を思い出し、自然と笑みがこぼれる。
渡したい相手と言ったら、やっぱり綾人が浮かんだん。甘酸っぱいケーキは、綾人も絶対好きな味やと思ったし。
それに――お兄さんと謝りに来てくれてから、ずっと会えてなかったから。
『朝匡と仲直りしたから、バイト辞めようと思って。成己、いろいろありがとうな!』
そんなメッセージが届いたのは、あれからすぐのことやった。
まさに青天の霹靂で、スマホに向かって「ええっ」って叫んでしまったっけ。
『綾人! えと……仲直りおめでとうやけど、やめちゃうの!?』
『いやー、誕プレも買えたしさ? ここらでいっちょ、マジで受験に専念しようかなって思って!』
びっくりして電話をかければ、電波の向こうの綾人はハイテンションに応えた。てっきり、これからも一緒に働けると思ってたから、少ししょげてしまった。
『そ、そっかあ。さびしいけど、受験は仕方ないね……』
『……ごめんな! それと、なんつうか……しばらく、あんま遊んだりもできんかも』
『えっ』
『忙しくなるし! で、空いた時間……朝匡と一緒にいてやろうかなって』
『……あっ、そっか。そうやね、仲直りしたばっかやもん』
申し訳なさそうな綾人に、我に返った。
せっかく仲直り出来て、嬉しい時なのに気遣わせてしまうなんて、ぼくは馬鹿だ。――慌てて、再度お祝いの気持ちを伝えた。
『おめでとう、綾人。お兄さんと仲直り出来て、本当に良かったね』
つい「寂しい」が先行してしまったけれど、二人が上手く行ったのは、心から嬉しかった。ここで過ごしていたころ、綾人は笑っていても、ふとした瞬間に寂しそうにしていたから。
――もう、寂しくないね。良かったね、綾人……
感激して、目尻を拭う。
『ありがとう、成己』
頷いた綾人の声も、ちょっと滲んでいる気がした。
それから、「また連絡する」って綾人とバイバイしたんやけどね。
なかなか都合が合わなくて、ちっとも話せていないままなんよ。
「メッセージを送っても、あんまり返事返ってこおへんし……よっぽど忙しいんやろうけど、無理してないかな?」
流石に、ちょっと心配になったりする。
綾人のことやから、すごく頑張ってるに違いないし。それに、お兄さんとはどうなのか……毎日のように届いていたノロケが聞けないも、寂しいというか。
「会えたときに、いろいろ話せると良いなぁ」
折り紙を折りながら、ふふと笑みがこぼれる。
出来上がった紙袋に、パイナップルケーキをひとつ入れて、フラップで封をした。目の高さに掲げて、にっこりする。
「やった。可愛く出来たっ」
明るいオレンジ色に、日差しが反射して眩しい。
これを持って、教えてもらった綾人とお兄さんのお宅に、会いに行くつもりだ。忙しくて会えないのに、おすそ分けとはいかに? って感じやけれど。
「でも、会おうとせえへんかったら、会えへんわけやしな」
ご迷惑になるかな、と思わないでもなかったん。
でもね、綾人はいつも会いに来てくれて――ぼくはそれが、とても嬉しかったから。
――『綾人君に?』
勿論、宏ちゃんにもね、おすそ分けに行きたいって伝えたよ。少し苦笑していたのは、おすそ分けを理由に会いたいのを、察してくれてたんやと思う。
でも、「俺も一緒に行くよ」って、頭を撫でてくれた。
――ちょっと、顔を見るだけ。それも無理そうなら、佐藤さんにこれだけ預かってもらって、すぐお暇するから。
むんと気合を入れて、フラップに書いた「受験頑張ってね」の文字を指でなぞる。
「……よしっ、あとお兄さんの分と、佐藤さんの分やっ」
また新たに折り紙を引き出して、紙袋を作る作業を再開した。
――そのお兄さんが、うさぎやを訪ねてきたのは、その日の午後のことやった。
「~♪」
友菜さんのパイナップルケーキが、あんまり美味しかったから。この美味しさは、ぼくだけが消費するんやなくて、ひとと分かち合いたいって思ったん。
