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第六章~鳥籠の愛~
三百三十三話
晩ごはんのお片づけを終えて、静かな夜の時間。
宏ちゃんは書斎でお仕事をしていて、ぼくは自室にこもり、テレビ通話の真っ最中です。
『ああ、ここで公式間違えたのか……えっと、じゃあこうかな?』
「うんうん」
画面のなかでは、綾人が真剣な顔で問題に取り組んでいる。ぼくも膝の上で参考書を開いて、じっと見守っていた。
『――できた! 成己、これであってる?!』
「そう! その通りですっ」
パチパチと拍手すると、綾人が晴れやかにガッツポーズを決める。
『うはー、やっと頭がすっとしたぜ~!』
「よかったぁ。ほかは、大丈夫?」
首を傾けると、綾人は親指を立てた。
『おう。サンキュー成己! 勉強教えてくれて』
「何言うてるん。これくらい当たり前っ」
『成己~!』
胸をどんと叩いて請け合えば、綾人が破顔した。お部屋に、ふたり分の笑い声がさざめく。
『てかマジで、ちょっとずつ点数も上がってっから。今年は受かっちゃうかも知んねーぜ』
「おお。やったね、綾人!」
『ワハハ』
スマホ越しの、綾人の屈託のない笑みを見て……ぼくは、しみじみ思う。
――綾人と仲直りできて、よかった。
あれから、綾人とはスマホでよくやり取りしてるんよ。勉強したり、雑談にふけったり。「気にしないでいいよ」って言うみたいに、明るく接してくれる綾人に、すごく救われてる。
それに、宏ちゃんのことも……
――『成が危険な目に遭うのが、耐えられなかった』
ぼくが不甲斐ないせいで、優しい宏ちゃんに辛い役目をさせた。
宏ちゃんのことを誤解しないでって、お兄さんにえらそうに言ったけど。悪いのは自分やんって、すごく恥ずかしくて……悔しくなったんよ。
ほんまに……大切なふたりを、傷つけたままにならなくて良かった。
「ふふ」
仲直りした日のことを思い出していたら、綾人が怪訝そうに首を傾げる。
『どったん? 成己。ニヤニヤしてんぞ』
「えへ。何でもないよっ」
『ほーう。どうせ、宏章さんのことでも考えてたんだろ?』
画面越しにビシッと指を突きつけられ、頬が赤らんだ。
『マジでラブラブだよなあ。さっすが新婚』
「もう。綾人ってば」
綾人ってば、目が半月みたい。ニヨニヨした笑顔に見つめられ、ぼくはうろたえた。
「ぼくって、そんなにニヤけてるかな?」
『って言うより、幸せそうだな。今までも、ニコニコしてたけど……なんか、フワってしてるつーかさあ……?』
綾人は不意に言葉を止め、あたりをきょろりと見回した。
『おっと、朝匡のやつ、帰ってきやがった! 悪い、また連絡するなっ』
「あ……うん! またね」
頷いた途端、「ただいま」ってお兄さんの声が聞こえてきて……ぷつんって、通信が絶えた。
ぼくは、鏡に立てかけていたスマホを取り、アプリを落とす。
「綾人、大丈夫やったかな?」
お兄さんに、見とがめられてないと良いんですが。
友達を案じていると、ぼくの方もドアがノックされた。
「はいっ!」
「成。今いいか?」
慌てて出ると、もちろん宏ちゃんやった。
宏ちゃんは書斎でお仕事をしていて、ぼくは自室にこもり、テレビ通話の真っ最中です。
『ああ、ここで公式間違えたのか……えっと、じゃあこうかな?』
「うんうん」
画面のなかでは、綾人が真剣な顔で問題に取り組んでいる。ぼくも膝の上で参考書を開いて、じっと見守っていた。
『――できた! 成己、これであってる?!』
「そう! その通りですっ」
パチパチと拍手すると、綾人が晴れやかにガッツポーズを決める。
『うはー、やっと頭がすっとしたぜ~!』
「よかったぁ。ほかは、大丈夫?」
首を傾けると、綾人は親指を立てた。
『おう。サンキュー成己! 勉強教えてくれて』
「何言うてるん。これくらい当たり前っ」
『成己~!』
胸をどんと叩いて請け合えば、綾人が破顔した。お部屋に、ふたり分の笑い声がさざめく。
『てかマジで、ちょっとずつ点数も上がってっから。今年は受かっちゃうかも知んねーぜ』
「おお。やったね、綾人!」
『ワハハ』
スマホ越しの、綾人の屈託のない笑みを見て……ぼくは、しみじみ思う。
――綾人と仲直りできて、よかった。
あれから、綾人とはスマホでよくやり取りしてるんよ。勉強したり、雑談にふけったり。「気にしないでいいよ」って言うみたいに、明るく接してくれる綾人に、すごく救われてる。
それに、宏ちゃんのことも……
――『成が危険な目に遭うのが、耐えられなかった』
ぼくが不甲斐ないせいで、優しい宏ちゃんに辛い役目をさせた。
宏ちゃんのことを誤解しないでって、お兄さんにえらそうに言ったけど。悪いのは自分やんって、すごく恥ずかしくて……悔しくなったんよ。
ほんまに……大切なふたりを、傷つけたままにならなくて良かった。
「ふふ」
仲直りした日のことを思い出していたら、綾人が怪訝そうに首を傾げる。
『どったん? 成己。ニヤニヤしてんぞ』
「えへ。何でもないよっ」
『ほーう。どうせ、宏章さんのことでも考えてたんだろ?』
画面越しにビシッと指を突きつけられ、頬が赤らんだ。
『マジでラブラブだよなあ。さっすが新婚』
「もう。綾人ってば」
綾人ってば、目が半月みたい。ニヨニヨした笑顔に見つめられ、ぼくはうろたえた。
「ぼくって、そんなにニヤけてるかな?」
『って言うより、幸せそうだな。今までも、ニコニコしてたけど……なんか、フワってしてるつーかさあ……?』
綾人は不意に言葉を止め、あたりをきょろりと見回した。
『おっと、朝匡のやつ、帰ってきやがった! 悪い、また連絡するなっ』
「あ……うん! またね」
頷いた途端、「ただいま」ってお兄さんの声が聞こえてきて……ぷつんって、通信が絶えた。
ぼくは、鏡に立てかけていたスマホを取り、アプリを落とす。
「綾人、大丈夫やったかな?」
お兄さんに、見とがめられてないと良いんですが。
友達を案じていると、ぼくの方もドアがノックされた。
「はいっ!」
「成。今いいか?」
慌てて出ると、もちろん宏ちゃんやった。
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