いつでも僕の帰る場所

高穂もか

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第五章~花の行方~

三百十四話

 今夜は、いつもと違う――最初のキスから、そんな予感がした。
 
「宏ちゃんっ……」
「成、成……」
 
 ソファに押し倒されて、性急に服を脱がされる。腕から袖を抜かれ、皮を剥かれる果物になった気持ちで、宏ちゃんを見上げた。
 
「どうした?」
「う、ううん……」
 
 ぼくに跨ったまま、乱暴にシャツを脱ぐ宏ちゃんに、頬が熱る。
 もじもじと裸の爪先でソファをかいていたら、覆いかぶさってきた。
 
「あっ」
 
 ぎゅっと抱きしめられる。逞しい体に埋まって、森の香りを嗅いでいると……お腹の奥がじいんと熱くなった。
 
 ――宏ちゃん、すごくいい匂い……
 
 頭がぽうっとして、気持ちいい。
 ぼくは浮かされるように、広い背に腕を回した。すると――頬をぱくりと食まれる。
 
「ひゃっ?」
「いい匂いだ……もっと、こっちにおいで」
「……あっ、ふあ」
 
 ぴったりと身を寄せたまま、体じゅうを撫でられる。手のひらで、肌を味わおうとするような……丹念な動きに、息が弾む。
 
「んんっ……やぁ」
「可愛い……」
 
 宏ちゃんは、セクシーに唇を舐めた。
 痩せっぽちの胸に顔を伏せたと思うと――震える先端を舌で弾かれた。
 
「ああっ」
 
 びりびり、と稲妻が走り、仰け反ってしまう。
 ソファから落ちそうになったのを、宏ちゃんは抱きとめてくれた。
 
「……っ」 
「ソファじゃ狭いな」
 
 カーペットに降ろされて、すぐに始まってしまう。そのとき、ここが二人でのんびりしてる居間やって、ふと気づいたん。
 
 ――やあ、ここで……!?
 
 明るいし、ふわふわな布を素肌に感じて、恥ずかしくなる。
 
「ひろちゃ、あっ……待ってぇ……」
「どうして?」
「あぁ……!」
 
 宏ちゃんは、気にならないみたい。どころか――いつもより性急で、ちょっと荒っぽくて……ぼくは、ぐずぐずになってしまう。
 はふはふと忙しく息を吐いて、甘えた声を漏らしていると――ちゅっとキスが降ってくる。
 
「ふっ……」
 
 深いキスに、目を閉じる。
 柔らかい舌が絡んで、口いっぱいを舐められちゃう。――ぴったり合わさった唇から、くちゅくちゅと水音が響いていた。
 
 ――きもちいいよぅ……
 
 お湯に浸かってるみたいに、いい気待ち。
 夢中で、大きく口を開いていると……宏ちゃんが腰を揺らした。
 
「あぅっ」
「すごく濡れてる……」
 
 熱い先端が、後ろに触れて……ぴくんと腰が跳ねる。
 
「すごい、熱い……宏ちゃんの……」
「お前が可愛いから」
「……っ、やだぁ」
 
 耳に熱い息が触れ、ぞくぞくと感じてしまう。
 恥ずかしいのに、嬉しい。火のような顔を両手で覆うと、手の甲にキスが降ってきた。
 
「成……いいか?」
 
 熱い声で囁かれ、はっとする。
 ――最後まで。
 その気持ちが、伝わってきて……ぼくは、どきんと胸が激しく鼓動した。
 
「……うんっ」
 
 顔は見せられないけれど……確かに頷いてみせる。宏ちゃんは、嬉しそうにぼくを抱きしめた。
 
「ありがとうな」
 
 ぼくも――そう答える代わりに、宏ちゃんの首に抱きついた。
 
 


 
 
 
「んっ、あぁん……」
 
 カーペットに横ばいになり、後ろに指を受け入れていた。宏ちゃんはぼくを後ろから抱きしめて、両手で恥ずかしいところに責め苦を与えてくる。
 
「あ……あーっ……!」
 
 太くて長い指が二本、後ろをぬるぬると出入りしてる。同時に、熱を持った蕾を優しく揉まれて、快楽に頭がチカチカする。
 
「きもちいい……?」
 
 声も出せずに、こくこくと頷く。
 
 ――きもちいい……いっぱいなのに、ちっとも痛くないっ……
 
 根元まで含まされた、宏ちゃんの指をきゅうと締めつける。初めて二本も受け入れて、きついはずなのに……強い快楽に腰が溶けそうになっちゃう。
 たっぷりと塗られた潤滑剤と、蕾から零れる蜜で、ぐちゅぐちゅと淫らな水音が響く。
 
「ああぁっ……」
 
 お尻の中の一点を押し込まれ続けて、蕾から蜜が噴き出す。
 ぐったりと力が抜けた体を、宏ちゃんはぎゅっと抱きかかえた。涙と涎でぐしょぐしょの頬に、愛おしげにキスされる。
 
「可愛い……もう、とろとろだな」
「んん……」
 
 ちゅちゅ、と首筋や胸にキスされて、腰が震えた。
 長い間、甘い責め苦を与えられて……もう体がふにゃふにゃになってる。胸の尖りを唇で摘まれて、「ああ」と泣き声が漏れた。
 
「もう、お願い……宏ちゃん……」
 
 鉛のような腕を持ち上げて、宏ちゃんに抱きつく。
 
 ――もう、耐えられない……
 
 はしたないと知りつつも、脚を開く。
 
「いいのか?」
 
 何度も頷く。すると、宏ちゃんは嬉しそうに笑って、ぼくに触れるだけのキスをする。
 
「優しくするから」
「……うんっ」
 
 笑んだ唇に、キスが仕掛けられる。何度か確かめるように中を探った後、指が引き抜かれ……宏ちゃんが覆いかぶさってきた。腰を抱かれて、どくんと鼓動が跳ねる。
 
 ――ああ、これで……
 
 宏ちゃんの、ホントの恋人になれる。
 そう思って……ぼくは、きつく目を閉じた。
 
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