「やっぱり、綾人はオレンジとイエローやなぁ」
明るい色にぴったりの笑顔を思い出し、自然と笑みがこぼれる。
渡したい相手と言ったら、やっぱり綾人が浮かんだん。甘酸っぱいケーキは、綾人も絶対好きな味やと思ったし。
それに――お兄さんと謝りに来てくれてから、ずっと会えてなかったから。
『朝匡と仲直りしたから、バイト辞めようと思って。成己、いろいろありがとうな!』
そんなメッセージが届いたのは、あれからすぐのことやった。
まさに青天の霹靂で、スマホに向かって「ええっ」って叫んでしまったっけ。
『綾人! えと……仲直りおめでとうやけど、やめちゃうの!?』
『いやー、誕プレも買えたしさ? ここらでいっちょ、マジで受験に専念しようかなって思って!』
びっくりして電話をかければ、電波の向こうの綾人はハイテンションに応えた。てっきり、これからも一緒に働けると思ってたから、少ししょげてしまった。
『そ、そっかあ。さびしいけど、受験は仕方ないね……』
『……ごめんな! それと、なんつうか……しばらく、あんま遊んだりもできんかも』
『えっ』
『忙しくなるし! で、空いた時間……朝匡と一緒にいてやろうかなって』
『……あっ、そっか。そうやね、仲直りしたばっかやもん』
申し訳なさそうな綾人に、我に返った。
せっかく仲直り出来て、嬉しい時なのに気遣わせてしまうなんて、ぼくは馬鹿だ。――慌てて、再度お祝いの気持ちを伝えた。
『おめでとう、綾人。お兄さんと仲直り出来て、本当に良かったね』
つい「寂しい」が先行してしまったけれど、二人が上手く行ったのは、心から嬉しかった。ここで過ごしていたころ、綾人は笑っていても、ふとした瞬間に寂しそうにしていたから。
――もう、寂しくないね。良かったね、綾人……
感激して、目尻を拭う。
『ありがとう、成己』
頷いた綾人の声も、ちょっと滲んでいる気がした。
それから、「また連絡する」って綾人とバイバイしたんやけどね。
なかなか都合が合わなくて、ちっとも話せていないままなんよ。
「メッセージを送っても、あんまり返事返ってこおへんし……よっぽど忙しいんやろうけど、無理してないかな?」
流石に、ちょっと心配になったりする。
綾人のことやから、すごく頑張ってるに違いないし。それに、お兄さんとはどうなのか……毎日のように届いていたノロケが聞けないも、寂しいというか。
「会えたときに、いろいろ話せると良いなぁ」
折り紙を折りながら、ふふと笑みがこぼれる。
出来上がった紙袋に、パイナップルケーキをひとつ入れて、フラップで封をした。目の高さに掲げて、にっこりする。
「やった。可愛く出来たっ」
明るいオレンジ色に、日差しが反射して眩しい。
これを持って、教えてもらった綾人とお兄さんのお宅に、会いに行くつもりだ。忙しくて会えないのに、おすそ分けとはいかに? って感じやけれど。
「でも、会おうとせえへんかったら、会えへんわけやしな」
ご迷惑になるかな、と思わないでもなかったん。
でもね、綾人はいつも会いに来てくれて――ぼくはそれが、とても嬉しかったから。
――『綾人君に?』
勿論、宏ちゃんにもね、おすそ分けに行きたいって伝えたよ。少し苦笑していたのは、おすそ分けを理由に会いたいのを、察してくれてたんやと思う。
でも、「俺も一緒に行くよ」って、頭を撫でてくれた。
――ちょっと、顔を見るだけ。それも無理そうなら、佐藤さんにこれだけ預かってもらって、すぐお暇するから。
むんと気合を入れて、フラップに書いた「受験頑張ってね」の文字を指でなぞる。
「……よしっ、あとお兄さんの分と、佐藤さんの分やっ」
また新たに折り紙を引き出して、紙袋を作る作業を再開した。
――そのお兄さんが、うさぎやを訪ねてきたのは、その日の午後のことやった。
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